【2026年10月調査】改正公益通報者保護法の施行を前に、フリーランス・業務委託者に通報窓口 が「届いていない」企業が20.5%
従業員301人以上の企業・法人の管理部門担当者550名に調査。人権に関する相談を受け付けているが、内部通報との切り分け基準がない企業は36.6%
株式会社Drop(本社:〔要記入〕、代表取締役:米田真介)は、2026年12月1日に施行される改正公益通報者保護法を前に、「企業の内部通報体制の整備状況に関する調査」を実施しました。従業員301人以上の企業・法人に勤務し、内部通報制度または人権に関する取り組みの内容を把握している管理部門の担当者550名から回答を得ています。
改正法では、業務委託関係にあるフリーランスが新たに公益通報者として保護の対象に加わります。本調査では、施行2か月前の時点で、フリーランス・業務委託者に通報窓口が届いていない企業が20.5%にのぼることが分かりました。窓口を持ちながら知らせていない企業、これから知らせる予定の企業、そもそも対象にしない企業の合計です。

調査結果のポイント
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フリーランス・業務委託者からの通報を「すでに受け付けている」企業は50.7%。一方、対象者ごとに窓口を設けている企業は少なく、フリーランス・業務委託者向けの窓口は11.5%
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フリーランス・業務委託者に窓口が届いていない企業は20.5%。フリーランス・業務委託者向けの窓口の設置率は、従業員301〜1,000人の企業で6.7%
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人権に関する相談を受け付けている企業のうち、内部通報との切り分け基準を定めていない企業が36.6%
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体制整備の障壁として挙がった中で最も多いのは「人員や時間を確保できない」27.1%。「問題を表面化させたくないという意向がある」は8.4%(自己申告のため下限寄り)
12月1日の改正で何が変わるか
改正公益通報者保護法は2026年12月1日に施行されます。消費者庁が公表している法律案の概要によると、主な改正点は次のとおりです。
保護対象の拡大。事業者と業務委託関係にあるフリーランスが、新たに公益通報者として保護されます。業務委託関係が終了してから1年以内の者も対象に含まれます。
周知義務の明記。体制整備義務の内容として、労働者等に対する公益通報対応体制の周知が法律に明記されます。窓口を設けることだけでなく、その存在を知らせることが義務の内容に含まれます。
あわせて指針の解説に、誤解を防ぐための留意事項が2件追加されました。窓口がハラスメント関連のみを対象としていると誤解されないようにすること、そして「上司等への報告をしなければ内部公益通報受付窓口に相談できない」という誤った理解によって通報がためらわれないようにすることです。いずれも「周知等留意することが求められる」という形で、案内文での書き方までを定めたものではありません。
行政措置と罰則の強化。従事者を指定していない場合、助言・指導、報告徴収、立入検査、是正勧告の対象となり、正当な理由なく勧告に従わなかったときは是正命令と、命令した旨の公表の対象になります。命令に違反した場合のほか、報告をしない・虚偽の報告をする・立入検査を拒むといった場合にも罰金が科されます。このうち立入検査と、命令・公表・命令違反時の刑事罰が今回の新設部分です。あわせて、公益通報を理由とする解雇・懲戒に刑事罰が設けられます。
体制整備義務の対象は、常時使用する労働者の数が300人を超える事業者です。本調査が従業員301人以上を対象としているのは、この要件に合わせたためです。
※本リリースにおける制度の記述は、法令の条文、内閣総理大臣の告示である指針、および消費者庁の公表資料(指針の解説・Q&A)に基づいています。
結果① 法律が保護対象を広げる一方で、窓口の整備は追いついていない

設置している通報・相談窓口を聞いたところ、「自社従業員向けの内部通報窓口」が88.5%で最も多く、次いで「退職者(元従業員)も対象とした窓口」22.4%、「取引先・仕入先などで働く方からの通報を受け付ける窓口」16.9%、「フリーランス・業務委託者向けの窓口」11.5%となりました。
退職者は2022年6月施行の改正で、フリーランスは2026年12月1日施行の改正で、それぞれ保護対象に加わった区分です。一方、取引先・仕入先で働く方のうち自社との契約に基づく事業に従事している方は、それ以前から保護の対象です。自社従業員だけが突出して高く、社外の方や元従業員は、保護対象になった時期にかかわらず1割台から2割台にとどまります。
ただしこの数字は、対象者ごとに窓口を設けているかを聞いたものです。別の設問では、フリーランス・業務委託者からの通報を「すでに受け付けている」と答えた企業が50.7%(279名)ありました。改正法の要件も満たしているとする企業と、見直しはこれからとする企業の合計です。多くの企業は専用の窓口を設けるのではなく、既存の窓口で受けています。
指針の解説も、内部公益通報受付窓口にあたるかどうかは「その名称ではなく、部門横断的に内部公益通報を受け付けるという実質の有無により判断される」としており、窓口の形は問うていません。問われるのは、受付の対象に含まれていることが相手に伝わっているかどうかです。
