フィリップス・オークション、ニューヨーク開催のモダン&コンテンポラリーアート・セールのハイライトを発表
アンディ・ウォーホル、クロード・モネ、ゲルハルト・リヒター、ジョアン・ミッチェルらの傑作が牽引する5月19日のイブニングセールは、昨年同等セールの約2倍となる総額を見込む
フィリップス・オークションは、ニューヨークで開催されるモダン&コンテンポラリーアート・セールの主要出品作品を発表しました。5月19日に開催されるイブニングセールは、総額8,700万米ドル超の落札が見込まれており、昨年同時期に開催された同カテゴリーのセール推定総額のほぼ2倍に達する見通しです。本セールでは、アンディ・ウォーホル、クロード・モネ、ゲルハルト・リヒター、ジョアン・ミッチェルといった美術史を代表する作家たちによる希少かつ重要な作品に加え、現代アートを牽引する注目作家たちの作品も出品されます。また、ティナ・ヒルズ旧蔵コレクションやジョン・L・ローブ・ジュニア大使旧蔵コレクションなど、重要な個人コレクションを核として構成されており、優れた来歴と希少性を備えた作品が多数並びます。その多くが今回初めてオークション市場に登場します。
5月21日に開催される「Modern & Contemporary Art: Morning and Afternoon Sessions」では、19世紀末から現代に至るまでの260点以上の作品が出品されます。モーニングセッションでは、19世紀末から20世紀初頭の歴史的重要作に加え、戦後絵画および彫刻の名品を紹介。アフタヌーンセッションでは、素材、アイデンティティ、イメージ生成をめぐる新たなアプローチを探求する現代作家たちの力強い実践に焦点を当てます。

モダン&コンテンポラリーアート・イブニングセール(米東部時間5月19日17時)
1964年に制作されたアンディ・ウォーホルの《Sixteen Jackies》は、今季イブニングセールを代表するトップロットのひとつです。ウォーホル特有の「引用」と「反復」の手法を鮮烈に示す本作は、一枚の報道写真を執拗な視覚的リフレインへと変換しています。ジャクリーン・ケネディほど、そのイメージと不可分な存在となった人物は少なく、また、その現象をこれほど鋭敏に捉えたアーティストもウォーホル以外にはいませんでした。本作では、誰もが知るジャクリーン・ケネディの肖像が、まるで広報用ポートレート写真のような形式で提示され、彼女を純粋に寓意的かつ公共的なシンボルとして位置づけています。気品に満ち、フォトジェニックなファーストレディとして瞬く間にアメリカの象徴となったジャッキーは、その洗練されたスタイルによって、文化的権威と優雅さを体現する存在として広く認識されていました。本作では、同一イメージを反復することで彼女のアイコン性をさらに増幅させると同時に、戦後アメリカ文化において、イメージがどのように流通し、固定化され、絶えず更新されていくのか、そのメカニズムを露わにしています。イブニングセールにはさらに、ウォーホルが「反復」そのものを表現の目的として徹底的に追求した作品《4 Colored Marilyns (Reversal Series)》も出品されます。1979〜1986年に制作された本作は、これまで一度もオークションに登場したことがなく、マリリン・モンロー生誕100周年にあたる今年、その公開出品はきわめて象徴的な機会となります。

また、クロード・モネによる《La route de Vétheuil, effet de neige》(p.1図版)もイブニングセールに出品されます。繊細な筆致の重なりによって描かれた本作は、明るい冬の日の静寂と澄み切った空気感を見事に捉えています。1879年に制作された本作は、モネのキャリアにおいて最も充実し、決定的な時期のひとつに描かれたものであり、ヴェトゥイユへと続く道を描いた3点の連作風景画のなかでも、最初にして最も光に満ちた作品です。本作は、印象派の理念を集約すると同時に、後年の連作へと展開していくモネの実践を予兆するものでもあり、一瞬の大気的効果を永続的な絵画表現へと昇華する彼の卓越した能力を示しています。制作から約150年を経た現在に至るまで、本作は数多くの展覧会に出品されており、フィリップス・コレクション、サンフランシスコ美術館、ブルックリン美術館など、主要な美術館で展示されてきました。

