日本初官民連携による災害復旧事業 結果レポートを発表

全国から80名の職人が集まり、延べ203件の家屋補修を実施。職人不足という社会課題の解決に向けて行政・企業が協働した初の事例に

ユニオンテック株式会社（本社：東京都新宿区、代表取締役社長：韓 英志、以下「当社」 ）は、2020年1月30日、日本初の官民連携災害復旧事業（※1）として実施した「応急防水施工（ブルーシートの展張）による家屋補修の支援事業(千葉県より受託)」活動報告を発表いたします。 URL：https://chiba2019.sustina.me/ ）
本事業は、令和元年台風 15号および台風19号で被災された家屋の初期復旧を目的として、千葉県から当社が委託を受け、2019年10月15日に開始し、12月27日に終了しました。（※2）
千葉県では今でもブルーシートに覆われた家屋が数多く残っており、本格的な復旧は時間が要することが想定されます。本事業の結果を可能な限り開示することで、この度の台風により被災された方々の一日も早い復旧、ひいては今後の災害復旧における効果的な官民連携が促進されることを願っております。

■結果レポートの概要
・事前に把握していたブルーシート展張ニーズ689件の25%（173件）を展張
・軽微な屋根工事も含めると、延べ203件の被災家屋補修を完了
・北海道、大阪府など全国から80名の職人が集まり、県内41市町村の展張ニーズに対応
 （詳細は下記参照）

■一部損壊家屋の災害復旧における企業の役割
災害による家屋被害の大きさは、政府によって全壊・半壊・一部損壊の三種に分類されています。最も被害の程度が小さく、かつ最も数の多い一部損壊家屋の復旧に向けては、国・県・市町村それぞれが応急復旧対応を進めているものの、高い専門性が求められる工事も少なくない中で、一定以上のスキルを有する職人の確保は困難さを増しています。
当社は「世界一、魅力的な業界をつくる」というビジョンのもと建設工事マッチングプラットフォーム「SUSTINA（サスティナ）」を運営しており、平時の職人不足という社会課題を解決するサービスです。しかし、職人不足が最も顕在化するタイミングである災害時にこそ、SUSTINAの情報力を有効活用すべきではないかという強い思いから本取組を開始しました。
私たちの住まいを支えている職人がますます減少していく中、当社のみならず建設業に携わる企業は、行政と協働する形を模索し、一刻も早い被災家屋の復旧に向けて尽力することが求められています。本事業を土台に議論が活発化し、官民連携のベストプラクティス構築が促進されることを期待しています。

※1. 一部損壊家屋の災害復旧支援工事としては日本初の事例
※2. 展張希望者からの受付期間は、2019 年10月15日～11月30日 工事対応は同年12月27日まで実施
詳細は下記URLおよび、ページ内「応急防水施工（ブルーシートの展張）による家屋補修の支援事業(千葉県受託事業)」事業報告書を参照ください。
URL：https://chiba2019.sustina.me/

■本プロジェクトの概要
2019年10月15日より台風15号および19号により屋根が損壊した県内被災者向けに、建設工事マッチングプラットフォーム「SUSTINA（サスティナ）」（URL： https://sustina.me/   以下、SUSTINA）を運営する当社が受付窓口を設置。SUSTINA会員の中から、希望者との契約主体となる施工管理会社、施工を担う専門工事会社を募集し、応急防水施工（ブルーシートの展張）を実施しました。
台風15号および19号の強風によって、千葉県内では6万件以上の住宅が損傷し、その大半が屋根損壊を伴うものでした。台風通過の直後から、ブルーシートを用いた応急施工が一般のボランティアや自衛隊を中心に展開されましたが、高所での作業は危険が伴い、転落事故等の二次災害が報道されていました。その中で、千葉県からの要請で応急防水施工（ブルーシートの展張）による家屋補修の支援として展張対応窓口を開設するに至りました。
(上記、取り組み図参照）

【参考】活動開始に関するプレスリリース
ユニオンテック発表：https://www.union-tec.jp/contents/news/150/
千葉県発表：https://www.pref.chiba.lg.jp/bousai/bousai/oukyubousuisekou.html

■全国から80名の職人が集まり、県内41市町村のニーズに対応

全国13,000社(2020年1月現在)のSUSTINA会員から本プロジェクトの趣旨に賛同した優良会員が千葉県に駆けつけました。合計参加人数は80人。
施工管理会社、および専門工事会社の選定にあたり施工（管理）能力が高いと判断した企業については、遠方からも協力を依頼し、北海道～大阪まで広範囲に渡る企業が参画しました。（図1）