従業員規模別に見ると、差はさらに明確です。フリーランス・業務委託者向けの窓口を設置しているのは、従業員1,001人以上の企業で16.0%、301〜1,000人の企業では6.7%でした。規模による差は、窓口があるかどうかではなく、誰まで対象にしているかに出ています。
結果② 窓口はあっても、相手に届いていない

フリーランス・業務委託者への窓口の周知状況を聞いたところ、何らかの方法で知らせている企業は55.8%でした。一方で、次の3つを合わせた20.5%は、現時点で窓口が相手に届いていない状態にあります。
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窓口はあるが、特に知らせていない:6.7%
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対象とする予定だが、まだ知らせていない:5.6%
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対象とする予定はない:8.2%
さらに「わからない」が23.6%ありました。この数字は回答者の立場で分かれ、窓口の運用や制度の整備に関わっている担当者では2.7%、担当ではないが制度の内容を把握している層では34.0%です。周知の実態は、運用に直接関わる人の外からは見えにくくなっています。
指針の解説は、フリーランスへの周知の具体例として、業務委託契約に係る書面やメール等に窓口の連絡先等を記載すること、および対象者が定期的に閲覧するイントラネット等に記載することを挙げています。いずれも例示で、これ以外の方法が認められないわけではありません。本調査で、契約書への明記または契約開始・更新時の個別案内を行っている企業は42.5%でした。ウェブサイトや行動規範への掲載のみで、契約の場では伝えていない企業も13.3%あります。
結果③ 人権に関する相談は受けていても、どちらで扱うかの基準がない

内部通報窓口と人権に関する窓口の関係を聞いたところ、「別々に設置し、扱い方の基準を社内文書で定めている」が34.5%で最多でした。一方、「別々に設置しているが、基準は定めていない」19.5%と「1つの窓口でまとめて受け付けているが、基準は定めていない」11.5%を合わせると170名、全体の30.9%です(端数処理のため、表示している2つの値の合計とは一致しません)。
人権に関する相談を受け付けている企業(464名)に限ると、基準を定めていない割合は36.6%です。この464名は、内部通報窓口とは別に人権に関する窓口を設けている企業と、1つの窓口でまとめて受け付けている企業の合計です。
ハラスメント、差別、下請企業の労働環境といった相談は、法令違反の問題としても人権侵害の問題としても扱えます。どちらの枠組みで受け、誰が調査し、どう是正するのか。その基準が社内文書で定まっていないと、案件ごとの判断に委ねられます。実際、通報窓口の運用上の課題としても「法令違反の問題か人権侵害の問題かを判断する基準がない」が21.5%挙がりました。
なお指針の解説では、内部公益通報受付窓口がハラスメント通報・相談窓口等を兼ねることは可能とされています。そのうえで今回の改正にあたり、兼ねる場合においても「当該内部公益通報窓口がハラスメント関連のみを対象としているものと誤解されないよう、周知等留意することが求められる」という一文が追加されました。ここでも問われているのは、窓口を分けることではなく、何を受け付ける窓口なのかが伝わっていることです。
なぜ整備が進まないのか
通報体制の整備や見直しを進めるうえでの障壁を聞いたところ、上位は次のとおりでした。
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通報に対応する人員や時間を確保できない:27.1%
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通報対応の担当者(従事者)の負担や責任が重く、人選が進まない:26.2%
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経営層から独立した通報窓口の設置について、社内で合意できていない:14.2%
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経営層の理解・優先度が低い:10.0%
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費用の確保が難しい:9.3%
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何から着手すべきかわからない:9.3%
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これまで見えていなかった問題が表に出ることへの懸念がある:9.3%
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問題を表面化させたくないという意向が社内にある:8.4%
障壁として挙がった上位2つは、いずれも人に関する制約でした。一方、「問題を表面化させたくないという意向が社内にある」8.4%と「これまで見えていなかった問題が表に出ることへの懸念がある」9.3%は、通報が上がること自体への抵抗として挙がった選択肢です。いずれも自社のこととして聞いた数字なので、下限寄りの数字として読んでください。なお複数回答のため、これらと人に関する制約は排他ではありません。
