Arm、クライアント向けCPUのロードマップを発表
モバイルおよびラップトップのパフォーマンス向上を加速
※本資料は英Armが2018年8月16日に発表したニュースの抄訳です。
英Arm(本社:英国ケンブリッジ、日本法人:神奈川県横浜市、以下Arm)は、モバイル端末やラップトップコンピュータなどクライアント向けCPUの今後のロードマップとパフォーマンス数値を初公開しました。
発表の概要:
- Arm、CPUの今後のロードマップとパフォーマンス数値を初公開
- 2020年までの間、クライアント向けCPUは演算性能が前年同期比で15%以上の進化を達成する見込み
- 5Gの常時起動・常時接続デバイス向けに設計されたロードマップを通じ、Armはラップトップ市場のシェア拡大に向けたポジションを確立
Armが最近発表したCortex-A76 CPU(*1)は、こうした取り組みを裏づける最新の事例です。Cortex-A76は、パフォーマンスが前世代比35%増という、未曾有の進化を達成し(*2)つつ、効率性に関しても妥協はありません。本製品は、複数の理由から業界のマイルストーンであるといえます。第一にこれは、年内の生産が予定される初の7nm SoCの、基礎となるCPU IPです。より重要な点として、Cortex-A76は、驚異的なペースでのパフォーマンスの向上の道のりが、今後も続いていくことを意味しています。これにより、一般消費者はスマートフォンでより多くの作業をこなせるようになり、マスマーケットのラップトップCPUに対しても、パフォーマンスで対等に戦えるようになります。
*1) https://www.arm.com/news/2018/05/arm-announces-new-suite-of-ip-for-premium-mobile-experiences
*2) https://community.arm.com/processors/b/blog/posts/cortex-a76-laptop-class-performance-with-mobile-efficiency
未来を見据えて:常時起動・常時接続ユーザーにとっての、画期的なパフォーマンス
Armにとってもう1つのマイルストーンとして、Armのクライアント事業部門において、現在から2020年までの演算性能データとCPUロードマップの両方を公開することになりました。いかなる種類であれ、Armがロードマップを公開するのは今回が初めてとなります。10月に開催される年次イベントArm TechCon(*3)では、さらに多くの情報が公開される予定です。
*3) https://www.armtechcon.com/
ArmのクライアントCPUのロードマップに関する重要な詳細情報は以下の通りです。
- Cortex-A76の後継製品は、「Deimos」のコード名で呼ばれており、2018年中にはパートナーに提供される予定です。最新の7nmノードに最適化された「Deimos」は、Arm DynamIQテクノロジーをベースとしており、演算性能は15%以上向上する見込みです。
- 2019年には、「Hercules」のコード名で知られるCPUが、Armパートナーに届けられる予定です。「Hercules」もDynamIQテクノロジーをベースとしており、最新版の5nmと7nmの両方のノードに最適化されます。「Hercules」は、演算性能の向上の道のりを継承しつつ、5nmプロセス・ノードでは達成可能な消費電力と実装面積も10%効率化します。
ArmのクライアントCPUのロードマップは、5Gがもたらすすべてのクライアント機器に、破壊的イノベーションを活用できるよう設計されています。これにシリコン・パートナーやファウンドリ・パートナーのイノベーションが加わることで、Arm SoCはx86で支配された市場をブレークスルーし、今後5年間では、WindowsラップトップとChromebookの市場シェアを大幅に獲得できると期待されます。
さらに、Arm ArtisanフィジカルIPプラットフォームとArm POP IPによって、Armパートナーは今後、プロセス・ノードの選択に関わらず、自社のSoCから、ワットあたりパフォーマンスを余すところなく引き出せるようにもなります。Artisanは、Armのファウンドリ・パートナーを対象とした、130nmから5nmまでの業界をリードするプロセス・ノードの重要な構成要素です。一方のPOP IPにより、Armのパートナーは、さまざまな世代のArmコアを通じ、市場をリードするパフォーマンス・消費電力・面積(PPA)を達成できます。Arm POP IPはすでにラップトップクラスのパフォーマンスの実現をCortex-A76の7nm SoCでサポートしており、パートナーにとっては、今日のマスマーケット向けx86プロセッサの約半分の消費電力で、3.0GHzから最大3.3GHzのクロック速度を達成できます。
