”「生きる」に寄り添う”本の賞 『第２回 生きる本大賞』「小山さんノート」「文化の脱走兵」の2作品がダブル受賞

　

　イオングループの株式会社未来屋書店（本社：千葉市美浜区、代表取締役社長：平川雅隆 以下、未来屋書店）は、複数書店の有志書店員と連携し、多様な社会に対し「生きる」ことに寄り添い助けるような書籍普及を目的として、2025年6月7日（土）に『第2回　生きる本大賞』を発表、一部店舗にてフェアを開催します。

 ■『生きる本大賞』とは

　複数の書店、書店員が選んだ“「生きる」に寄り添う本”に贈る小さな文学賞です。様々な環境で暮らす人々の「生きる」助けになるような、そんな本を手に取って欲しいという想いから生まれました。約1年間に発売された“「生きる」に寄り添う” 広義のノンフィクション・エッセイの書籍から、有志書店員が各書店で1作品を候補作として選出し、選考会を経て「一番良かった、伝えたい本」を大賞として選出します。

　2023年12月に創設、発表された『第1回生きる本大賞』は、土門蘭 著「死ぬまで生きる日記」（生きのびるブックス 刊）が大賞に選出されました。

　『第2回生きる本大賞』では、往来堂書店（東京都文京区）、ときわ書房志津ステーションビル店（千葉県佐倉市）、もくめ書店（山梨県南都留郡道志村）、本屋B＆B（東京都世田谷区）と未来屋書店が参加し、書店の垣根を越えて運営に取り組んでいます。

■『第2回 生きる本大賞』　大賞・ノミネート作

【大賞】

書名：小山さんノート　編集：小山さんノートワークショップ　出版社：エトセトラブックス

書名：文化の脱走兵　著者：奈倉有里　出版社：講談社

※ダブル受賞

【ノミネート作】

書名：いつかみんなでごはんを: 解離性同一性障害者の日常　著者：碧月はる　出版社：柏書房

書名：あらゆることは今起こる　著者：柴崎友香　出版社：医学書院

書名：安全に狂う方法　アディクションから掴みとったこと　著者：赤坂真理　出版社：医学書院

■【大賞受賞作】「小山さんノート」

【選考者コメント】

　ホームレスの「小山さん」がノートに綴った生きる日々。小山さんの人生、彼女に寄り添った人々に光をあてる事。それは書店員として私の義務だと思った。

　小山さんが自分自身であろうとした「生」の痕跡、そして文字起こしを経て一冊になった過程には、携わった人の「生」を感じる。「生」のバトンが繋がれたこの一冊は、読者の「生」にも寄り添うだろう。

【編集者受賞コメント】

　「私は私の心に忠実に生きていきたかった。」（本書27ページから抜粋）

　小山さんは公園のテント村に暮らし、2013年に亡くなりました。遺されたのは、日々の嬉しいこと、つらく苦しいこと、さまざまにめぐる思考や空想、回想、それらを書き綴った膨大なノート。なけなしのお金で喫茶店のいつもの席に座り、ノートを書き綴ることは、小山さんにとって生きることそのものだったと思います。

　小山さんの死後に集まった私たちにとって、そのノートを読み、書き起こし、ワークショップとしてわかちあうことは、小山さんと対話し、生きる力を呼びおこされる経験でした。

　そうして生まれた「小山さんノート」が、今回の受賞を機にまだ知らない方にも届いて、これからも生きていくことを願っています。困難で思うようにいかない人生の中で、それでも自分自身を決して手離さない小山さんの言葉が、また他の誰かの「生きる」を照らしてくれますように。

【著者プロフィール】

小山さんノートワークショップ

　2015 年３月から月１回ほどのペースで集まり、小山さんが遺した手書きのノートの文字起こしや、小山さんが歩いた道をノートに書かれたとおりにたどってみるフィールドワーク、路上朗読会、ノートとのかかわりを語りあう座談会などを行ってきた。野宿者、ひきこもり、非正規労働者、アーティスト、留学生、研究者など、様々なメンバーがゆるやかに入れ替わりながら継続している。

【内容紹介】

　「小山さん」と呼ばれた、ホームレスの女性が遺したノート。

時間の許される限り、私は私自身でありたい--2013年に亡くなるまで、公園で暮らしながら、膨大な文章を書きつづっていた小山さん。町を歩いて出会う物たち、喫茶でノートを広げ書く時間、そして、頭のなかの思考や空想。満足していたわけではなくても、小山さんは生きるためにここにいた。

