起立性調節障害(OD)家庭の76.2%が「進学・進級」に不安。9割の児童生徒が登校に影響
保護者105名が明かす“学校対応”のリアル。負担第1位は「毎朝の欠席連絡」、教育現場に望む声のトップは「身体の病気としての理解」
起立性調節障害(OD)と診断された子どもを持つ保護者の多くが、家庭での対応以上に「学校との関係」や「進路への影響」に深い悩みと不安を抱えています。1学期も中盤を過ぎ、欠席日数の積み重なりが顕在化する6月、一般社団法人 起立性調節障害改善協会は、ODの子どもと同居する保護者105名を対象に「学校対応の実態調査」を実施しました。その結果、学校側の配慮は一定数進んでいるものの、約8割の家庭が進学・進級への不安を抱え、毎日の欠席連絡が大きな負担となっている実態が浮き彫りになりました。「怠け」ではなく「身体の病気」として、いかに教育現場での理解を深めるか。調査から見えた当事者家庭の切実な声をお届けします。
調査背景
起立性調節障害(OD)は、自律神経系の異常により、朝の起床困難や立ちくらみ、全身の倦怠感などを伴う身体疾患です。これまでODに関する調査は「家庭での接し方」に焦点が当てられることが多かった一方、当事者親子が最も社会的な壁を感じるのは「教育現場」との接点です。「遅刻・欠席が内申に響く不安」「先生に病気として認めてもらえないもどかしさ」といった学校対応の実態を可視化することは、親子の孤立を防ぎ、教育現場の理解を促すために不可欠です。進級・出席日数への不安が強まるこの時期に、保護者の視点から見た学校現場の“今”を調査しました。
調査サマリー
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ODの症状による影響: 「月に数回以上」影響が出る子どもが約6割。日々の体調に波がある不安定な実態。
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学校の理解度: 約7割が「理解・配慮がある」と回答。一方で、約15%は理解不足を実感。
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受けられたサポート: 「保健室での休養(18.8%)」が最多。心のケアだけでなく、具体的な環境整備が求められる。
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学校対応での困りごと: 「毎回の欠席連絡の負担(14.9%)」がトップ。精神的・事務的な負担が保護者に重くのしかかる。
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進路への不安: 76.2%の保護者が進級や進学に対して「強い不安・やや不安」を感じている。
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教育現場への切実な願い: 「ODを『身体の病気』として正しく理解してほしい(19.0%)」が最多。根性論ではない医学的視点の浸透を希望。
詳細データ
Q1:お子さまは、ODの症状により遅刻・早退・欠席をどの程度していますか/いましたか?

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月に数回ある:30.5%
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時期によって波がある:26.7%
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週に数回ある:19.0%
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ほとんど影響が出ていない:14.3%
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ほぼ毎日のように影響が出ている:9.5%
→ 「月に数回」から「毎日」まで、9割近くの子どもが何らかの形で登校に影響が出ています。「時期によって波がある」という回答も多く、体調が予測しづらいOD特有の難しさが、登校の継続を困難にさせていることがわかります。
Q2:ODについて、学校(担任・養護教諭など)は理解し対応していますか?

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ある程度は理解・配慮してくれている:53.3%
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とても理解・配慮してくれている:17.1%
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どちらともいえない:15.2%
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あまり理解されていない:7.6%
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まったく理解されていない:6.7%
→ 合計7割以上の保護者が学校の対応に一定の評価をしています。教育現場におけるODの認知度は向上しているものの、依然として「どちらともいえない」「理解されていない」と感じる層も約3割存在しており、学校間・教師間の温度差が示唆されます。
Q3:これまでに学校から受けられた配慮・サポートはありますか?

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保健室での休養を認めてくれた:18.8%
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あたたかい声かけがあった:16.4%
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遅刻・欠席を柔軟に扱ってくれた:15.5%
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午後登校・別室登校を認めてくれた:12.7%
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課題やテストの日程・内容を配慮してくれた:10.3%
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その他:26.3%(スクールカウンセラーと連携してくれた:7.5%、出席扱いの工夫をしてくれた:7.0%、オンライン授業・プリント対応をしてくれた:5.2% など)
→ 保健室登校や声かけなど、学校現場で行えるソフト面の配慮が多く挙げられました。一方で、学習の遅れに直結する「テスト日程の配慮」や「オンライン対応」などはまだ十分とは言えず、個別最適化された学びの支援が課題となっています。
Q4:学校とのやり取りの中で、困った・つらかったことはありますか?

