フォーブス「日本長者番付 2019」発表　柳井正が首位に返り咲き

2019年4月11日─フォーブスの2019年版「日本長者番付」の1位は、カジュアル衣料品店「ユニクロ」を傘下に持つファーストリテイリングの創業者、柳井 正だった。2016年以来の首位となる。

上位50人の全リストは、 WEB特設ページ https://forbesjapan.com/feat/japanrich/ と「Forbes JAPAN」7月号（5月25日発売）に掲載される。

日経平均株価がここ一年間で5％上昇した一方、長者番付に名を連ねた50人のうち31人が、前年より資産を減らした。リストに名前が挙がった50人が保有する資産の総額は、3月22日時点で総額1780億ドル（約19兆7800億円）。前年の合計額1860億ドルより減少した。

国際的に事業を展開する衣料品大手ファーストリテイリングの株式のうち、44％を保有する柳井 正とその家族の資産は、およそ249億ドル。この一年でドル建て資産を最も増やしたのは柳井だった。昨年の193億ドルから、29％に当たる56億ドル増やしている。柳井の積極的な事業拡大により、同社は現在、衣料小売りで世界第3位となっている。

ソフトバンクの孫 正義は、昨年の首位から2位となった。ただ、ソフトバンクの株価は上昇しており、孫の保有資産も前年から21億ドル増加、240億ドルとなっている。孫が設立した1000億ドル規模のソフトバンク・ビジョン・ファンド（SVF）は、多額の投資で広く注目を集める。SVFはサウジアラビアのパブリック・インベストメント・ファンド（PIF）から450億ドルの出資を受けている。その他、アブダビ首長国のムバダラ開発公社、アップル、クアルコム、オラクルの共同創業者で富豪のラリー・エリソンなどもSVFに出資している。

前年より資産を増やしたもう一人は、キーエンスの創業者である滝崎武光だ。保有資産は10億ドル増えて186億ドルとなり、前回の4位から1ランク順位を上げた。東証1部上場のキーエンスは、工場の機械やロボットの性能を監視するために使われるセンサーにより、中国で安定的な成長を続けている。

4位に入ったのは酒類大手サントリーの佐治信忠と家族だった。保有資産は昨年の180億ドルから減少、およそ108億ドルとなった。推定資産が減少した理由の一つには、新たに得た情報により、これまで佐治家の保有とされていたサントリー株の一部が、慈善団体の所有であると確認されたことがある。世界的なビール販売の低迷も、資産の減少につながった。

楽天の創業者、三木谷浩史（5位、60億ドル）は資産を昨年の54億ドルから6億ドル増やした。三木谷は55億ドルをかけて日本国内に新たな通信ネットワークを構築することで、業界を「破壊」しようしている。楽天モバイルの新サービスは、より安価で高速、信頼性の高いネットワークを提供するとしており、それにより約1000万人のユーザーを獲得することを目指している。三木谷は「フォーブス・アジア」4月号の表紙を飾っている。

 

今回の番付に入った富豪のうち、資産の増加率が最も高かったのは、SGホールディングスの会長、栗和田榮一（25位、17億5000万ドル）だ。前回の12億ドルから45.8%増やした。栗和田は2017年にSGホールディングスを東証1部に上場させたことで昨年、初めて番付に名前を並べた。上場以来、同社の株価は40%以上値上がりしており、栗和田の順位は昨年の40位から急上昇している。

今年の日本長者番付には、4人が初めてランクインした。7位には、保有資産52億ドルの高原豪久が入った。2001年からユニ・チャーム代表取締役社長を務める高原は、同社の創業者である父の高原慶一朗が昨年10月に死去したことを受け、その保有していた同社株を2人のきょうだいと共に引き継いだ。

その他、昨年6月に上場したフリマアプリサービス「メルカリ」創業者の山田進太郎（33位、13億ドル）、ビジネスホテル・チェーンを展開するアパグループ創業者の元谷外志雄（36位、12億ドル）、東証1部上場の不動産仲介・マンション開発会社オープンハウス創業者の荒井正昭（49位、9億300万ドル）が初めてランク入りした。

一度リストから外れたものの、今回番付に返り咲いたのは、国内最大規模で書籍販売や映画・音楽のレンタル事業などを手掛けるTSUTAYAの最高経営責任者（CEO）、増田宗昭（37位）一人だった。

また、今回ランキングから外れた富豪の中で目を引くのは、人材派遣会社を創業、女性として日本で初めて自力でビリオネアになった篠原欣子だ。総合人材サービスを展開するパーソルホールディングスの株価はここ1年で、30％以上下落している。また、株価が50%値下がりしたロボット開発を手掛けるサイバーダインの創業者、山海嘉之もリストから外れた。

50位に入った富豪の保有資産は、昨年の9億6000万ドルよりより少ない9億ドルだった。

日本長者番付トップ10
1) 柳井 正：249億ドル
2) 孫 正義：240億ドル
3) 滝崎武光：186億ドル
4) 佐治信忠：108億ドル
5) 三木谷浩史：60億ドル
6) 重田康光：54億ドル
7) 高原豪久：52億ドル
8) 森 章：47億ドル
9) 永守重信：45億ドル
10) 毒島秀行：44億5000万ドル

ランキングは個人から入手した情報に加え、証券取引所やアナリストら、政府機関の公開情報その他を基に作成している。番付に入った各氏の保有資産は、2019年3月22日の株価の終値と為替レートに基づき算出。非公開会社の創業者などの場合は、類似した公開会社の財務比率その他との比較から推計した。また、各氏の保有財産には家族の資産を含む場合もある。

詳細については、下記リンクから閲覧が可能。
https://www.forbes.com/japan｜https://forbesjapan.com/feat/japanrich/

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