富山県内有数の景勝地「神通峡」のほとりに佇むラグジュアリーホテル「リバーリトリート雅樂倶」にて舘鼻則孝の特別展示が開催中
北陸工芸・アートの祭典「GO FOR KOGEI」の開催時期に合わせて、舘鼻則孝の代表作品の数々がリバーリトリート雅樂倶の館内に特別展示されています。
リバーリトリート雅樂倶|舘鼻則孝の特別展示について
北陸工芸・アートの祭典「GO FOR KOGEI」の開催時期(2024年9月14日から10月20日まで)に合わせて、「リバーリトリート雅樂倶」の館内に舘鼻則孝の代表作品《Heel-less Shoes》や絵画作品など10点が展示公開されています。
「リバーリトリート雅樂倶」は、ホテルグランミラージュや樂翠亭美術館を営む株式会社アイザックの関連施設となります。舘鼻は、同社が運営するホテルグランミラージュの9階に位置する「スパ・バルナージュ」の浴室アートワークも手掛けています。
開催概要|特別展示:舘鼻則孝
会場 リバーリトリート雅樂倶
住所 〒939-2224 富山県富山市春日56-2
会期 2024年9月14日(土)より当面の間
※ご宿泊のお客様、またはレストラン利用のお客様に限りご覧いただけます
展示作品紹介
Thunder
2019
Platinum leaf, steel
《Thunder》は、舘鼻則孝の絵画作品の中で神仏の来臨を隠喩するモチーフとして描かれている稲妻をモチーフに立体作品として制作されました。幾何学的な形状の反復によって成立するグラフィカルなフォルムと、伝統的な匠の技法を活かした箔貼りによる加飾が現代彫刻における工芸技法の可能性を示しています。
Heel-less Shoes
Green: 2018 / Blue: 2020
Dyed cowhide, metal fastener
《Heel-less Shoes》は、江戸時代の花魁が履く高下駄から着想を得て制作された舘鼻則孝の代表作です。2010年に東京藝術大学の卒業制作展で初めて公開された本作は、米国歌手レディー・ガガに愛用されたことでも世界的に知られています。舘鼻は、レディー・ガガの専属シューメイカーとして、約2年間で25足以上の作品を提供しました。
Descending Painting (Double Doors)
2023
Acrylic, wood, silk
聖龕(せいがん)形式の絵画作品《Descending Painting (Double Doors)》は、「神仏習合」における「二項同体」という方法的概念に焦点を当てて制作されたディセンディングペインティングの新たな形式です。
《Descending Painting》は、「稲妻」と「雲」が象徴的に描かれた舘鼻則孝の代表的な絵画作品シリーズです。本作は、仏教において臨終を迎える際に阿弥陀如来と菩薩が雲に乗り迎えに現れる場面を描いた「来迎図」に着想を得て制作されたものです。また、中心に描かれる稲妻は神道における依代に「神のみたまが依り憑く」場面をモチーフとして表しています。先述したような主題から「天と地」や「生と死」などを一対の要素として描くことで、仏教と神道における双方の価値観が共存する「神仏習合」と呼ばれる習合思想が作中に表現されています。
※本作は、前面に太陽の図、背面に雷雲の図が描かれています
Baby Heel-less Shoes
2019
Dyed cowhide, pig suede, coated glass crystal, metal fastener
《Baby Heel-less Shoes》は、舘鼻則孝の友人からのファーストシューズのオーダーがきっかけで作品化されました。11センチの木型を用いて制作されている本作は、手のひらにも乗る小さな作品ではありますが、制作の工程やパーツの数などは、本来のサイズの作品と同様の内容となっています。
Descending Layer
2021
Acrylic, glass, mirror, stainless steel, steel
積層されたガラスの視覚効果を用いた《Descending Layer》は、《Descending Painting》から派生した半立体作品のシリーズです。高透過ガラスにアクリルガッシュでモチーフが描かれた本作は、積層されたガラスの反射効果を用いて、作品内に広がる空間に図像が無限に繰り返すインフィニティミラーの技法が用いられています。
Duality Painting
2020
Acrylic on wood
《Duality Painting》は、一見対立して見える2つの要素が共存する「二項同体」という日本的な概念が表現された絵画作品です。「生と死」や「天と地」などの象徴的な異なる要素の親和性を探り、画面上で再構成することで、習合主義を形式的に表現している絵画作品でもあります。本作は、立体的な蛇腹型の木製支持体を使用し、アクリルガッシュによって彩色がされています。
Descending Painting “The Sun Breaking through Clouds”
2024
Acrylic on canvas mounted on panel
「The Sun Breaking through Clouds」という副題が付けられた本作は、舘鼻則孝の代表的な絵画シリーズとして知られている《Descending Painting》の延長線上に描かれた作品です。舘鼻が過去に度々描いている「雷雲」のモチーフに加えて、「薄明光線(光芒)」という気象現象がモチーフとなっています。西洋絵画の歴史では、「ヤコブの梯子」や「天使の梯子」と呼ばれる題材として、度々描かれている薄明光線は、神の啓示を隠喩するモチーフとして扱われてきました。