1984年に制作されたゲルハルト・リヒターの《Besen》は、写真と絵画の
d132287-27-1a802aaaee2d75f37987c5149dd476b2.pdfあいだに長年存在してきた彼の対話が、《Abstrakte Bilder(抽象絵画)》シリーズへと結実していく決定的な転換点に位置づけられる作品です。「Free Abstracts(自由な抽象)」の絶頂期に制作された本作は、「箒(ほうき)」を意味するタイトルが示すように、より直接的で、ジェスチャー性と物質性を強調した抽象表現への移行を象徴しています。透明性と不透明性、制御と偶然のあいだを揺れ動く画面は、リヒターが語った「構成と反構成」の均衡を体現しており、固定的な解釈を拒む絵画空間を切り開いています。

今年、フィリップス・オークションは「A Life in Color: Property from the Estate of Tina Hills」と題したティナ・ヒルズ旧蔵コレクションを、ニューヨークで開催される複数のオークションを通じて紹介します。マイアミを中心に文化的景観の形成に大きく貢献したヒルズは、長年にわたる市民活動とフィランソロピーを通じて地域文化を支えた重要人物でした。夫リー・ヒルズとともに築き上げたコレクションは、豊かな色彩感覚とダイナミックな構成を特徴としています。その理念を最も象徴する作品のひとつが、1989年制作のジョアン・ミッチェル《Plain》です。ミッチェル晩年の最も洗練された時期を代表する本作は、身振りと記憶された風景とを力強く融合させています。幅約6フィートに及ぶ大画面の二連画として構成された本作は、ヴェトゥイユ周辺のフランスの風景から得た感覚を、抒情的な筆致と輝く色彩の広がりへと変換しています。ロバート・ミラー・ギャラリーを通じて取得された本作は、約40年にわたりヒルズ家のコレクションに留まり続け、今回初めてオークション市場に登場します。イブニングセールではこのほか、ヘレン・フランケンサーラーやアドルフ・ゴットリーブによる重要作品もあわせて出品されます。

モダン&コンテンポラリーアート:モーニングセッション(米東部時間5月21日10時)
モーニングセッションでは、ロバート・ラウシェンバーグによる代表的な「Urban Bourbon」および「Borealis」シリーズからの重要作2点が中心となります。これらの作品は、近年世界各地で開催された生誕100周年記念展、そして現在ニューヨークのソロモン・R・グッゲンハイム美術館で開催中の展覧会を受けて出品されるものです。両シリーズは、ラウシェンバーグが展開した国際文化交流プロジェクト「ROCI(Rauschenberg Overseas Cultural Interchange)」と時期を重ねており、政治やグローバルな交流への関心が作家の実践において前面化した重要な時期を象徴しています。
「Urban Bourbon」シリーズに属する《Climb》(1993)は、アルミニウム支持体の上に、作家自身が撮影したシルクスクリーン写真を、鮮やかなジェスチャー的筆致やコラージュ要素と組み合わせた作品です。自転車のスプロケットや、二連画をつなぐチェーンなどの素材も用いられています。一方、「Borealis」シリーズの《South Haunt》(1990)では、当時新たに導入された銅板への化学的「腐食」技法が用いられ、金属表面に発光するような輝きが生み出されています。

