ニッポンものづくりフィルムアワード2024 表彰式を開催「THE LIFE ARTIST ~塩匠・井上雄然~」(制作:齋藤汐里さん)がグランプリ受賞

株式会社ニッポン手仕事図鑑

産地貢献のため、職人にフォーカスした動画作成や後継者インターンシップなどを手がける株式会社ニッポン手仕事図鑑(東京都中央区)は23日、日本のものづくりや手仕事にフォーカスしたドキュメンタリー映像を募集する「ニッポンものづくりフィルムアワード2024」を八芳園(東京都港区)で開催しました。応募総数63作品から、受賞作を含む45作品が一次選考を通過。授賞式では、グランプリと準グランプリ、特別賞を含めて計7作品の表彰を行い、グランプリには齋藤汐里さんが制作した「THE LIFE ARTIST ~塩匠・井上雄然~」が選ばれました。

齋藤汐里さん(左から2番目)

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■「ニッポンものづくりフィルムアワード」について

「ニッポンものづくりフィルムアワード」とは、ニッポン手仕事図鑑主催の映像コンペティション。2019年に第1回を開催、今回で2回目の開催となりました。日本が誇る文化や地域の伝統産業(作り手)にフォーカスを当てるだけでなく、各地の映像クリエイター(伝え手)が世に出る機会を創出することを目的としています。

今回は「今、会いに行きたい作り手の声」をテーマに、作品を募集。「作品が好きだから」、「人柄がいいから」、「工房から見える景色がいいから」など理由はさまざま。会いに行きたい理由は問わずに、ビデオグラファーの思いを通して魅力ある作り手の姿を映していただきました。また、同アワードの審査基準は、映像作品としてのクオリティだけではなく、フォーカスする作り手の選定を含めて「会いに行きたい理由が伝わってくるか」、「作り手の声が届いてくるか」といった観点から審査を行いました。

2024年8月1日より作品を募集開始し、11月末日まで。日本全国各地から応募が続々と集まり、応募総数は63作品に。選考を12月1日〜25日の期間で行い、厳しい選考を通過した45作品の中から選ばれた計7作品を発表・表彰いたしました。

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■アワード当日

当日は、受賞作品の発表と試写会を同時に開催しました。まずは受賞作品の発表を行い、映像を見終わった後は、審査員の方々より受賞者へ盾と副賞が渡されます。その後、審査員より受賞作品の講評が行われました。

■受賞結果

◾️グランプリ

・作品名「THE LIFE ARTIST ~塩匠・井上雄然~」

 制作:齋藤汐里様

<受賞者コメント>

関係者の皆様、この度は栄誉ある賞をいただきまして、誠にありがとうございます。今回、職人さんが映像のテーマでしたが、井上さんを取材したいと思ったきっかけは“生き方との向き合い方”を教えていただきたい気持ちから、山口県に足を運びました。

打ち合わせの段階から、これから私の人生で糧になることをいっぱい教えていただきました。家に帰って井上さんのお塩を手に取って使わせていただく時に、井上さんのお言葉や油谷湾の景色を思い出して、そういう風に思いを馳せることが私の日常になっていきました。

お塩って、どの家庭でもあると思いますが、それが愛着あるものに変わったことが衝撃。私は、それこそが日本のものづくりの伝統の継承になるのではないかと感じました。土地ごとに、長年培ってきた伝統技術や伝統工芸があると思います。でも長年住んでいると当たり前の景色になっていくことが多いと思います。でも、そのもう一歩先に「どういう職人がどんな風に作っているんだろう」と思いを馳せる時間があることで、伝統に対して興味を持ち、愛着が湧く。感情のグラデーションを作ることが、伝統技術を絶やさないこと、ひいては次の世代に残すことに繋げるヒントになるのかなと思いました。

私自身、映像の作り手として感じたのは、映像はボーダーレスなツール。日本にいても海外の方に手仕事の良さを伝えられる。なので、ぜひ映像クリエイターと職人さんが手を取り合って、魅力を伝え続けられるといいなと思います。

最後に一言、百姓庵さんの塩で食べるおむすびは世界一美味しいです!ぜひ皆さま、お塩を購入されて食べてみてください。本日はありがとうございました。

■準グランプリ

・作品名「器而庵 大子漆と八溝塗の100年先に続く産地をつくる」

 制作:立原裕之様

<受賞者コメント>

普段は妻と二人で映像制作をしています。このような伝統工芸、ものづくりの映像はずっと制作したいと思っていましたので、職人の辻徹さんとの出会いに改めて感謝しています。辻さんは「100年先に大子漆を残す」思いで、漆の苗木を植えることから約10年以上かけて育てて樹液を採取して、漆器を作る。そうした一貫した生産販売まで行っています。このアワードにご参加いただいた皆様に、職人さんの仕事や商品を知っていただけて、大変嬉しく思っています。

