現場が動けばDXは進む──329件の事例から見えた製造業の市民開発【ものづくり新聞製造業DX事例分析vol.04】

ローコード・ノーコード活用、業務アプリ内製化、紙帳票電子化、AI活用。製造現場が自ら進めるDXが拡大している

株式会社パブリカ

株式会社パブリカが運営しているものづくり新聞(代表:伊藤宗寿)は、世界の製造業DX事例を継続的に収集・分類している「製造業DX事例データベース」をもとに、リアルな課題と解決策を紐解くレポートを配信しています。このデータベースは、ものづくり新聞が日本と世界のニュース記事やプレスリリースなどを毎日自動取得しデータベースに蓄積する仕組みで、製造業向け情報発信を目的として構築した仕組みです。

今回の分析では、市民開発、シチズンデベロッパー、ローコード、ノーコード、Power Platform、Power Apps、Power Automate、kintone、Mendix、OutSystems、AppSheet、業務アプリ、内製化、内製開発、現場主導、現場改善、紙帳票、帳票電子化、Excel業務などに関連する事例を抽出しました。

抽出された関連事例は329件(2026年6月末現在)でした。分析の結果、製造業DXは、IT部門や外部ベンダーが主導する大規模システム導入だけでなく、現場部門が自ら小さな課題を見つけ、ローコード・ノーコード、業務アプリ、データ可視化、AI活用などを使って改善を進める段階へ広がっていることが見えてきました。

調査の背景:現場担当者が自らの手で改善を進めている

製造業の現場には、紙帳票、Excel管理、手作業の転記、個別最適化された業務フロー、部門ごとの独自管理など、多くの小さな“非効率”が残っています。

近年、ローコード・ノーコードツールやクラウドサービスの普及により、専門的なプログラミング知識がなくても、現場担当者が業務アプリやワークフローを作成できる環境が整いつつあります。

「現場改善をデジタル化したいが、どこから始めればよいかわからない」

「紙帳票やExcel業務をなくしたいが、大規模システム化までは難しい」

「市民開発を進めたいが、野良アプリ化やガバナンスが不安」

「IT部門と現場部門の役割分担をどう設計すべきか知りたい」

こうした課題に対応するため、ものづくり新聞では、日々更新している製造業DX事例データベースをもとに、関連事例を分野別に整理しました。

市民開発・現場主導DX関連事例329件の分類

今回の分析では、関連事例を以下の6分野に分類しました。

分野

件数

主な内容

市民開発人材・全員参加型DX

110件

シチズンデベロッパー育成、DX道場、全員DX、現場担当者のデジタル活用教育

AI/データ活用の現場実装

101件

ノーコードAI、需要予測、AI検査、データ分析、現場データ活用

ローコード・ノーコード基盤活用

49件

Power Platform、Power Apps、kintone、Mendix、OutSystemsなどの活用

紙帳票・Excel業務のデジタル化

26件

紙帳票電子化、日報・点検記録・作業記録のデジタル化、Excel業務削減

現場改善・小さく始めるDX

23件

現場主導の改善活動、スモールスタート、部門単位の業務改善

業務アプリ・システム内製化

20件

業務アプリ開発、社内システム内製化、現場部門とIT部門の協働

もっとも多いのは「市民開発人材・全員参加型DX」で110件でした

この分野では、現場担当者を対象にしたDX教育、シチズンデベロッパー育成、全社員参加型の改善活動、DX道場、社内コミュニティ、部門横断のデジタル活用推進などが含まれます。市民開発は、単に現場担当者がアプリを作ることではありません。現場が課題を見つけ、改善案を形にし、IT部門やDX推進部門と連携しながら、継続的に業務を変えていく仕組みです。

紙帳票・Excel業務のデジタル化は、市民開発の入口になりやすい

製造現場のDXは、いきなり高度なAIや大規模システムから始まるとは限りません。むしろ、紙帳票をなくす、Excelの二重入力を減らす、現場記録をその場で入力できるようにする、といった身近な課題から始まることが多くあります

こうした小さな改善は、現場にとって効果を実感しやすく、市民開発の第一歩になりやすいテーマです。

分析から見えた3つの傾向

1. DXは「大規模システム導入」だけでなく「小さな現場改善」へ広がっている

市民開発・現場主導DXは、紙帳票、Excel、手作業、属人的な確認、二重入力など、現場の小さな課題を、現場自身がデジタルで改善する取り組みとして広がっています。

2. 市民開発の鍵は、ツールではなく人材育成と運用ルールにある

ローコード・ノーコードツールを導入するだけでは、市民開発は定着しません。現場担当者が業務課題を整理し、アプリを作り、改善効果を確認できるようにするための教育が必要です。ツールと人材教育のセットで価値を発揮します。

3. 現場主導DXは、製造業の改善文化と相性が良い

製造業には、現場が自ら課題を見つけ、改善を重ねる文化があります。市民開発は、この改善文化をデジタル時代に拡張する取り組みと見ることができます。

市民開発・現場主導DXを進めるために必要なこと

今回の事例分析から、現場担当者発信の改善活動、市民開発などを検討する際には、以下の観点が重要であると考えられます。

・現場課題を起点にテーマを設定すること

・紙帳票・Excel業務など、効果を実感しやすい領域から始めること

・ローコード・ノーコードツールを導入するだけでなく、使い方を教育すること

・IT部門・DX推進部門が相談窓口やテンプレートを整備すること

・アプリ開発のルール、権限、セキュリティ、データ管理を整備すること

・小さな成功事例を社内で共有し、横展開すること


株式会社パブリカ

製造業を中心としたコンサルティングサービス(プロジェクトマネージメント、DXコンサルティング)を軸に、製造業向けウェブメディア事業(ものづくり新聞)、製造業向けDX人材育成プログラム(Innovation Maker Academy)などを手掛けています。私たちの夢は、ものづくりを通して好奇心と喜びでワクワクし続ける社会の実現です。目には見えない「作る人の想い」と変革の力を掛け合わせ、ものづくり企業と共に心躍る未来をつくり続けます。
HP:株式会社パブリカ

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ものづくり新聞は、「ものづくりを通して好奇心と喜びでワクワクし続ける社会の実現」を目指すウェブメディアです。中小製造業や工芸職人のインタビュー記事や、製造業のDX・業務改革に関する情報を発信するメディアです。

この活動の一環として、国内外の製造業DX事例を継続的に収集し、業種、地域、技術、業務領域、活用テーマごとに分類・分析することで、製造業の実務者が自社の取り組みに活用できる情報提供を目指しています。

ウェブサイトはこちらから⇨makingthingsnews.com

製造業向けDX人材育成プログラム「Innovation Maker Academy」

ものづくり新聞による取材やコンサルティング活動により得た知見をもとに、製造業向けDX教育事業「Innovation Maker Academy」を展開しています。デジタル活用やDX推進課題に対して専門講師が講義やワークショップを実施いたします。「ものをつくる人から、変革を動かす人へ」をコンセプトに掲げ、ツール導入ありきではない教育プログラムをご提供しています。

ホームページはこちらから⇨imacademy.jp

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ものづくり新聞 編集部(製造DX担当)

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会社概要

株式会社パブリカ

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URL
https://publica-inc.com/
業種
サービス業
本社所在地
東京都江東区三好1-8-3-2F
電話番号
03-4405-4370
代表者名
伊藤宗寿
上場
未上場
資本金
110万円
設立
2017年09月