モーニングセッションではさらに、19世紀後半から20世紀初頭にかけての重要作品群も紹介されます。その中心となるのが、アルフレッド・シスレーによる1894年の風景画と、ピエール・ボナールによる1907年の室内画です。シスレーの《Bords du canal à Moret-sur-Loing》(1894)は、1880年に移り住んだモレ=シュル=ロワン周辺の風景に対する作家の継続的な探究を示す作品であり、土地、空、水面に移ろう光と大気の効果を繊細に観察しています。対照的に、より親密な空気をたたえるボナールの《La fin du repas》(1907)は、作家の妻であり、最も重要かつ長年のモデルでもあったマルトを描いた作品です。食後のテーブルに座る彼女の姿を通して、静かな日常の一場面を詩情豊かなものへと昇華し、家庭生活に宿る親密さと穏やかさを称えています。
モーニングセッションではさらに、19世紀後半から20世紀初頭にかけての重要作品群も紹介されます。その中心となるのが、アルフレッド・シスレーによる1894年の風景画と、ピエール・ボナールによる1907年の室内画です。シスレーの《Bords du canal à Moret-sur-Loing》(1894)は、1880年に移り住んだモレ=シュル=ロワン周辺の風景に対する作家の継続的な探究を示す作品であり、土地、空、水面に移ろう光と大気の効果を繊細に観察しています。対照的に、より親密な空気をたたえるボナールの《La fin du repas》(1907)は、作家の妻であり、最も重要かつ長年のモデルでもあったマルトを描いた作品です。食後のテーブルに座る彼女の姿を通して、静かな日常の一場面を詩情豊かなものへと昇華し、家庭生活に宿る親密さと穏やかさを称えています。


モダン&コンテンポラリーアート:アフタヌーンセッション(米東部時間5月21日14時)
アフタヌーンセッションのトップロットは、リチャード・プリンスによる《High Times》(2017)です。本作は同名シリーズを代表する作品であり、プリンスがこのシリーズにおいて展開した奔放な創作姿勢を鮮やかに示しています。シュルレアリスム、アール・ブリュット、アウトサイダー・アート、さらにはジャン・デュビュッフェにも通じる視覚言語を通じて、ニューヨークのダウンタウン文化に身を置いていた時代の精神を呼び起こしています。本作でプリンスは、自身の「Hippie Drawings」(1998–1999)のモチーフをキャンバス上に拡大し、「引用」という戦略を自己の過去作品へと向けています。
ファイアレイ・バエスによる《magnitude and bond》(2018)は、ハーレムのスタジオ・ミュージアムが企画した展覧会「Joy Out of Fire」のために制作された作品です。ブラック・カルチャー研究の重要拠点であるショーンバーグ黒人文化研究センターでのアーカイブ調査をもとに、ダンサー、振付家、人類学者として知られるキャサリン・ダナムのイメージを再解釈しています。とりわけ1938年のバレエ作品《L’Ag’Ya》への参照を含みながら、鮮烈で光に満ちた色面によって、運動、歴史、集合的記憶が交差する没入的な視覚リズムを生み出しています。
セッション冒頭では、ジョセフ・イェーガー、セイヤー・ゴメス、エマ・ウォーカー、ポル・タビュレといった注目の現代作家たちの作品も出品されます。ミカエラ・イヤーウッド=ダンによる《The girls take their places》(2024)は、クロード・モネの《睡蓮の池》(1899)に応答する形で、ヨーク・アート・ギャラリーのために制作された作品として知られています。



オークション下見会:2026年5月9日〜19日
イブニングセール:2026年5月19日 17:00(米東部時間)https://www.phillips.com/auction/NY010326
モーニングセッション:2026年5月21日 10:00(米東部時間)https://www.phillips.com/auction/NY010426
アフタヌーンセッション:2026年5月21日 14:00(米東部時間)https://www.phillips.com/auction/NY010526
会場:432 Park Avenue, New York, NY
フィリップス・オークションについて
フィリップス・オークション:世界中の好奇心と冒険心が、アート、デザイン、高級品と結びつき、インスピレーションを与えてくれる場所です。20・21世紀の作品を売買するグローバルなプラットフォームとして、フィリップスは近・現代アート、デザイン、写真、エディション、時計、ジュエリーの分野において専門知識を提供しています。オークションと展覧会は主にニューヨーク、ロンドン、ジュネーヴ、香港で開催され、更に、ヨーロッパ、アメリカ、東京を含むアジア各地に代表オフィスが置かれています。フィリップスでは、ライブ及びオンラインオークションを定期的に開催しています。また、プライベートセール、鑑定、査定、ファイナンシャルプランニングに関するサポート含め、収集に関する幅広いサービスとアドバイスも提供しています。詳細につきましては、ホームページをご覧ください。
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