今回、映像制作にあたって「自分の得意なことはなんだろう」と振り返りました。料理に例えると、素材の魅力を信じるというか。辻さんの姿を表現する時に、魅力を損なわない映像を作ることが大事だったのかなと思っています。

また、一次選考を通過した45作品全ての作品を拝見しました。今日は素晴らしい作品を生んだ皆さまにお会いできて、大変嬉しく思っています。改めてありがとうございました。

立原裕之様(左から3番目)

■特別賞

・作品名「世界の海へ、ウッドルアー職人|魚(ぎょ)じゃらし工房」 

 制作:TWIN 三好雄介様

<受賞者コメント>

今回の応募テーマが「今、会いに行きたい作り手の声」ということで、私自身釣りをすることから、本当に会いに行きたい職人さんでした。職人さんが徳島県にいらっしゃるということは知っていてなかなか会う機会もなかったけど、「この作品を作りたい!」という思いでDMを送り、実際に撮らせていただけることになりました。

ただ、職人さんの技術を映像に収めることで、マイナスな影響が出てしまうことを懸念していました。それでも職人さんから「釣りの業界がこうしたところから盛り上がってほしい」と言っていただけたおかげで制作することができました。

私自身も徳島県で映像の仕事をしていますが、こういった大きな場で見ていただける経験ができたので、これからも地元の企業や職人さんの魅力を出せるような映像を作っていきたいと思います。

三好雄介様(右)

■特別賞

・作品名「シミズ時計店〜時を紡ぐ店〜」

 制作:飯島偲文様

<受賞者コメント>

この度は素敵な映像に並んで素敵な賞をいただき、ありがとうございます。このシミズ時計店は私の祖父母が営むお店です。私が幼い頃から、時計に見守られながら自分の世界に入り込んで作業をする祖父の姿は、私にとってとても大きな存在でした。

今回、祖父母ではなく“職人”として取材をしたことで、「こんなことを考えていたんだ」とか、人間としての情熱を受け取ることができて、とても楽しかったです。そして、映像を学んでいる私が、お店の力になれたことに大変嬉しく思っています。

そして、映像内でもありましたが、AIやインターネットの普及で生活環境が変化していく中、私含めてもっと若い世代は、人と直接関わらなくても、触れ合わずとも生活できる時代になってきてしまっています。それが良いか悪いかではなく、そんな時代だからこそ、人の温かさを大事にしていきたい。人間の1つひとつに、仕事に対する熱意や情熱、想いがあると思っています。

飯島偲文様(右)

■特別賞

・作品名「日常の美しさをこっぱ人形に宿して」

 制作:KINONE様

<受賞者コメント>

この度は数々の素晴らしい作品の中から、私たちの作品を選んでいただきありがとうございます。職人の徳武忠造さんにもお越しいただきまして、一緒に受賞の瞬間を味わえたことを夢のように思っております。

私たちは普段は長野県で活動しています。県内に住む思いを持って活動する方を映像と文章と写真で届ける中で、農民美術や徳武さんにも出会うことができました。こっぱ人形を初めて見た時に、訴えかけてくるような魅力に心を奪われて、徳武さんに映像の撮影依頼をお願いいたしました。

また、制作を続ける中、一生大切にしていきたいと思う言葉の数々、言葉の宝に出会うことができました。自分が夢中になれること、伝えたいと思うことを表現するという活動に出会うことができました。

KINONE・由井杏里様(中央)、高井まつり様(右)

■特別賞

・作品名「外国人初の刀鍛冶」

 制作:産経新聞社 土谷耕二様

<受賞者コメント>

本日は素晴らしい賞をいただき、誠にありがとうございます。今回のアワードのテーマが「今、会いに行きたい作り手の声」ということで、忠実に映像にしたつもりです。余白を残したというか、全てをあえて伝えないようにしました。この先、職人さんがどういった活動をするつもりなのか。もちろん、私は取材をしたので知っていますが、あえて言わない作品にしました。今日も一緒に登壇していますが、皆さまにもこの場ではなく、ぜひ広島県の工房に足を運んで、お話をお聞きしてほしいと思っています。

改めて、ニッポン手仕事図鑑の伝統文化を未来に伝える活動している姿に共感しております。私たちもメディアの立場なので、こうした職人さんたちの価値を世の中に伝え続けていきたいと思っています。本日はありがとうございました。

土谷耕二様(左から2番目)

■特別賞

・作品名「ECHIZEN KNIFE ARTISANS」

 制作:合同会社ミミヨリデザイン様

<受賞者コメント>

私は4年前に越前市にUターンして就職しましたが、その時は越前打刃物を全く知りませんでした。しかし、越前打刃物は世界で注目されるぐらいに、凄い産地になっている。そうした中で映像を制作して思ったのは、30〜40年前に「なんとかしないといけない」と立ち上がった職人さんたちのおかげで、今の姿になっているのだと思いました。

