マイクロ波を用いた低炭素リチウム鉱石製錬技術の共同開発契約締結
本共同開発では、リチウム製錬におけるCO2排出の主要因となっている煆焼のプロセスを電化し、環境負荷の低い、世界初となるマイクロ波を利用したリチウム製錬技術の確立に取り組みます。今後、本共同開発にてパイロット実証を進め、2026年の商業化を目指し、本技術の新規リチウム鉱山や製錬工場への適用を検討していきます。
三井物産は、1960年代から鉄鉱石や原料炭の資源開発に積極的に取り組み、日本をはじめとする世界各地域への金属資源の安定供給に努めています。また、銅、ニッケル、アルミなどの非鉄金属の資源開発にも注力しており、最近では急速に需要が増加しているリチウムへの取り組みも進めてきました。本共同開発において、三井物産は、グローバルなネットワークと鉱山ビジネスの知見を活かし、顧客の脱炭素ニーズを掘り起こし、低炭素リチウム鉱石製錬技術の海外展開を担います。MWCC社は、2014年に世界で初めてマイクロ波を用いて加熱する大型化学プラントでの製造プロセス開発に成功しました。化学業界を始めとする様々な分野に革新的な電化プロセスを提供し、カーボンニュートラルへの取り組みに貢献しています。近年、鉱山プロセスへのマイクロ波技術プラットフォーム(Green Mining-MX)を構築し、その展開先として、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構とマイクロ波加熱を用いた省エネ・CO2削減製錬開発を進めています。
現在、脱炭素化の流れの中でモビリティの電動化が急速に進んでおり、電気自動車(EV)の電池に使われるリチウムは、世界各国で重要鉱物として指定*されるなど、経済安全保障の観点からも安定した供給網の確立が求められています。また、リチウム鉱石の処理は化石燃料の燃焼熱を用いるため、製錬工程で排出されている多量のCO2排出が大きな課題となっており、低環境負荷で製造される低炭素リチウムのニーズが高まる見通しです。
三井物産は、2050年ネットゼロエミッションを目標に掲げ、2030年には2020年3月期比温室効果ガスインパクト半減を目指しています。本事業を通じてリチウムの安定したサプライチェーンを実現し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。
マイクロ波化学は、この新しいリチウム鉱石精製技術の社会実装を通して、カーボンニュートラルに向けた取り組みである「C NEUTRALTM 2050 design」を推進すると共に、「100年以上変わらない化学産業を革新し、モノづくりの世界を変革する。マイクロ波プロセスをスタンダードに。」というビジョンの実現を目指します。
*日本の経済安全保障推進法、米国のInflation Reduction Act法等
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