2025年度「国際交流基金地球市民賞」 受賞団体決定
多言語絵本の会 RAINBOW(目黒区)、特定非営利活動法人 越後妻有里山協働機構(十日町市)、一般社団法人 多文化リソースセンターやまなし(甲府市)
国際交流基金(JF)は、1985年から、国際文化交流を通じて日本と海外の市民同士の結びつきや連携を深め、相互の知恵やアイディア・情報を交換し、ともに考える団体に対して「国際交流基金地球市民賞」を贈呈しています。受賞団体は3件以内、授賞内容は正賞(賞状)と副賞(1件200万円)です。
このたび、第41回となる2025年度の受賞団体に、応募総数355件から、多言語絵本の会 RAINBOW(目黒区)、特定非営利活動法人 越後妻有里山協働機構(十日町市)、一般社団法人 多文化リソースセンターやまなし(甲府市)の3団体が決定しましたので、お知らせします。
なお、2 月18 日(水) 、都内において授賞式を開催しますので、別途取材に関する詳細を案内いたします。何卒よろしくお願い申し上げます。
※地球市民賞とこれまでの受賞団体につきましては公式ウェブサイトをご参照ください。また、リリースの最後にも賞の概要を記載しています。(https://www.jpf.go.jp/j/about/citizen/index.html)
2025年度授賞団体

多言語絵本の会 RAINBOW
<母語を大切にしながら、多文化共生社会の基盤を育てる>
東京都目黒区、 代表: 石原 弘子

特定非営利活動法人 越後妻有里山協働機構
<違いを祝し、共に走る――「大地の運動会」から始まる協働の祝祭>
新潟県十日町市、 理事長: 北川 フラム

一般社団法人 多文化リソースセンターやまなし
<情熱を持って多文化社会の未来を切り拓く「みんなのいばしょ」>
山梨県甲府市、 代表理事: 加藤 順彦
※下記に、受賞団体の紹介や授賞理由などの詳細を記載しております。
■多言語絵本の会 RAINBOW(目黒区)
【所在地】 東京都目黒区
【設立】 2006年
【代表者】 石原 弘子(代表)
【ウェブサイト】 https://www.rainbow-ehon.com/



<授賞理由>
多言語絵本の会 RAINBOW は、「国を超えて移動する子どもが母語を忘れないように、日本語で育つ子どもが外国語に関心をもつように」という活動理念のもと、日本人と外国ルーツの人々の間に共感が生まれることを願い活動を展開している。
多言語よみきかせ、多言語電子絵本の制作、小中学校での国際理解授業の実施を通じた多角的なアプローチで外国にルーツを持つ子どもの母語継承や日本の子どもの異文化理解のきっかけを創出している。
「人と人が心でつながる地球市民」の理念を実践する市民活動としての意義は大きく、その活動がより多くの人々に認知され、今後も継続的に発展することを期待し、本賞を授与する。
<受賞団体からの活動紹介・メッセージ>
日本で暮らす外国出身の人々に対しては、日本語教育が盛んに行われていますが、外国ルーツの方の母語や母国語も、同様に大切にされるべき言語です。
2003年、日本語支援の現場で、「私の言葉は日本では必要がない」と話した外国出身の母親に出会ったことが、活動の原点の一つです。外国出身者にとって日本社会では日本語が必要ですが、母国語や母語も親、親戚、友人とつながり続けるために必要で、子ども世代にとっても、親の言語は自分のルーツです。
母語や母国語が親から子どもへ受け継がれることを願い、2006年に、都内の図書館で外国語と日本語を交互に読む「多言語よみきかせ」を始めました。2009年には、目黒区が発行した『目黒区子ども条例のえほん「すごいよ ねずみくん」』を外国ルーツの親子にも読めるようにしたいと考え 、マルチメディアデイジー絵本(多言語電子絵本 )の制作を始めました。インターネット上で外国語と日本語を同時視聴できる作品です。
また2009年以降、 都内の小中学校で外国人と協力し国際理解の授業を行ってきました。授業の中では多言語よみきかせを行い、子どもたちにさまざまな外国語と日本語を聞いてもらっています。
2023年から2025年にかけては、『子どもの歌 カラオケ付き』も制作しました。同じ曲でも国によって内容が異なる歌が存在します。複数の言語話者が集まる場で、それぞれの国の歌を歌えるようにすることを目的として、歌集も発売しました。
2025年7月に童心社が発売した9言語対応の赤ちゃん絵本『いち にの さん!』(スギヤマカナヨ作)を電子絵本化した際、この作品が「みんな違って、みんないい」という価値観を体感できるものであることに気が付きました。この作品を活用することで、複数の言語を用いた参加型のよみきかせを通して、いっしょにいることの楽しさを味わってもらえると考えています。
■特定非営利活動法人 越後妻有里山協働機構(十日町市)
【所在地】 新潟県十日町市松代3743-1
【設立】 2008 年
【代表者】 北川 フラム(理事長)
【ウェブサイト】 https://www.echigo-tsumari.jp/about/organization/