Descending Painting
2021
Acrylic, wood, stainless steel
《Descending Painting》の中でもレイヤー状に重なった複数のパネルから構成されている本作は、境界線という作品の主題に対しての舘鼻則孝の視点が明確に表現されています。フォームとカラーの探求によって導かれた半立体作品とも言える本絵画作品は、レイヤーという形式化された構造によって画面上で要素が再構築されることで完成されています。
Duality Painting (Noritaka Tatehana x Takahashi Kobo)
2023
Woodcut on paper
左右から異なった2種類の図案を鑑賞することができる《Duality Painting》と呼ばれる舘鼻則孝の絵画作品が木版画として表現された作品。紙を手で折っただけのシンプルな構造が視覚効果を与え、作品のコンセプトでもある二面性が示されている。4枚の版木の両面に彫られた図案を摺り重ねることで完成に至る本作は、版数以上に多くの色が摺り重ねられることで鮮やかな色彩や深みのある色味が画面に現れています。
関連施設紹介
富山県魚津市の温浴施設「スパ・バルナージュ」
蜃気楼が見える街としても知られている富山県魚津市に位置する「ホテルグランミラージュ」の9階に2024年4月26日にオープンした「スパ・バルナージュ」は、立山連峰と富山湾を一望できる大パノラマと共にアートを楽しむことができる非日常的な温浴施設です。
レディー・ガガの履く《Heel-less Shoes》の作者として世界的に知られているアーティストの舘鼻則孝が担当した浴室アートワークとサウナの聖地と言われている「サウナしきじ」の笹野美紀恵が監修したサウナ・温浴施設が「スパ・バルナージュ」の大きな魅力となっています。
スパ・バルナージュ( ホテルグランミラージュ 9F )
〒937-0041 富山県魚津市吉島1-1-20
※利用料金や施設の設備など、詳しい情報はオフィシャルサイトをご覧ください
プレスリリース|舘鼻則孝のアートワークに囲まれた温浴施設「スパ・バルナージュ」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000038054.html
関連イベント紹介
北陸工芸・アートの祭典「GO FOR KOGEI」
舘鼻則孝による大型アートワークが北陸工芸・アートの祭典「GO FOR KOGEI」で限定公開されています。会場となる桝田酒造店は、銘酒「満寿泉」で知られる明治26年創業の歴史ある酒蔵です。
「GO FOR KOGEI」は、東京藝術大学名誉教授の秋元雄史氏が総合監修・キュレーターを務め、北陸を舞台に開催されている工芸・アートの祭典。2021年より継続的に開催されており、2024年は、「くらしと工芸、アートにおける哲学的なもの」をテーマに作家が選出され作品が展示公開されています。
開催概要
GO FOR KOGEI 2024 くらしと工芸、アートにおける哲学的なもの
会 期 2024年9月14日(土)‒10月20日(日)[37日間]
時 間 10:00-16:30(最終入場16:00)
会 場 富山県富山市(岩瀬エリア)、石川県金沢市(東山エリア)
休場日 沙石(火曜)、四知堂(水曜)、ほか会期中無休
主 催 認定NPO法人趣都金澤、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁
共 催 富山県、富山市
後 援 石川県、金沢市、JR西日本
プレスリリース|舘鼻則孝による大型アートワークが限定公開「GO FOR KOGEI」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000025.000038054.html
アーティストプロフィール
舘鼻則孝(たてはな のりたか)
1985年、東京都生まれ。歌舞伎町で銭湯「歌舞伎湯」を営む家系に生まれ鎌倉で育つ。シュタイナー教育に基づく人形作家である母の影響で、幼少期から手でものをつくることを覚える。2010年に東京藝術大学美術学部工芸科染織専攻を卒業。遊女に関する文化研究とともに、友禅染を用いた着物や下駄の制作をする。「Future Beauty」(東京都現代美術館など国際巡回、2012)、「イメージメーカー展」(21_21 DESIGN SIGHT、2014)、個展「呪力の美学」(岡本太郎記念館、2016)、個展「It’s always the others who die」(POLA Museum Annex、2019)、個展「NORITAKA TATEHANA: Refashioning Beauty」(ポートランド日本庭園、2019)、「和巧絶佳」(パナソニック汐留美術館など4会場を巡回、2020-22)、個展「Distance」(山口県立萩美術館・浦上記念館、2023) 等の他、ニューヨーク、パリ、ベルギーなど世界各地で作品を発表。2016年3月にパリのカルティエ現代美術財団で文楽公演を開催など、幅広い活動を展開している。作品はメトロポリタン美術館、ヴィクトリア&アルバート博物館などに収蔵されている。また昨年に続き、東京都が主宰する「江戸東京きらりプロジェクト」の一環として企画され、東京の伝統産業に焦点を当てた展覧会「江戸東京リシンク展」(旧岩崎邸庭園、2024)の展覧会ディレクターを務めている。
NORITAKA TATEHANA オフィシャルサイト
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