現代日本文学の最高峰「古井由吉」の遺稿を『新潮』5月号で発表!

現代日本文学を代表する古井由吉氏。今年2月に82歳で逝去したこの作家が執筆し続けていた遺稿が、明日4月7日発売の『新潮』2020年5月号に掲載されます。
 

 

2019年11月2日撮影(古井家提供)2019年11月2日撮影(古井家提供)

古井氏は2019年7月号から『新潮』を舞台に連作短篇を発表中でしたが、同11月号に連作の3作目を発表した後、

 

闘病のため掲載は中断していました。しかし、実は作家は、入退院を繰り返しながら、新作短篇の執筆を進めていました。そして、死の数日前、未完ながら400字詰原稿用紙30枚の清書済みの原稿を家族に託し、自身の遺稿として「新潮」に掲載するよう伝えていたのです。 

無題の遺稿には、2019年秋、入退院を繰り返す小説家の日々の思いが描かれていました。列島を直撃した大型台風を病室で体験した主人公は、自然の猛威と死を前にした我が命を重ね合わせます。自らの命の極限の状況で、主人公=古井氏は最期まで作家であろうとし、人間を襲う災厄や生と死を見つめていたのです。 
 

 

 

『新潮』5月号には、古井氏の遺稿とともに、蓮實重彦・島田雅彦・佐伯一麦・平野啓一郎・又吉直樹の各氏の追悼文も掲載。古井氏に文学的才能を見出され、小説を書くようにうながされた又吉氏は、

作家の死に次のような言葉を寄せました。
「普通に社会生活を送る人に後ろめたさを感じながら生きてきた自分が、古井作品に触れて、文学も自分達を見つけてくれるのだと嬉しく思った。(…)古井さんの小説に出会えたことに感謝している。(…)十年後、二十年後に昭和、平成の作家などという安易な括りによって、有るものが無いことにされないように作品を読み続けたい。」(又吉直樹・追悼文より) 

【古井由吉(ふるい・よしきち)氏について】
1937年11月19日 - 2020年2月18日。享年82。濃密な文体で人間の狂気や生死を見つめた「内向の世代」の作家。東大卒業後、ドイツ文学の翻訳を手掛け、30代で作家専業に。「杳子(ようこ)」で1971年に芥川賞を受けた。大江健三郎氏と並び、現代日本文学の最高峰に位置する作家である。
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