日本初・自治体によるブロックチェーン(DID/VC)×防災の実証実験を完了、事業終了レポートを福岡県飯塚市に提出
平時の防災学習の証明が、有事には避難所受付の本人確認になる──「一つの証明書、二つの価値」。4ヶ月の実証で確かめたことと、見えた壁を、3社共同で報告
Turing Japan株式会社(代表取締役社長:石川真理)、渋谷Web3大学株式会社(代表取締役/学長:北村元)、株式会社かんがえる防災(代表取締役社長:髙木敏行)の3社は、福岡県飯塚市の「令和7年度飯塚市先端情報技術実証実験サポート事業」において、日本の自治体として初めてとなるブロックチェーン(DID/VC)×防災の実証実験を2025年12月から2026年3月にかけて実施し、その記録をまとめた事業終了レポート(全42ページ)を2026年7月27日に飯塚市へ提出しました。本リリースでは、実証で確かめられたこと、現場で見えた課題、そして次の一歩を報告します。

1. 実証実験の概要

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項目 |
内容 |
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事業名 |
令和7年度飯塚市先端情報技術実証実験サポート事業(飯塚市の非資金支援・協力により実施。補助金の受給はありません) |
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実施期間 |
2025年12月〜2026年3月(準備期間を含め、2025年10月の再設計から約半年) |
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実施体制 |
3社連合(代表事業者:渋谷Web3大学株式会社)+渋谷Web3大学Createコース参画メンバー6名 |
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コンセプト |
一つの証明書、二つの価値(One VC, Two Values)──平時は防災学習の証明、有事は避難所受付の本人確認 |
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技術 |
DID/VC(分散型識別子/検証可能証明書)。発行基盤:Turing Certs。IOTA(パブリック型)と東芝DNCWARE Blockchain+(コンソーシアム型)の2種類のブロックチェーンを使用 |
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報告書 |
事業終了レポート「一つの証明書、二つの価値 ── 5年後の“当たり前”を、飯塚市から始める」全42ページ(2026年7月27日提出) |
2. なぜ飯塚市で、なぜ防災だったのか
飯塚市は2021年11月、日本の自治体として初めて「ブロックチェーン推進宣言」を行い、行政証明書の電子交付など社会実験を重ねてきた自治体です。本実証の柱の一つ「避難所受付のデジタル化」は、私たちの持ち込み企画ではなく、飯塚市の防災現場からの発案でした。避難所の受付は今も紙が中心で、混乱の中で氏名・住所を手書きし、職員が到着しなければ運営が始まらない。事前に登録した情報を、スマートフォンだけで、改竄されない形で提示できないか──現場の課題意識と技術の必然が出会ったところから、本実証は始まっています。
もう一つの柱「防災学習の日常化」の原点は、2025年2月に市の防災担当部署へ行ったヒアリングにあります。災害では想定できないことが常に起こる。だから防災には「百点の答え」がない。答えを配ってしまえば、人は考えることをやめる。市の計画が基本方針の筆頭に掲げる「災害に強い組織・ひとづくり」に、私たちは「考えるきっかけ」を届けることで応えようとしました。
3. 実施したこと
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2025年12月23日|第1回実証実験(フクオカ・ブロックチェーン・アライアンス「FBA2025」@飯塚市役所)。事前に30名へVC証明書を発行し、当日は27名が「避難所へ避難してきた市民」役として受付のロールプレイングに参加。手書き受付とDID/VC認証の所要時間を同一条件で実測。
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2026年1月19日〜3月15日|「飯塚市かんがえる防災クイズ」を8週間・全56問配信(毎週月曜に7問)。全問に「正解がない」設計とし、継続に応じて参加証・前半修了証・修了証の3段階のVC証明書を発行。
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2026年2月17日|中間報告(渋谷Web3大学3周年イベント@渋谷スクランブルスクエア)。デジタル大臣政務官・川崎ひでと衆議院議員の基調講演のもと、飯塚市産学振興課、防災専門家、証明書基盤の技術者、JR東海イノベーション推進室の実務者が実測データを報告。
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2026年3月20日|第2回実証実験(飯塚市制20周年記念式典「みんなのまちづくりフェスタ」)。思想の異なる2種類のブロックチェーンを、同じ避難所受付というユースケースで同日に実地比較。
準備工程として、2025年11月には市職員向けのDID/VC説明会を2回実施しました。新しい技術の実証で最初に取り残されがちなのは運営側の職員であるとの考えから、行政のリテラシー向上そのものを実証事業の一部として設計しています。
4. 確かめられたこと