堅牢かつ急速に拡大するラップトップ・エコシステム
超薄型・軽量のフォームファクター、終日のバッテリ駆動、最高のレスポンスを特長とする、常時起動・常時接続のラップトップを実現するにあたって、市場をリードするPC OEMはすでに、効率性が重要な差別化要因であることを認識しています。ArmベースのQualcomm Snapdragon SoCを採用したWindows 10システムはすでに、ASUS、Lenovo、HPによって提供されており、今後はSamsungもこれに加わることを発表済みです。(*4)マイクロソフトとの協力により、これらのパートナーは、1年前まで不可能だった、コネクティビティと常時起動の体験による、新たな選択肢をユーザーに提供しています。
*4) https://www.qualcomm.com/news/releases/2018/06/04/qualcomm-announces-snapdragon-850-mobile-compute-platform-windows-10-pcs
しかしArmは、効率性のリーダーシップのみに依拠して、モバイル・エコシステムを構築したわけではありません。設計上の進化を毎年継続することでパフォーマンスの向上を加速させつつ、効率性とシリコンの実装面積も向上させてきました。その結果、Armのシリコン、ソフトウェア、OEMパートナーのエコシステムは、最新のイノベーションと機能を搭載したスマートフォンを毎年市場に投入することができます。Armの最新ロードマップは、これらと同じ毎年のPPAの向上をPC業界にもたらしていること、そして、かつてないイノベーションの加速に向けた、機会と実現性の両方が備わっていることを、明確に示しています。
Qualcomm Technologies社のモバイル部門シニア・バイスプレジデント兼ジェネラル・マネージャであるAlex Katouzian氏は、次のように述べています。「当社の多岐にわたるIPブロックと統合コネクティビティを通じた、Qualcommのヘテロジーニアスなコンピューティング・アプローチと、Armが今回発表したCPUロードマップによって、Qualcomm Snapdragonのモバイル・コンピューティング・プラットフォームが提供する常時起動・常時接続のPC体験には、新たな進化が実現します。最高のバッテリ駆動時間、スリムで革新的なフォームファクター、外出先でも生産性を発揮するWindows 10を通じ、モバイル分野の最高の要素をPCにお届けするという、当社の使命は今後も変わりません」
ArmのPCエコシステムを拡大すると同時に、プロセス技術は2年に1度、段階的にしか進化しないものであり、ラップトップは数時間おきに充電が必要だという既成概念にもはや縛られていないことを世界に示す上で、2018年は重要な第一歩となりました。急速なイノベーションにより、スマートフォンは人々から選ばれる演算プラットフォームとなりましたが、今後はより大画面のデバイスでも、イノベーションによる変革が訪れるはずです。私たちが5G時代を迎える中、ペースの落ちているムーアの法則から自らを解放し、一般消費者や企業が必要とする、モバイル・プロダクティビティ体験を提供する準備はできているでしょうか。
Armについて
Armのテクノロジーは、コンピューティングとコネクティビティの革命の中心として、人々の暮らしや企業経営のあり方に変革を及ぼしています。そのエネルギー効率に優れた高度なプロセッサ設計は、1,250億個以上のチップを通してインテリジェントなコンピューティングを実現してきました。Armのテクノロジーは各種センサーからスマートフォン、スーパーコンピュータまで、さまざまな製品をセキュアにサポートしており、世界人口の70%以上に使用されています。さらに、このテクノロジーにIoTソフトウェアやデバイス管理プラットフォームを組み合わせ、顧客がコネクテッドデバイスからビジネス価値を生み出すことを可能にしています。Armは現在1,000社以上のテクノロジーパートナーとともに、チップからクラウドまで、演算が行われるあらゆる分野における設計、セキュリティ、管理を支える技術の最先端を担っています。
全ての情報は現状のまま提供されており、内容について表明および保証を行うものではありません。本資料は、内容を改変せず、出典を明記した上で自由に共有いただけます。ArmはArm Limited(またはその子会社)の登録商標です。その他のブランドあるいは製品名は全て、それぞれのホールダーの所有物です。© 1995-2018 Arm Group.
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