また、職人さんと出会い、本当にカッコいいと思った。会社や売上のためだけではなく、産地や次代の職人の育成のために活動をされている。それを4年前に関わって知ることができた。「なんでこんなにカッコいい人たちが自分の地元にいて、知らなかったんだろう」と改めて思いました。

私自身、全然仕事がない時からお時間をつくってもらったり励みになるお言葉をいただいたりして、いつかは恩返ししたいと思っていました。昨年の9月にアワードを見つけて、「ここで私なりの技術で恩返ししたい!」と考えて、すぐに動画制作を依頼させていただきました。今回、賞をいただいて越前打刃物を知ってもらう機会に恵まれ、本当に良かった。微力ながら、自分の地元と越前打刃物に恩返しできたのではないかと思っています。

合同会社ミミヨリデザイン・清水隆久様(中央)

■審査員

・「プロフェッショナル 仕事の流儀」チーフ・プロデューサー 横山友彦 様

・VIDEO SALON(ビデオサロン)編集長 萩原亮 様

・プロデューサー・映画監督 石井かほり 様

・松竹 プロデューサー 田渕みのり 様

・BEAMS JAPAN クリエイティブディレクター 鈴木修司 様

・ニッポン手仕事図鑑 編集長 大牧圭吾

■特別審査員

・俳優 黒木瞳 様

・放送作家 小山薫堂 様

◾️ニッポン手仕事図鑑 大牧圭吾より

私たちは、2021年から「後継者インターンシップ」という職人の担い手を生み出すプロジェクトを手がけ始めて、今年で4年目になります。ありがたいことに、“職人になりたい”思いでインターンシップに応募してくれた方が、4年間で3000名を超えて、職人さんが内定を出した方は90名を超えました。

残念ながら、人生の岐路を考えた結果として職人になる気持ちを諦めた方もいます。しかし、70名を超える方が“職人になりたい”と思ってくれています。すでに働き始めた方が40名を超え、来年以降に働く予定の方が30名ほどいます。

本日、来場者の方々にお渡しした箸と箸置きのセットは、当社のインターンシップ事業で職人になった日奈久竹細工「桑原竹細工店」の清水優衣さんと、小代焼「ふもと窯」の松嶋芽生さんに、ひとりで制作していただいたものです。こうした素晴らしい物を作る職人の道に薦めていけること、そして皆様のお手元に届いたことを嬉しく思っています。

やはり、素晴らしい仕事を成されている職人さんたちはたくさんいる。それでも、職人さんだけで物を作り、発信もしていくには限界があると日々感じています。

ニッポン手仕事図鑑は、10年間動画メディアとして活動してきました。その中で、本日は色々な動画を拝見し、動画の伝える力の強さを改めて実感しました。映像には可能性があると思いなおした。だからこそ、動画メディアとしての活動を続け、今年もニッポンものづくりフィルムアワードを開催していきたい。

そして、10年間伝統工芸に関わってきて感じるのは、ビデオグラファーだけに情報発信の伝え手としての期待をして発信を続けるのも限界があるということ。もしかしたら、手法として遅いかもしれない。もっと伝え手を増やしていかないといけないと、伝統工芸の良さが正しく伝わらない。

本日投映した素晴らしい映像を見ると「自分は何ができるだろう」と思うかもしれません。それでも、お手元にある箸と箸置きを知り合いに話すだけでも、職人のモチベーションになり、大きなうねりとなる。多くの方に届くきっかけになる可能性がある。だから、ビデオグラファーの皆様には、今後も職人を掘り起こしていただきたい。

また、お越しいただいた皆さまにも伝え手となることができる。良い商品を見つけたら、隣にいる人に話すことで広がる未来がある。良い職人さん、良い商品を見つけたら、話題にしていただきたい。それが伝統工芸の道に進む若者たちの励みにもなる。ここにいる皆様が明日から伝え手になることを願って、本日の表彰式のお礼の言葉とさせていただきます。ありがとうございました。

■「ニッポンものづくりフィルムアワード2024 表彰式」開催概要

【日程】2025年1月23日(木)

【時間】16:00〜19:00(15:30受付開始)

【会場】八芳園(東京都港区白金台1-1-1)

【会社概要】

株式会社ニッポン手仕事図鑑

〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町2-14-10 アーバンネット日本橋ビル 1F

https://nippon-teshigoto.jp/

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業種
サービス業
本社所在地
東京都中央区日本橋人形町2-14-10 アーバンネット日本橋ビル1F
電話番号
-
代表者名
大牧圭吾
上場
未上場
資本金
-
設立
2019年01月