　80冊を超えるノートからの抜粋とともに、手書きのノートを８年かけて文字起こししたワークショップメンバーによるそれぞれのエッセイも収録。

■【大賞受賞作】「文化の脱走兵」

【選考者コメント】

　ことばを通して平和と愛が広がる。小手先の大義にだまされず、自分の心で行動するには、詩を、本をきちんと読まなければならないと説く。今この時代だからこそ響くどこまでも鋭くて優しいエッセイ。

　決して剣に与することのないペンの精神を携えて、逃げるのだ。そのかたわらに信頼できる小説や詩があったなら、それほどに心強いことはないだろう。

【著者受賞コメント】

　このたびは『生きる本大賞』をいただきまして、ほんとうにありがとうございます。

　私たちは、いま世界で続く戦争、これからの世界に対する不安といった、大きな社会不安のある現在に生きています。けれども、さまざまなニュースから受ける衝撃に気力を奪われてしまいがちなときにこそ、本がくれる力があります。

　この本は仲間を探しています。戦争から脱走しながら、国も職業も年齢も性別も超えて生きていく人々と、本を読む方々と、ひとときの読書の時間をご一緒できたら嬉しいです。

 

【著者プロフィール】

　1982年、東京都生まれ。ロシア文学研究者、翻訳者。2008年、ロシア国立ゴーリキー文学大学を日本人として初めて卒業する。東京大学大学院修士課程を経て博士課程満期退学。博士(文学)。2022年、「夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く」

(イースト・プレス)で第32回紫式部文学賞、「アレクサンドル・ブローク 詩学と生涯」(未知谷)などで第44回サントリー学芸賞(芸術・文学部門)受賞。2025年、「文化の脱走兵」で第76回読売文学賞(随筆・紀行賞)受賞。同年、第18回「わたくし、つまりNobody賞」受賞。主な訳書にミハイル・シーシキン「手紙」(新潮クレスト・ブックス)、サーシャ・フィリペンコ「理不尽ゲーム」「赤い十字」(集英社)、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ「亜鉛の少年たち アフガン帰還兵の証言 増補版」(岩波書店)ほか多数。近著に「ロシア文学の教室」(文春新書)。

【内容紹介】

第76回読売文学賞（随筆・紀行賞）受賞作。

本を片手に、戦う勇気ではなく逃げる勇気を。

紫式部文学賞を受賞したロングセラー「夕暮れに夜明けの歌を」の著者が、言葉を愛する仲間たちに贈る、待望のエッセイ集。

■『生きる本大賞』概要

【名称】　　　　　　『第２回　生きる本大賞』（いきるぼんたいしょう）

【コンセプト】　　　多様な社会に対し“「生きる」に寄り添う”書籍を提案する書籍賞

【選考基準】　　　　対象期間(2023年9月から2024年12月)に発売された“「生きる」に寄り添う”広義のノンフィクション・エッセイの書籍から選書。有志書店員8名の選考委員が候補を選出し、選考会を経て「一番良かった、伝えたい本」を大賞、その他候補作をノミネート作として選定。

　　　　　　　　　　

【大賞発表日】　　　2025年6月7日（土）

【展開開始日】　　　発表後、随時

【実施店舗】　　　　未来屋書店　全国118店舗

　　　　　　　　　　往来堂書店（東京都文京区）

ときわ書房志津ステーションビル店（千葉県佐倉市）

もくめ書店（山梨県南都留郡道志村）

本屋B＆B（東京都世田谷区）

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■会社概要

【社名】 株式会社未来屋書店

【本社】 千葉県千葉市美浜区中瀬1-5-1イオンタワー9F

【電話番号】 043-298-1021（代表）

【設立】 1985年12月24日

【資本金】 1億円（イオン(株)100％出資）

【代表取締役社長】 平川 雅隆

【事業内容】 書籍・雑誌の販売／文具・雑貨の販売／コワーキングスペースの運営

【経営理念】 知識と文化の公器として、学びと成長のある社会をつくる

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■本件に関するお問い合わせ先

株式会社 未来屋書店

千葉県千葉市美浜区中瀬1-5-1イオンタワー9F

e-mail : [e-mail]

公式ホームページ : https://www.miraiyashoten.co.jp