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項目 |
結果 |
補足 |
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避難所受付の認証時間 |
手書き受付 151.06秒/DID/VC認証 68.96秒(約2.2分の1) |
出典:JR東海イノベーション推進室メンバーによる実証レポート(2026年2月17日発表) |
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認証時間の内訳 |
認証 24.11秒+証明書表示 31.44秒+メールを探す 13.41秒 |
純粋な認証は約24秒。残りは「使い方」にかかる時間 |
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真正性の即時検証 |
避難所側は専用アプリ不要。Webブラウザとスマートフォンのカメラのみで確認 |
市側との協議により、取得する個人情報は氏名・住所・生年月日の3項目に限定 |
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3つの発行モデル |
イベント連動型・継続学習型・コンソーシアム型の3類型を同時検証 |
市に代わって発行を担う「発行代行モデル」のフロー全体が実際に稼働 |
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One VC, Two Values |
クイズ修了者が式典会場で修了証を提示し、避難所認証を通過 |
平時の学びの証明が、有事の本人確認として機能することを実地で確認 |
5. 見えた壁 ── 成功と同じ精度で、記録しました
本レポートは成功の報告書ではありません。動いたことと、つまずいたことを同じ精度で記した「道標の記録」です。
第一に、壁は技術の性能ではなく、技術と人のあいだの「翻訳」にありました。認証そのものは約24秒で済む一方、「証明書を画面に出す」「メールを探す」に約45秒を要しています。現場の記録には「DID/VCという言葉が、ユーザーにとって分かりにくい」という率直な声も残りました。名前を変え、案内を変え、体験を変える──いずれも次のフェーズで打てる手です。
第二に、避難所受付を本当に変えるには、自治体の基幹システムや管理台帳との連携が前提になるという現実です。そこと紐づかない限り、認証は入口の効率化にとどまります。マイナンバーカードが担える領域でVCが競う理由は乏しい。では、マイナンバーには担えない領域──たとえば災害時に避難所へたどり着いた外国人の受付、災害ボランティアの証明──にこそ、この技術の固有の価値があるのではないか。次の問いは、この壁から生まれました。
6. 実証を終えて、私たちが伝えたいこと
56問のクイズには、こんな設問があります。高齢の母が「この家で80年暮らして何もなかった」と動かない。あなたはどうするか。答えはありません。しかし、一度でも考えたことのある人とない人では、その夜の行動が変わります。
実証終了後の市との振り返りで、ひとつの後日談が共有されました。8週間のクイズがとりわけ響いていたのは、地域の交流センターで活動を担う女性たちの層だったといいます。そのうちの一人、毎朝小学校の前で旗を持って横断歩道に立ち、川の近くの土地の低い地域に住む方が、市の職員にこう言ったそうです。
「続きはないの?」
この方は、ブロックチェーンが何であるかをおそらくご存じありません。それでいい、と私たちは考えています。彼女に届いたのは技術ではなく、毎週月曜に届く「考える時間」でした。
防災は、特別な訓練の日にだけ立ち上がるものではありません。日常の中で「自分ならどうするか」を考え続けている人が、いざという時に自分と隣の人を守る行動を取れる。市の防災担当者との振り返りでも、災害が起きたときの対応と同じくらい、平時から市民が備え、考える体制づくりが大切であり、そこがまだ十分に浸透していないことが共通の課題として語られました。本実証が確かめたのは、突き詰めれば一つのことです。新しい技術は、それを人のために使おうとする人たちの手の中でだけ、社会の仕組みになる。技術は見えなくていい。人と人が関わり合うことこそが、命を守る力になります。
7. 3社代表のコメント
Turing Japan株式会社 代表取締役社長 石川真理
証明書は、受け取り、認める場があって初めて価値を持ちます。600万件の発行実績を持つ私たちにとっても、平時と有事を一枚の証明書で結び、避難所の受付で実際に通した例は初めてです。技術だけでは社会実装は完成しない。防災の専門家、自治体、現場で実測した実務者との共創で、初めて成立しました。DID/VCは世界が同じ方向に進む国際標準の技術です。名前を呼ばれることなく暮らしの裏側で人を支える未来への最初の一歩を、飯塚市で踏み出せたことを誇りに思います。
渋谷Web3大学株式会社 代表取締役/学長 北村元
「誰も取り残さないデジタル化」とは、人がデジタル技術を活用して、人を救う仕組みである──これは本事業で得た結論ではなく、渋谷Web3大学の出発点です。私たちは、体験を起点に学びを定着させ、社会に伝わる形で発信するところまでを一貫して担う会社です。構想から実証、そしてこのレポートまで、飯塚市とともに一つの循環を回し切ったこと自体が、私たちの事業そのものでした。証明書も技術も、それを人のために使う人の手の中でだけ社会の仕組みになる。飯塚市で確かめたのは、その一点です。
株式会社かんがえる防災 代表取締役社長 髙木敏行
防災に百点の答えはありません。想定外にその場で考え、修正しながら動ける人を増やすこと。つまり、防災の本質を理解する人を増やす。それが私たちの仕事です。56問に正解を置かなかったのは、答えを配れば人は考えなくなるからです。技術は、非常時だけのツールにした瞬間に使えなくなります。平時の暮らしに溶け込む設計と、行政と住民が顔の見える関係をつくる人づくりと地域づくりが先。飯塚市の現場は、行政の限界を率直に語るところから始めてくれました。それが本実証の土台です。
