支援する側も、支援される側も、経験してきました。——障害当事者の相談員が大分市に開く、「共に考える」相談支援事業所。

2026年4月、大分市錦町に「相談支援事業所 ぺんぎんサポート」が開設しました。
管理者兼相談支援専門員を務める神林秀規さんは、障害福祉の現場に約23年携わってきたベテランです。B型事業所、生活介護、ヘルパー事業、グループホームなど、あらゆる現場を経験し、そのうち約10年間は相談支援専門員として活動してきました。
この事業所の開設には、神林さん自身が「支援される側」になったという経験が深く関わっています。
きっかけは、長期入院の経験
2024年、神林さんは大きな病気を患い、約1年間の長期入院を経験しました。
治療の過程で気管切開を行い、しばらくの間、言葉で意思を伝えることができない時期がありました。体も動かせず、ペンを握ることすらできない状態で、看護師や介護士に何かを伝えようとしても、伝わらない日々が続きました。懸命に訴えようとしたとき、「もう何を言っているのかわからない!」と言われたこともありました。
「その言葉は、今も印象に残っています」と神林さんは話します。
言葉を取り戻してからも、困難は続きました。体温調整がうまくできず高熱を出し、服薬の影響で大量に汗をかくことがありました。着替えの支援をお願いすると、「着替えは1日1回と決まっているから、さっき着替えたでしょ」と、強い口調で言われました。
退院後には、身体障害者手帳を申請しようとしたところ、医師から「今は歩けているんだから十分ではないですか。必要ないと思います」と言われ、医療ソーシャルワーカーにも「先生がそうおっしゃっているので…」と、親身に対応してもらえませんでした。手術とリハビリを経て現場に復帰した現在も、両下肢には障害が残っています。
当事者として経験したことを、支援に活かしたい
この経験を経て、神林さんの支援に対する考え方にも変化がありました。
「言葉が出なくても、表情や仕草で必死に伝えようとしている。それが伝わらないときの孤独と絶望は、支援される側になって初めてわかったことでした」
目の動き、表情のわずかな変化、手の仕草——言葉にならないコミュニケーションに丁寧に向き合うことの大切さを、改めて実感したといいます。
手帳申請の経験からは、「最初から『できない』『対応しない』と決めつけるような関わりはしたくない。どんな方でも、まずは受け止めて一緒に考えることを大切にしたいと思うようになりました」と話します。
制度の対象や支給量と、本人が本当に必要としているサービスとの間にミスマッチが生じているケースは、現実に少なくありません。そのミスマッチに向き合いながら、一緒に解決策を探すことが相談支援の役割だと、神林さんは考えています。
「相談」という言葉に身構えなくていい
神林さんはいつも明るく、話しやすい雰囲気を持っている人です。本人も話し好きで、これまで関わってきた利用者さんからは「熱すぎるくらい親身」「そこまで自分たちのことを考えてくれるの?」と言われることもあったといいます。もともとポジティブ思考で前向きな性格ですが、そのポジティブさを相手に押しつけることは決してしません。
そんな神林さんが大切にしているのが、最初のハードルをできるだけ低くすることです。ぺんぎんサポートでは、最初から相談の話に入ることはしません。まず挨拶、そして自然な雑談から始めます。マスクをしていても笑顔が伝わるよう表情を意識しながら、まずは場の空気を和らげることを大切にしています。「この一言から始めよう」と決めているものはなく、相手の様子を見ながら自然体で関わっています。
「『相談』『面談』という言葉だけで、緊張してしまう人はたくさんいます。だから最初のハードルをできるだけ低くしたい」と神林さんは話します。
打ち解けてきたら、「なぜ前向きになれないのか」「なぜ一歩踏み出せないのか」という背景を、一緒にゆっくり整理していきます。いきなり大きな変化を求めるのではなく、まず小さな一歩を踏み出せるような関わりを意識し、小さな成功体験を積み重ねながら、その人のペースで歩んでいくことを支援の軸に置いています。
相談員も理事長も、障害当事者
ぺんぎんサポートのコンセプトは「共に考える、共に生きる」。
相談員の神林さんも、運営法人・特定非営利活動法人こんぺいとう企画の理事長・豆塚エリも、ともに障害当事者です。相談員と理事長の双方が当事者である相談支援事業所は、全国的にも珍しい体制です。
神林さんと豆塚理事長が相談支援事業所の立ち上げを決めたのは、関連事業所「就労継続支援B型 ぺんぎんクリエイツ」でサービス管理責任者として働くなかで、「就労支援の枠では解決できない困りごと」に繰り返し直面したことがきっかけでした。働く支援をしていても、その手前にある生活の困りごとが解決しなければ前に進めないケースがある——そう感じた神林さんと豆塚理事長は、生活全体を包括的に支える相談支援の場が必要だと考え、ぺんぎんサポートを開設しました。
障害のある方・ご家族の方へ
ぺんぎんサポートは、身体・知的・精神・難病などの障害のある方およびそのご家族を対象としています。生活全般の相談や障害福祉サービスの案内(基本相談支援)、サービス等利用計画の作成(計画相談支援)、サービス利用後の状況確認や計画の見直し(モニタリング)、関係機関との連携・調整など、幅広い相談に対応しています。
「これからどうしたらいいんだろう」「誰に相談したらいいんだろう」と迷っている方はもちろん、「こんなこと相談していいのかな」と躊躇している方も、まず気軽に声をかけていただければと思います。うまく言葉にならなくても、一緒に整理するところから始めます。
児童については、児童専門の相談支援事業所をご紹介するなど、関係機関へのつなぎも可能です。大分市・別府市を中心に、その他の地域についてもまずはご相談ください。
事業所情報
相談支援事業所 ぺんぎんサポート
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開設日:2026年4月1日
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所在地:〒870-0024 大分県大分市錦町3丁目4−24
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営業時間:9:00〜17:00
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対象:身体・知的・精神・難病などの障害のある方およびそのご家族
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実施地域:大分市・別府市・その他(要相談)
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管理者兼相談支援専門員:神林 秀規
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TEL:080-7491-7872
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e-mail:penguin_support@kompeito.org
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運営法人:特定非営利活動法人こんぺいとう企画(理事長:豆塚エリ)
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関連事業所:就労継続支援B型 ぺんぎんクリエイツ(2025年8月開設)
提供サービス 基本相談支援 / 計画相談支援 / モニタリング / 関係機関との連携・調整
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