世界初の定常核融合炉実現を目指すHelical Fusion、商用核融合炉に必須となる独自の液体金属ブランケット試験装置「GALOP」を搬入

商用発電を見据えて、効率と部品劣化抑制を両立する画期的な設計で世界初の試験実施、「熱と計測」の確かな技術力で70年余エネルギー関連産業を支えてきた助川電気工業が協力し、液体金属ポンプの性能を実証

株式会社Helical Fusion

株式会社Helical Fusion(本社:東京都中央区、代表取締役CEO:田口昂哉、以下「Helical Fusion」)は、このたび、核融合反応からエネルギーを取り出す重要部品「液体金属ブランケット」について、独自設計の実証のための試験装置「GALOP (GAs-driven Liquid metal OPeration) 」を自社スペース(岐阜県土岐市、国立核融合科学研究所敷地内)に搬入完了しました。この試験装置は、助川電気工業株式会社(本社:茨城県高萩市、代表取締役社長: 高橋光俊、以下「助川電気工業」)の協力を得て製作したものです。 

2025年3月3日、搬入が完了した液体金属ブランケット試験装置「GALOP」
液体金属ブランケット試験装置「GALOP」搬入の様子
「GALOP」設計者でもあるHelical Fusion代表取締役CTOの宮澤順一(左)と、副CTOの後藤拓也(右)

■核融合発電の意義 

世界の人口は2050年までに約17億人増加すると予測*され、生成AIの普及も背景とした世界的な電力需要の急増に対し、既存発電方法のみで応えることは厳しい見通しです。核融合発電は、太陽の輝きと同じ原理を使ったクリーンで安全性の高い発電方法であり、海水からほぼ無尽蔵に採取可能な燃料を用いることからも、こうした世界的な課題を抜本的に解決する技術として期待されています。 

核融合のプラント建設および電力市場は2050年までに世界で年間5500億ドル規模にまで成長するとの試算**もあり、今後自動車産業のように日本が世界をリードする巨大産業を創出できる可能性がある一方、国際的な開発競争も激化しています。Helical Fusionは世界最速での定常核融合炉を2034年までに実現し、世界中で商用化することで、持続可能なエネルギー源の社会実装を目指しています。 

Helical Fusionが開発する世界初の定常核融合炉のイメージ 

■ブランケット開発の重要性 

Helical Fusionが開発する「ヘリカル型核融合炉」は、岐阜県にある世界有数の核融合の国立専門研究機関「核融合科学研究所」をはじめ、日本で70年以上蓄積されてきた研究の知見を引き継ぐものであり、プラズマ研究・炉設計と工学研究成果の観点から、既に実用化に向けたハードルをほとんどクリアしています。残された数少ないハードルの1つがブランケット開発であり、核融合反応から電気を作るための「エネルギーを取り出す」「燃料を増やす」「装置全体を守る」役割を担う重要な部品ですが、製作の難易度が高く、世界中でもまだ実装した装置はありません。 

特に、共同創業者で代表取締役CTOの宮澤自身が考案した独自の「液体金属ブランケット」は、商用発電を見据え、効率と部品劣化抑制を両立する画期的な設計です。今回搬入の装置「GALOP (GAs-driven Liquid metal OPeration) 」で新しい仕組みの液体金属ポンプの性能を実証できれば、世界初の商用核融合炉の実現大きく一歩近づきます。 

*国際エネルギー機関(IEA)年次報告書 「2023年版世界エネルギー見通し」(World Energy Outlook 2023) 

**FusionX/Helixos report Global Fusion Market Analysis: Electricity, Supply Chain & Construction (https://fusionxinvest.com/data-analysis/analysis/

■「GALOP(GAs-driven Liquid metal OPeration) 」の概要 

  • サイズ:幅約4m、奥行き約2m、高さ約2m 

  • 目的:
     ① 液体金属を循環させる新しいポンプ方式(加圧ガスで駆動するため、回転部が無く、防食及び高温運転が容易という特長を有する)の実証
     ② ブランケット第一壁を液体金属で保護する手法の実現
     ③ 真空中での液体金属の長時間定常流動試験による各種材料試験 