8. これから
飯塚市の先端情報技術実証実験サポート事業は令和8年度も継続しており、市はブロックチェーンを推進していく立場を引き続き明確にしています。事業終了レポートは市の防災部門にも共有され、本実証で見えた壁を出発点に、個別避難計画の橋渡し、災害ボランティアの証明、事業者の証明、防災の学びの資格化など、「証明書が固有に効く場所」を市とともに検討していきます(いずれも仮説段階です)。
また、飯塚市内の企業・学生の皆様に向けて本実証を紹介する機会を市と調整しているほか、8週間・全56問のクイズは、地域の防災学習の資産として今後の活用を検討しています。
9. 事業終了レポートについて
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名称:令和7年度飯塚市先端情報技術実証実験サポート事業 事業終了レポート「一つの証明書、二つの価値 ── 5年後の“当たり前”を、飯塚市から始める」
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体裁:全42ページ(PDF)/発行:渋谷Web3大学株式会社/提出:2026年7月27日
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構成:第1部 舞台/第2部 問い/第3部 設計/第4部 記録/第5部 分かったこと/第6部 これから/第7部 クレジット・資料
10. 本事業に関わった人々
実施主体(3社連合)
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渋谷Web3大学株式会社(代表事業者) 代表取締役CEO 北村元 ── 全体統括・クイズ制作
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株式会社かんがえる防災 代表取締役社長 髙木敏行(元消防士・消防司令補/福岡県福智町防災アドバイザー) ── 防災コンテンツ監修
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Turing Japan株式会社 代表取締役社長 石川真理 ── 証明書発行基盤(Turing Certs)
渋谷Web3大学 Createコース 参画メンバー(検証設計・ロールプレイング・実測)
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前山 諭(前山倉庫株式会社 代表取締役社長)
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栗本 豪(JR東海 イノベーション推進室)
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後藤 裕平(JR東海 イノベーション推進室)
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Nguyen Thu Quyn(1BITLAB CEO)
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長谷川 賢哉(一般社団法人リスクファイナンス研究所 代表理事)
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山中 翔太(Delight株式会社 代表取締役)
協力
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飯塚市(産学振興課・防災安全課・情報管理課)、フクオカ・ブロックチェーン・アライアンス、実証にご参加いただいた市民の皆様、関係各社の皆様
用語
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DID(分散型識別子)|特定の企業や政府に依存せず、本人が管理するデジタルの身元。W3Cが2020年に国際標準として勧告。
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VC(検証可能証明書)|改竄不可能で、発行元に問い合わせずに真正性を確認できるデジタル証明書。W3Cが2019年に勧告。
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One VC, Two Values|一つの証明書が平時(学びの証明)と有事(本人確認)の二つの価値を持つ、本事業のコンセプト。
会社概要
Turing Japan株式会社
台湾発のデジタル証明書スタートアップTuring Certsの日本法人。ブロックチェーン技術を用いたデジタル証明書発行基盤を提供し、600万件以上の発行実績を持つ。
所在地:東京都渋谷区神南一丁目11-4 FPGリンクス神南5階
代表取締役社長:石川真理
URL:Turing Japan株式会社

渋谷Web3大学株式会社
実践型のプロジェクト創発コミュニティ「渋谷Web3大学」(2023年3月開講、通算37回、のべ参加3,000人)を運営。
所在地:東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア39階/設立:2021年1月/代表取締役社長CEO:北村元/URL:https://www.shibuyaweb3univ.com/

株式会社かんがえる防災
元消防士が率いる防災専門会社。自治体の防災アドバイザー、防災教育、事業継続計画(BCP)支援等を通じて地域防災に取り組む。
所在地:福岡市博多区博多駅前四丁目27-5 博多ステーションタワー302(営業所:東京都品川区西五反田2-19-12)/設立:2019年8月/代表取締役社長:髙木敏行/URL:https://www.kangaerubousai.co.jp/

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