6G進展のため、ローデ・シュワルツがサブTHz帯の伝搬チャネル測定を実施
ミリ波およびサブ・ミリ波(サブTHzおよびTHz)帯の無線チャネルの理解を深め、将来の6G通信規格に適用可能なさまざまな周波数をカバーする広範な研究活動を推進
ローデ・シュワルツは、欧州からアジアや米国まで、6Gに係る企業・団体および大学等の研究機関の活動を積極的に支援しています。商用展開が2030年ごろと見込まれる次世代ワイヤレス通信6Gのための基盤整備に、当社がもつ試験・計測の専門技術とソリューションが活躍しているのです。一般にサブTHzとは100~300GHzの周波数域を指し、将来の6Gワイヤレス通信規格の重要な要素の一つになり得るものと目されています。
サブTHz技術なら、1 Tbpsレベルの最大スループットと極めて低い遅延性という点で目標の仕様が実現するだけでなく、斬新で魅力的なアプリケーションの基盤としても欠かせないものになるものと期待されます。格段に広い帯域幅を利用できれば、物体検出のほか、分解能がミリメートルという次世代のジェスチャ認識のための環境という意味を含めて、非常に高いスループットでの近距離無線通信が可能になります。しかし、同技術のポテンシャルを完全に引き出すには、チャネル・サウンディング測定を実施してTHz周波数電波の伝搬特性を理解することが極めて重要です。
そこでローデ・シュワルツはドイツ・ミュンヘンの当社敷地において、158 GHzおよび300 GHz のUrbanMicro(ストリート・キャニオンの場合)シナリオと屋内シナリオのもとで一連のチャネル・サウンディング測定実験を行いました。その最初の測定結果が、92 GHz以上の周波数帯における移動通信の技術的実現可能性に関して研究・情報整理することを目的とした『Technical feasibility of IMT in bands above 100GHz〔100 GHz以上の周波数帯におけるIMTの技術的実現可能性〕』というITU-Rの5D作業部会(W5PD)レポートに盛り込まれました(IMTとは、国際移動通信システムの規格を指します)。さらに同レポートは、ITUの世界無線通信会議2023(World Radio Conference 2023:WRC23)での議論に供され、ここでは後のWRC27で周波数割り当てを行うため、100 GHz以上の追加周波数帯が討議される予定です。現在の3GPPにおけるチャネル・モデルは最高100 GHzまでしか検証されていませんので、このチャネル・モデルをより高い周波数に拡張することが、6Gの標準化プロセスにとって非常に重要な最初のステップとなります。
今回行った測定は、ミリ波およびサブ・ミリ波(サブTHzおよびTHz)帯の無線チャネルの理解を深めることを目的とし、将来の6G通信規格に適用可能なさまざまな周波数をカバーする広範な研究活動の一環です。こうした研究活動のさらなる進展と拡張をはかるため、ローデ・シュワルツはドイツの連邦ネットワーク庁Bundesnetzagenturから実験免許を交付されています。この免許の対象には、Dバンド(110~170 GHz)やHバンド(220~330 GHz)などのサブTHz域の周波数だけでなく、Wバンド(75~110 GHz)・FR2(ミリ波)・FR3(7~24 GHz)、さらにはドイツにおける産業用周波数である3.7~3.8 GHzも含まれています。
ローデ・シュワルツの技術マネージャーであり、今回のサブTHz測定実験の責任者でもあるTaro Eichlerは次のように説明しています。「THz技術の調査・研究において、当社の取組みが活かされていることを誇りに考えています。早期に見込まれる応用シナリオや基礎研究に私どもの最新鋭の試験・測定ソリューションを適用して、さらなる知見の充実をはかるとともに、フラウンホーファー・ハインリッヒ・ヘルツ研究所(HHI)やベルリン工科大学(TU Berlin)などの名高い研究パートナーとも連携しています。こうした現在の研究活動を通じて、6G標準化プロセスの重要なステップを支える基盤づくりをしているのです」。
今回の測定実験に関する詳細と結果については、ホワイトペーパー『Fundamentals of THz technology for
6 G〔6Gに向けたTHz技術の基礎〕』をご覧ください。
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