日本企業の生産性向上を阻む2つの壁とその打開策とは
〜ナレッジマネジメント導入の先進企業事例〜
- 企業が生産性向上に取り組むべき背景
日本生産性本部から公表された「労働生産性の国際比較2021」では、日本の時間あたりの労働生産性はOECD加盟の37ヵ国中21位で、主要先進国7ヵ国で見ると1970年以降は最下位の状況が続いています。
また、日本国内の労働人口は減少の一途を辿り、それと同時に働き方改革によって残業時間の短縮も求められています。国際競争に打ち勝ち、企業が生き残るためには生産性向上に取り組まなければ、労働による成果量は減少し続けていきます。
それでは企業にとって、生産性を高めるために何が必要なのでしょうか。私たちは生産性向上を阻む2つの高い壁の存在を認識し、それを乗り越える必要があると考えています。
- 生産性向上を阻む2つの壁とは
(1)ホワイトカラーの1日114分を奪う情報検索の壁
生産性向上を実現するには、分母である業務時間を削減するか、分子であるアウトプットを向上させるか、いずれかの視点で対策を考える必要があります。前者の業務時間の削減に向けて、時を追うごとに肥大化していくのが、「社内で情報を探す時間」です。米国IDCの調査*によると、ホワイトカラーが情報検索に費やす時間は1人あたり1日114分、年間約144時間にも及ぶと言います。業務を進めていく上で、情報検索自体が目的であることは少なく、大半のユーザーにとってできる限り最小化すべき時間と言えるでしょう。
(2)「262の法則」を生む属人化の壁
「262の法則」とは、「どのような組織も、人材の構成比率は、優秀な働きを見せる人が2割、普通の働きをする人が6割、貢献度の低い人が2割となる」という理論を指します。一定人数を超える組織では、当たり前となっているこの法則を覆すことができるのは、「2割のハイパフォーマーによる知見共有」にあると考えます。「262の法則」が当てはまってしまう大きな原因の一つは、2割のハイパフォーマーはなぜハイパフォーマーなのか、がブラックボックス化しているためです。2割のハイパフォーマーのノウハウなどを共有し、属人化を排除することが成果を安定させ、持続可能性の高い組織を実現することにつながります。
- 2つの壁を乗り越えるために必要なものとは
生産性向上のためには、企業内に散在する情報を資産として一元管理し、社員が必要な時に必要な情報にたどり着くことができる仕組みを整える必要があります。例えば1,000人の企業で現状の労働投下量が1,000で、アウトプットも1,000だとします。その場合の生産性は1です。そのうち、情報の検索時間を1人あたり1時間削ることによって、仮に、労働投下量が125削減できると875、それに加えて6割のメンバーのアウトプットが1.2倍になると、全体のアウトプット量は1,120になります。労働投下量が875、アウトプットが1,120になるため、生産性は1.28です。
このように情報資産の蓄積・管理を行うことを「ナレッジマネジメント」と言い、企業がナレッジマネジメントに取り組むことこそが生産性向上の重要なカギになると私たちは考えています。ナレッジマネジメントを実現するには、社内の知見が共有されるような場を提供すること、そのような企業文化を醸成すること、ひいてはそれらを評価に紐付けることが必要です。
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・設立:2016年10月3日
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