<授賞理由>
越後妻有里山協働機構は「大地の芸術祭」で培われた協働の精神を受け継ぎ、地域とアートを結びつけた文化活動を展開するために 2008 年に設立。廃校を活用した拠点づくりや住民・アーティスト・教育機関・企業との連携を通じて、地域文化を支える社会基盤を築いてきた。
その理念のもと地域に実装された「大地の運動会」は日本独自の運動会を再解釈し、多様な人々が身体を通して交流する場をつくり出している。在住の外国人を含む多様な人々が同じチームで競技し、応援し、食事を共にし、互いの息づかいを分かち合う時間は、共に生きる感覚を身体で実感できる特別な体験であり総合芸術活動である。
笑い声と声援が交差する共生社会の祝祭として「大地の運動会」を高く評価し、本賞を授与する。
<受賞団体からの活動紹介・メッセージ>
NPO法人越後妻有里山協働機構は、「大地の芸術祭」で生まれた作品や施設、プロジェクトを通年事業として運営し、越後妻有を魅力ある地域にしていくために2008年に設立されました。地元出身者や県内外からの移住スタッフで構成され、地元の方々や作家、こへび隊(「大地の芸術祭」の里・越後妻有(十日町市・津南町)を舞台に、芸術祭を支えるために活動するボランティア)、地元サポーターの方々に支えてもらいながら3年に1度の「大地の芸術祭」、合間2年間の作品メンテナンス、企画展・イベント・ワークショップの開催、農業、ツアーの実施、グッズやお米の販売、食宿泊施設の運営、それら全ての広報や誘客促進に従事しています。
農業事業は、「大地の芸術祭」からの派生プロジェクトとして、2003年から「棚田バンク」サービスを導入・スタートしました。松代エリアは色濃い農耕文化をもつ一方、棚田の多い山間地域は大型機械を使えず、高齢化とともに耕作放棄地が増え続けています。それらをできる限り引き受け、耕作しながら棚田の保全活動に努めており、「まつだい棚田バンク」として会員から資金提供を受ける代わりに、NPO法人が農作業を担い、収穫した新米を分配する、それが「まつだい棚田バンク」の制度です。企業会員も増え、2025年現在約11.5haを耕作、会員参加型の田植えや稲刈りイベントには毎年200人以上が参加され、採れた新米はショップ販売や食施設でも提供しています。
さらに2015年には女子サッカー実業団「FC越後妻有」を発足。NPO法人職員としてサッカーをしながら「大地の芸術祭」運営のほか担い手不足の農業に従事する、「他に類をみないプロジェクト」の先駆け的なプロジェクトです。まだまだマイナーな女子サッカーは、環境整備や引退後の保証など様々な問題を抱えています。FC越後妻有の選手は、農業、作品メンテ、ツアー、食、美術館運営、広報など「大地の芸術祭」の各事業に携わっており、サッカーと合わせて選手が農業や芸術祭運営などの技術を身に着け、高齢化する地域を支えながら自身のキャリアを形成しています。現在地域リーグで活躍していますが、地域リーグの試合では珍しい300人以上が応援に駆け付けることもあり、選手たちの存在が地域を活気づかせる風景が広がっています。
NPO法人越後妻有里山機構は、「大地の芸術祭」によって地域・世代・ジャンルを超えたネットワークを育み、越後妻有の未来につなげることで、第一に、住民がいきいきと暮らすこと、第二に、地域の働く場所が増えること、第三に、価値観や境遇の異なる人々が共存できる地域にしていくことを目標にしています。
■一般社団法人 多文化リソースセンターやまなし(甲府市)
【所在地】 山梨県甲府市丸の内2丁目30-5
【設立】 2012年
【代表者】 加藤 順彦(代表理事)