■展張希望ニーズの88%から申し込みがあり、25%の施工を実施（※）

当初想定をはるかに超える多くのお申し込みに対して、施工管理会社は多い日には、1日あたり10件以上/日の現地調査を対応しました。施工については、依頼者との丁寧なコミュニケーションを重視し、金額や施工内容に納得してもらえるよう留意しながらも、対象家屋の25％、173件の展張を完了。（図2）
想定外の対象数、平常時と異なる状況ながら上記数値を実現できた背景にはSUSTINAデータベースに基づく、適切な工事会社選定があります。
※千葉県が2019年10月7日時点で各自治体から収集したブルーシート展張の対象件数調査結果、展張対象：3,900件のうち、展張未対応：689件から算出

 ■キャンセル事由のトップは「他社、知り合いが展張」、「展張不可」は3件

当事業の窓口にも、お申し込みと並行し、知人などから紹介を受けた工事会社や地域の職人にも打診し、最も早く展張してもらえる方法を選択していた様子が伺えます。(図3)
また、10月12日に上陸した台風19号を経て、窓口開設翌日の10月16日から、一度は支援を終えた自衛隊が要支援者向けブルーシート展張を再開したことによるキャンセルも発生しました。
※キャンセル件数431件のうち、弊社が受付たものを記載。個別性の高い理由でキャンセルした件数は除いています。
■申込から現地調査・ブルーシート展張までの日数

受付開始時には、地元の工務店に頼むと3~6か月かかるとの声も多く聞かれる状況でしたが、施工管理会社の業務管理能力によって、地域や住宅構造に応じて適切な専門工事会社を差配、結果として平均17日で展張完了しました。
一方、今回は全家屋に対し現地調査、個別見積を提示し依頼者の合意を得た上での施工という被災者の心理的納得度を重視したプロセスを踏んだため、想定以上の期間を要したのも事実です。今後は、価格の一律化などの仕組みを改善することにより、更なる短期化が見込めると考えております。

■工事価格の6割が5万円以下

ブルーシート展張工事価格の平均は78,039円。6割は、50,000円以下におさめることができました。（図5）今回、展張に当たった職人は2〜3名のチームで動いており、職人の人工単価（※）は 20,000 円〜25,000円の間でした。また展張工事の難易度によっては、丸一日かけて展張に当たったケースもあり、資材費を含めるとほぼ利益が生じないこともありました。
※1日、1名あたりの職人人件費

■世帯主が60代以上の家屋が約8割、全体の約7割が築30年以上

 

世帯主の平均年齢は 65.9 歳。 また世帯主が 60代以上の家屋が約8割を占めていました。（図6-1）
被災家屋の構造は、大多数が平屋及び2階建ての木造住宅。平均築年数は 40.1 年でした。一般的に、築年数が経過すればするほど、リフォームに要する金額は上がります。木造家屋は30年でリフォームが必要と言われる中、全体の2/3以上が築年数 30年以上でした。（図6-2）

■次の災害のために今後行うべきこととは
当社内、ConTech総研では、台風による風害からの復旧における職人の取り組みや課題についての研究を発信していく予定です。詳しくは、 ConTech総研公式note（URL：https://contech.sustina.me/ ）、 「災害復旧×建設職人」の連載をご覧ください。

■最後に
本プロジェクトに関わっていただいたすべての方に改めて感謝を申し上げるとともに、被災された方々の一日も早い復旧をお祈り申し上げます。

■ ユニオンテック株式会社について
2000年6月にクロス・床等内装仕上げ工事業として設立。その後、オフィスやショップを中心にブランディング・設計デザイン・施工をトータルでプロデュースを行う空間創造事業ブランド「UT SPACE」を展開し、6,900件以上の施工実績を持つ。2016年、建設業界で抱える課題を解決し、建設業界の受発注に特化した建設工事マッチングプラットフォーム「SUSTINA」を立ち上げる。2018年には職人に直接依頼できるアプリ「CraftBank」をリリース。
社名 ：ユニオンテック株式会社 
所在地 ：東京都新宿区西新宿3-20-2  東京オペラシティタワー40F
資本金 ：1億円
事業内容 ：ショップ・オフィスの設計・施工／マッチングプラットフォーム事業
代表取締役社長：韓 英志
コーポレートサイト：https://www.union-tec.jp