11月は「労働保険未手続事業一掃強化期間」~ひとりでも 働く職場に 労働保険~
厚生労働省は11月を「労働保険未手続事業一掃強化期間」と定め、「事業主のあたりまえ川柳」を使った広報などで、集中的な未手続事業一掃対策を展開
「労働保険」とは、「労働者災害補償保険(労災保険)」と「雇用保険」の総称で、常勤、パート、アルバイトなどの名称や雇用形態にかかわらず、労働者を1人でも雇っている事業は原則、強制適用事業であり、成立手続を行う義務があります。
労働保険制度は、昭和50年に全業種への全面適用となってから50年近く経過し、その間に適用事業数は増加し、令和5年度末現在で約344万事業に達していますが、現在においても、なお相当数の未手続事業が存在しているとみられ、このことは、労働保険制度の健全な運営、費用の公平負担、労働者の福祉の向上等の観点から極めて重要な課題となっており、早急な未手続事業の解消が求められています。
このため、厚生労働省では「未手続事業一掃」を、年間を通じた主要課題として位置付け、11月を「労働保険未手続事業一掃強化期間」として、全国で集中的な活動を展開します。各種事業主団体、個別事業主への訪問指導等を強化し、事業主へ制度の概要の説明や、自主的な手続を促しています。なお、説明しても自主的に保険関係の成立手続を取らない事業主に対しては、職権による成立手続を実施しています。
また、労働保険制度の一層の理解、周知を目的とした広報活動を行うとともに、未手続事業が多いと思われる業種別の一掃対策を強化する等、全国で集中的な活動を実施します。
○成立手続を怠っているとどうなる?
1.遡って保険料を徴収するほか、追徴金も徴収します。
労働保険の成立手続を行わない事業主に対しては、政府が職権により成立手続を行い、労働保険料等の金額を決定します。その際、労働保険料は手続を行っていなかった過去の期間についても遡って徴収することになり、併せて、追徴金も徴収します。また、労働保険料等や追徴金が納付されない場合には、滞納者の財産について差押え等の処分を行います。
2.労働災害が生じた場合、労災保険給付額の全部又は一部を徴収します。
政府は、事業主が故意又は重大な過失により労災保険の成立手続を行わない、いわゆる未手続の期間中に生じた労働災害について労災保険給付を行った場合は、労働基準法の規定による災害補償の価額の限度で、保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収します。
3.事業主の方のための助成金が受けられません。
雇用調整助成金(休業等によって雇用維持を図る事業主に助成)や、特定求職者雇用開発助成金(高年齢者や障害者など、就職が特に困難な者を雇い入れる事業主に助成)などの、事業主のための雇用関係助成金については、労働保険料の未納がある場合、受給できない可能性があります。
○労働保険の成立手続の方法は?
成立手続は、労働基準監督署及び公共職業安定所(ハローワーク)で行っております。
労働保険の成立手続(厚生労働省ホームページ)
○労働保険関係手続の電子申請について
労働保険の手続は、電子申請により行うことができます。電子申請での手続をご利用いただくと、行政機関に出向くことなく、自宅やオフィスでいつでも申請等の手続を行うことができます。
労働保険関係手続の電子申請について(厚生労働省ホームページ)
○口座振替が便利
労働保険料等の口座振替納付は、事業主の皆様が口座を開設している金融機関に口座振替納付の申込みをすることで、届出のあった口座から金融機関が労働保険料及び一般拠出金を引き落とし、国庫へ振り替えることにより、納付するものです。口座振替のメリットは、保険料納付のために金融機関の窓口へ行く手間や待ち時間が解消されること、納付の“忘れ”や“遅れ”がなくなること、法定納期限から保険料の引き落とし日までに最大約2カ月ゆとりがあることなどがあります。
○労災保険の特別加入について
「労災保険」は、本来、労働者の業務または通勤による災害に対して保険給付を行う制度ですが、労働者以外でも、その業務の実情、災害の発生状況などからみて、特に労働者に準じて保護することが適当であると認められる一定の人については、任意で労災保険に加入することができます。これを労災保険の「特別加入」制度といいます。
○労働保険事務組合とは
事業主の委託を受けて、事業主が行うべき労働保険の事務を処理することについて、厚生労働大臣の認可を受けた中小事業主等の団体を労働保険事務組合といいます。
委託できる事業主は、常時使用する労働者数が下の表に該当する事業主となります。
事務手続きの省力化や労働保険料を3回に分割納付できるほか、上記で説明した労災保険の特別加入制度を利用して、通常では労災保険に加入できない事業主や家族従事者なども加入することができます。
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