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毎回の欠席連絡が負担だった:14.9%
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出席日数・内申への影響が不安だった:13.7%
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先生によって対応に差があった:11.9%
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特に困ったことはない:11.3%
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子ども自身が学校に行きづらくなった:10.7%
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その他:37.5%(どこに相談すればよいかわからなかった:10.7%、「怠け」「不登校」と受け取られた:10.1%、病気だと理解してもらえなかった:8.3% など)
→ 最も多かったのは、体調の悪い朝に電話をする「欠席連絡の負担」でした。また、「先生による対応の差」や「内申点への不安」など、学校の窓口や評価システムそのものにストレスを感じる保護者の姿が見えてきました。
Q5:お子さまの出席日数・進級・進学について、不安を感じますか/感じていましたか?

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やや感じる:63.8%
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あまり感じない:15.2%
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強く感じる:12.4%
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まったく感じない:5.7%
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わからない:2.9%
→ 「強く感じる」「やや感じる」を合わせて約76%に達し、大多数の保護者が将来への危機感を抱いています。ODの症状は長期化しやすいため、現行の出席日数に基づく評価制度と子どもの実態の乖離が、不安を増幅させる要因となっています。
Q6:学校や教育現場に、最も望むことは何ですか?

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ODを「身体の病気」として正しく理解してほしい:19.0%
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遅刻・欠席を出席日数で不利に扱わないでほしい:14.6%
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午後登校やオンラインなど柔軟な学び方を認めてほしい:14.1%
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先生間で情報を共有し対応を統一してほしい:12.2%
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子ども本人の気持ちに寄り添ってほしい:11.8%
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その他:28.3%(ODについての正しい知識を広めてほしい:11.7%、気軽に相談できる窓口を設けてほしい:11.2%、特に望むことはない:5.4%)
→ 「怠けではなく、医学的な理由があること」への理解が切望されています。また、評価制度の柔軟化や学び方の多様化を求める声が強く、従来の「朝から教室へ通うこと」を前提とした登校スタイルの再考が求められています。
調査結果のまとめ
今回の調査により、学校現場でのODに対する配慮は広がりつつあるものの、保護者の不安は依然として極めて高いことが明らかになりました。特に「毎朝の欠席連絡」という運用面の負担や、「出席日数と進路」という制度面の課題が、保護者を精神的に追い詰める一因となっています。ODは本人の努力や気合で解決する問題ではなく、適切な治療と「無理のないペースでの学び」が不可欠な疾患です。学校側には、画一的な登校の強制ではなく、オンラインや別室、午後登校といった柔軟な選択肢と、医学的根拠に基づく一貫した対応が求められています。
一般社団法人 起立性調節障害改善協会のコメント

起立性調節障害(OD)の子どもを持つ保護者にとって、学校とのやり取りは時に家庭内での看病以上に大きなストレスとなります。今回の調査で「毎日の欠席連絡」が負担のトップとなったことは、学校現場が再考すべき重要なポイントです。体調不良が予見される状況では、週単位・月単位での連絡に切り替えるなどの柔軟な運用が求められます。
また、最も深刻なのは内申点や進路への不安です。ODの子どもたちは「行きたいのに行けない」という葛藤の中にいます。教育現場には、彼らの症状を「身体の病気」として正しく認識した上で、登校の有無だけで子どもの価値や未来を判断しない、あたたかな支援体制を築いていただくことを切に願います。
調査概要
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調査主体: 一般社団法人 起立性調節障害改善協会
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調査期間: 2026年6月10日〜2026年6月21日
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調査対象: 起立性調節障害と診断された小中高生の子どもと同居する全国の保護者
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調査方法: インターネットによるアンケート調査
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有効回答数: 105名
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