<授賞理由>
一般社団法人多文化リソースセンターやまなしは、外国籍の子どもと家庭への保育・教育支援を軸に、電話相談、多文化共生事業など多様な活動を行う。団体設立者は長年のブラジル駐在経験から日本で暮らす外国人の生活課題を痛感し、行政と連携して継続的な支援体制を築いてきた。
バイリンガル職員を配置した先進的な小規模保育園「みんなのいばしょ」と「イノヴェ学園」は地域から高く評価され、幼少期からの日本語教育や地域交流を重視して多文化共生を促進している。
強い情熱をもって課題解決と社会の調和をめざす取り組みを高く評価し、本賞を授与する。
<受賞団体からの活動紹介・メッセージ>
海外から就労目的で初めて日本に来る外国人が耳にする言葉に「3つの壁」があります。「言葉、制度と心の壁」です。この3つの壁を乗り越えるためには、まずは日本語の勉強が大事であり、日本語が話せて読み書きができれば次の課題はクリアできます。
20年前にブラジルから戻った目的は、家族と共に来日し、日本語で苦労している外国籍の子ども達のために通訳がいる保育園を作ることでした。認可外保育園から出発して3年目にようやく甲府市からの認可を受けることができ、その間、保育園職員の養成に努め、通訳ができる外国人スタッフも育成しました。
日本語が分からない外国人家族の存在は予想以上に多く、幼い子どもを抱えての慣れない国での生活はママ達にとって容易ではありません。家族みんなが楽しく過ごせるような心温まる小規模保育園を目指し、園の職員全員で頑張った結果、10年目にしてようやく日本の保育制度に準拠した今の小規模保育園の形ができました。
こうした活動と並行して、依然として多文化共生という言葉が一般市民には耳慣れない日本の中で、外国人を市民として受け入れてもらえるような環境づくりにも力を注いできました。特に、外国人がさらに積極的に日本人社会に溶け込んでいけるような政策の推進を絶え間なく地方行政に求めてきました。その結果、日本人と外国人の交流につながる現場中心のイベントを行政と共に行えるようになりました。
現在は、当法人が運営する小規模保育園「みんなのいばしょ」では0歳~2歳児の園児しか預かることができないので、子ども達の日本語の勉強が途切れないよう3歳~5歳児向けの小規模保育園を作りたいと企画を練っています。
ママ達が子育ての楽しさを感じることができるような、「放課後児童教室」「放課後デイサービス」「学習塾」「産前産後レスパイト・スペース」「子ども達の発表用ステージ」「目いっぱい遊べるプレイグラウンド」「簡易宿泊所」等、保護者と子ども達が一体化した新しい形の保育園を追求していきたいと情熱を滾らす今日この頃です。
本賞概要
■国際交流基金地球市民賞(https://www.jpf.go.jp/j/about/citizen/index.html)
国際交流基金(JF)は「優れた活動を全国に発信し、地域の国際文化交流を促進する」という理念のもと、地域に根差した活動を通じて 日本と海外の市民同士の結びつきや連携を深め、互いの知恵やアイディアを交換し、ともに考える日本の団体を顕彰するために「国際交流基金地球市民賞」を授賞しています。
■選考について
授賞の対象は、公益性の高い国際文化交流活動を行っている日本国内の団体(法人格は問いませんが、地方自治体は対象としません)で、自薦・他薦による応募から、5つの選考基準(1.先進性 2.独自性 3.継続性 4.将来性 5.社会に対する影響力)をもとに、有識者らによる審査を経て、受賞団体が決まります。
2026年度の国際交流基金地球市民賞の受賞候補団体の募集開始は、2026年5月から6月頃を予定しています。 詳細は、JF公式ウェブサイトをご確認ください。
■国際交流基金(JF)(http://www.jpf.go.jp)
独立行政法人国際交流基金(JF)は世界の全地域において、総合的に国際文化交流事業を実施する日本で唯一の専門機関です。1972年に外務省所管の特殊法人として設立され、2003年10月1日に独立行政法人となりました。海外に25か国・26の拠点を持ち、「日本の友人をふやし、世界との絆をはぐくむ」をミッションに掲げ、世界の人々と日本の人々の間でお互いの理解を深めるため、さまざまな企画や情報提供を通じて人と人との交流をつくりだしています。
以上
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