現代美術家 チョン・ユギョンによる宿泊ルームが、京都のアートホテル BnA Alter Museum にてオープン。
歴史の果てにある政治的に複雑な「今」に目を向け、過去と未来を繋いで旅するアートルーム。
BnA Alter Museumでは2024年末、現代美術家 チョン・ユギョンによる 宿泊ルーム がオープン致しました。
「10年先の未来を生きるアートコレクターの隠れ家」をコンセプトに掲げる当館 Art Room 803「vault」では、宿泊型の企画展ギャラリーとして１年毎にアーティストとディレクターが入れ替わっていきます。
今回の Art Room 803「vault」では、出版レーベル oar press を主宰する 見目はる香をディレクターに迎え、在日コリアン3世として日本と朝鮮の文化の狭間で生まれ育った チョン・ユギョンが「朝鮮人」の移動の歴史を検証し、恣意的に引かれる「境界線」や文化と戦争の関係を問いかけます。
人々が一方的に分断され、迫害を受けた場所である収容所の名を冠した架空の焼き物「大村焼」をめぐる絵画及び陶芸シリーズ、そして新作となる作家自身「大村焼の耳」と呼ぶ、陶器を鋳込むときにできる端材から制作されたサイアノタイプ（日光写真）を発表、公開しております。
これまで歴史や社会に於いて無いものとされてきた声や物語と出会うことで、伝統根付く京都という場所、我々自身にも出会い直す、そんなひとときをぜひお楽しみください。
作品販売について
全ての展示作品は購入可能になっております。
特に「陶製手榴弾」をもとに型取りした「大村焼」の一輪挿しのシリーズや、サイアノタイプ（日光写真）の「Mimi」のシリーズは、当館1Fショップでも取り扱っております。
お越しの際に是非手に取っていただければ幸いです。
ルームコンセプト
[ 文: 見目はる香 (oar press) ]
長い歴史の果てに生まれた政治的に複雑な「今」に目を向けながら、過去と未来を繋いで旅する人たちのための部屋。
在日コリアン3世として日本と朝鮮の文化の狭間で生まれ育ったチョン・ユギョンは、現在福岡を拠点に九州北西部での朝鮮人の様々な移動、逸話を題材として、いまある不自由や境界を考察する作品を制作している。
朝鮮半島と日本の歴史は寄せては返す波のように、戦争と迫害、文化の往来が古代から繰り返される。一方的な分断を受けた人々が迫害を受けた場所である収容所の名を冠した、架空の焼き物「大村焼」とそれに紐付く物語がここでは展示される。
小さな一輪挿しのように見える陶器シリーズは、第二次世界大戦末期に当時の鉄不足を理由に佐賀県有田町で実際に作られた「陶製手榴弾」をもとに型取りされた。16世紀末、朝鮮出兵で多くの朝鮮陶工が九州に連れられ、そのうちの一人李参平により芽吹いた日本の伝統工芸・有田焼。戦争によって始まったこの焼き物が再び戦争に利用されてしまうサイクルに、作家は文化と戦争の絶えない関係を見出している。
最新作のサイアノタイプ(日光写真)のシリーズは作家が「大村焼の耳」と呼ぶ、陶器を鋳込むときにできる端材から制作された。京都にある耳塚とも呼応しながら、どこか不鮮明に現れる青写真のモチーフは、境界をはみ出た人々、あるいは歴史からこぼれ落ちた人々が現代の声を聞く、耳のようにも見ることができる。
アートルーム情報
Current Exhibition (TILL WINTER 2025)
Artist: チョン・ユギョン
Director: 見目はる香（oar press）
Room Number: 803
Room Type: Superior Double Double Bed x 1, Shower, No Bath
Capacity: 2
Room Size: 22sqm
"vault" Concept:
「10年先の未来を生きるアートコレクターの隠れ家」をコンセプトに、未来のアートファンのために設計された宿泊型の企画展ギャラリー。他のART ROOMとは異なり、ディレクターやアーティスト、テーマや作品が入れ替わる。未来のコレクターのワークスペース兼仮宿である”vault703,803”には、その時代に活躍するアーティスト達の作品が所蔵され、飾ったり保管してあったり、無造作に置かれていたり。宿泊ゲストは幸運にも部屋のKEYを借りて訪れた彼の友人である。作品は一部購入可能になっており、その販売方法やアートの価値付け、アーティストへの価値還元においても実験的な試みが用意されている。