「GALOP」は、茨城県高萩市の助川電気工業からトラックで運ばれ、Helical Fusionスペース(左後方、青色のパーティション)にクレーンで搬入された。

■助川電気工業について

1949年の創業以来、「熱と計測のシステムエンジニアリング」を強みとする研究開発型企業として、原子力、核融合、半導体、自動車、鉄鋼、医療など多様な分野で温度制御・計測技術を提供し、産業の発展に貢献してきました。核融合分野ではコア技術であるMIケーブルを使用した各種センサーやヒーターをはじめ、高度な液体金属技術を生かし、次世代エネルギーの実現を支えています。最先端技術の追求を続け、安全・高品質な製品とソリューションを提供しています。

助川電気工業 代表取締役社長 高橋光俊 氏コメント 

この度は“液体金属ブランケット試験装置「GALOP」”に関わらせていただき有難うございました。本装置に使用する液体金属は取り扱いが難しい点もありますが、沸点が高いことから高温での熱の取り出しやエネルギーを蓄えること等に優れております。当社が取り組んできた液体金属技術でHelical Fusion様に貢献できたことは、非常に喜ばしい事であります。 

人類が生活するには欠かせないエネルギー問題の究極の解決策は核融合発電であると思います。まだまだ越えなければならないハードルは多いと思いますが、これからも核融合発電の実現に貢献できるよう取り組んでまいります。 

Helical Fusion 共同創業者 代表取締役CEO 田口昂哉 コメント 

助川電気工業様には、エネルギー関連産業においても長年実績を重ねられてきた確かな技術力と知見で、いつも力強くご支援をいただいております。今回の実証が成功すれば、核融合エネルギーを社会に普及するための大きなマイルストーンとなります。 世界初の商用核融合炉を実現していくパートナーとして、非常に心強く感じております。 

Helical Fusion共同創業者 代表取締役CTO 宮澤順一のコメント 

Helical Fusionのブランケットは、世界でもまだ誰も実装したことのない部品であると同時に、当社独自のガス駆動ポンプGALOPを使った液体金属の循環の仕組みを核融合炉に適用するという、未知の試みを重ねるチャレンジです。長年核融合研究の現場で実績を積まれてきた高橋社長を筆頭に、この大胆な取り組みに対して常に前向きに、共に取り組んでくださる助川電気工業様に感謝するとともに、核融合研究を本格的な炉開発へ繋げていくこの実証を前進させる意気込みを新たにしています。 

株式会社Helical Fusion

株式会社Helical Fusion

Helical Fusionは、日本生まれの「ヘリカル式」核融合炉で世界初の核融合エネルギー(フュージョンエネルギー)の社会実装を目指すスタートアップです。
核融合エネルギーは、高効率で安全・安定的な供給が可能かつCO2を排出せず、21世紀を生きる我々が直面する環境課題を抜本的に解決しうる技術です。

弊社は、国立研究所のスピンアウトベンチャーとして、日本で数十年かけた膨大な核融合研究の成果を引継ぎつつ、日本の技術力をフル活用して、世界初の核融合プラント実現を目指しています。

世界でも稀有な炉全体の開発・設計技術だけでなく、要素技術の開発力も高く評価されており、核融合用の先端技術(超伝導)では、文部科学省から20億円の補助を受けて開発を加速しています。
物理と炉工学の分野における世界トップの研究者と、事業開発に強みを持つメンバーが融合したチームで、メンテナンスまで見通した商用炉をいち早く実用化します。

<概要>
・事業内容:商⽤核融合炉および関連技術の開発
・設⽴: 2021年10⽉
・Webサイト: https://www.helicalfusion.com
・Youtube:https://www.youtube.com/@HelicalFusion

<本件に関するお問合せ>
・担当:株式会社Helical Fusion 広報担当
・連絡先:contact@helicalfusion.com

<株式会社Helical Fusionのプレスリリース⼀覧 >
https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/89262

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会社概要

株式会社Helical Fusion

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URL
https://www.helicalfusion.com/
業種
電気・ガス業
本社所在地
東京都中央区銀座 1-12-4 N&E BLD. 6F
電話番号
-
代表者名
田口 昂哉
上場
未上場
資本金
-
設立
2021年10月