また、課題の見え方は立場によって異なりました。「特に障壁はない」と答えたのは全体では36.5%ですが、窓口の運用や制度の整備に関わっている担当者に限ると22.0%まで下がります。運用上の課題についても同様で、「特に課題は感じていない」は全体25.3%に対し担当者では11.5%でした。
代表コメント|代表取締役 米田真介
体制整備の障壁として多く挙がったのは、人に関する制約でした。「通報に対応する人員や時間を確保できない」27.1%、「担当者の負担や責任が重く人選が進まない」26.2%。ここは、外部の窓口や運用の支援で動かせる部分です。
一方で、「問題を表面化させたくないという意向が社内にある」と答えた企業も8.4%ありました。自社のこととして聞いた数字なので、実際にはこれより多いと見るべきだと思っています。1割に満たなくても、ゼロではない。その前提で、できるところから動かすしかありません。
国が求めているのは、フリーランス・業務委託者を受付の対象に含め、それを本人に知らせることです。窓口を新たに設けても、いまある窓口の対象を広げても構いません。まずは業務委託契約の書面に、窓口の連絡先を一行加える。すでに契約が続いている相手には、施行までにメールで一斉に案内するところから始められます。実際に情報が届くかどうかが、相談しようとする人から見た最初の分かれ目です。
調査概要
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調査名 |
企業の内部通報体制の整備状況に関する調査 |
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調査方法 |
インターネットリサーチ(調査パネルを保有する調査会社に委託して実施) |
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調査期間 |
2026年10月7日〜10月9日 |
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調査対象 |
従業員301人以上の企業・法人に勤務し、内部通報制度または人権に関する 取り組みの内容を把握している管理部門の担当者 |
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有効回答数 |
550名(従業員301〜1,000人:269名/1,001人以上:281名) |
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調査主体 |
株式会社Drop |
※本調査の対象には、医療法人・学校法人など株式会社以外の法人を含みます。公益通報者保護法の体制整備義務は法人格を問わず、常時使用する労働者が300人を超える事業者に及ぶためです。
※本調査は「フリーランス・業務委託者」として回答を得ています。改正法が通報主体とする「特定受託業務従事者」は、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律第2条により、①従業員を使用しない個人事業主、または②代表者以外に役員がおらず従業員も使用しない法人の代表者を指します。従業員を雇っている個人事業主は含まれないため、本調査の区分はこれより広い範囲を含む可能性があります。
※本調査は担当者個人の認識を聞いたものであり、組織としての実態と異なる場合があります。また、インターネット調査であるため、厳密な代表性を持つものではありません。
※構成比は小数第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
グラフ・数値の転載について
本リリースに掲載したグラフおよび数値は、出典を明記いただければ転載いただけます。
グラフ画像をご利用の場合は、出典表記に加えて、下記の調査結果ページへのリンクの設置をお願いします。
出典表記:株式会社Drop「企業の内部通報体制の整備状況に関する調査」(2026年)
リンク先:https://coecompany.jp/article/post/survey-2026
数値のみを引用される場合も、同じ出典表記をお願いします。あわせてリンクを設置いただけますと幸いです。
全設問の結果は上記のページで公開しています。
調査結果の全データと分析レポートについて
全設問の単純集計に加え、規模別・部門別・関与度別のクロス集計、先行調査との比較、施行までに着手すべき事項の整理を収録したレポートを公開しています。
会社概要
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会社名 |
株式会社Drop |
|---|---|
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代表者 |
代表取締役 米田真介 |
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所在地 |
大阪府大阪市北区大深町6番38号グラングリーン大阪北館JAMBASE6階JAM-DESK |
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設立 |
2019年 |
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事業内容 |
ビジネスと人権に関する支援サービスの提供。内部通報・グリーバンスメカニズム構築支援「coe company」、従業員の声を集める匿名アプリ「coe worker」、人権eラーニング、人権デュー・ディリジェンスのアドバイザリー |
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