Art Room 803「vault」: https://bnaaltermuseum.com/rooms/vault/
アーティスト紹介
チョン・ユギョン Jong YuGyong
1991年 兵庫県生まれ、福岡県在住。2014年 朝鮮大学校美術科卒業。
2017年からソウルを拠点に作家活動をしていたが、韓国の兵役法が「改正」され徴兵対象となっ
たため、2020年末に日本に帰国。作品では朝鮮人の「移動」の歴史を検証し、恣意的に引かれる
「境界線」や戦争と文化の関係に対して問いかけていくことを目指しており、近年は有田焼や大
村収容所の歴史を調査しながら作品発表をしている。
[個展]
2025 꽝! KKWANG!, EUREKA, 福岡
2024 大村焼, まちのオフィス春陽堂, 佐賀 (二会場同時開催)
2024 大村焼, AGITO, 佐賀 (二会場同時開催)
2021 After Potemkin Vilages, アートスペーステトラ, 福岡
2014 JUCHE POP, CHODEMI, 東京
[グループ展]
2024 コレクションハイライト, 福岡市美術館, 福岡
2023 福岡現代作家ファイル, 旧母里太兵衛邸長屋門, 福岡
2023 Homemaking #2, 武蔵野プレイス, 東京
2023 第1回福岡アートアワード受賞作品展, 福岡市美術館, 福岡
2022 Flame, OTA fine arts, 東京
2020 When many pass one way…, OTA fine arts, 上海
2020 LOOKING FOR ANOTHER FAMILY 2020, 国立現代美術館(MMCA) ,ソウル
2019 パレードへようこそ, OTA fine arts, 東京
2019 VOCA展2019 現代美術の展望─新しい平面の作家たち, 上野の森美術館, 東京
2018 Geopolitical Grounds, OTA fine arts, シンガポール
2017 Project Hope?, Post Territory Ujeongguk, ソウル
[受賞]
2023 第1回福岡アートアワード 優秀賞
2019 VOCA展2019 現代美術の展望─新しい平面の作家たち 奨励賞
[パブリックコレクション]
福岡市美術館
ディレクター紹介
見目はる香 Haruka Kemmoku
1991年 神奈川県生まれ、東京都在住。2014年 学習院大学法学部法学科卒業。
現代美術のギャラリーに勤務後、現在はoar press (オール・プレス) を主宰する。
主な刊行物に野沢裕『→◻︎←』(2024)、豊田市美術館図録『吹けば風』(2023)、遠藤麻衣『
Scraps of Defending Reanimated Marilyn』(2023)、奥誠之『ドゥーリアの舟』(2022)など。
主な企画・協力展に水上愛美、若林菜穂「静かの海」駒込倉庫(2023/東京)、大石一貴「石と文
字」秋川(2023/東京)、若林菜穂「paradoxical sleep」25時(2022/東京)、水上愛美、神農理恵「
Heptapod Solresol Ruins」VOU Bldg./棒ビル(2022/京都)など。
BnA Alter Museumとは
BnA Alter Museumは、気鋭のアーティストが制作する泊まれる空間型アート作品31部屋に加え、計30メートルの縦型ギャラリースペースや、ミュージアムショップ、バー&ラウンジ等が併設される新しい形のアートスペースです。また、パブリックスペースを展示やイベントに開放するなど、国境を超えたアーティスト、アートファンのコミュニ ティーが集う場となることを目指します。
住所：京都府京都市下京区天満町267-1
アクセス：阪急河原町駅より徒歩6分／京阪祇園四条駅より徒歩7分／河原町松原バス停から徒歩3分
Tel: 075-748-1278
WEB: https://bnaaltermuseum.com/
※宿泊予約は、各種OTAサイトもしくは、上記WEBページ下部の[宿泊予約] [Book Now]より。
Instagram: https://www.instagram.com/bnaaltermuseum/
X: https://x.com/BnaAlter
Facebook: https://www.facebook.com/BnAAlterMuseum
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