アラヤ、安全運転の神経基盤に関する研究成果を発表。fMRIを用いた運転時の脳活動と眼球運動の相関研究で新たな知見。

■概要
人工知能(AI)・脳神経科学の研究・研究開発支援を行う株式会社アラヤ(東京都千代田区 代表取締役社長:金井 良太、以下 アラヤ)は株式会社本田技術研究所(本社:埼玉県和光市、代表取締役社長:大津 啓司、以下 「本田技術研究所」)と共同で、MRI対応運転シミュレーターを用いて安全運転に関わる脳活動と視覚行動の相関を解明する研究を実施し、その成果をSociety for Neuroscienceの学術大会Neuroscience 2024 (10月5日-9日, シカゴ)にて発表しました。
■背景
アラヤ(東京都千代田区)は脳研究を産業に応用し、業界に特化したソリューションを開発・提供しています。今回、本田技術研究所、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(以下QST)と共同で、MRI対応運転シミュレーターを用いて安全運転に関わる脳活動と視覚行動の相関を解明する研究を実施しました。交通事故の多くは運転手の判断ミスや見落としなどの人的エラーに起因しています。特に高齢化が進む日本では、運転による事故防止が重要な社会課題となっています。これまでの研究から、事故を起こしやすいドライバーと安全運転のドライバーでは、運転中の目の動きが異なることが分かっていました。しかし、なぜそのような違いが生じるのか、また、その違いが脳のどのような働きと関係しているのかは明らかになっていませんでした。本研究は、「上手な運転手の脳は何が違うのか」という基本的な疑問に答えるため、最新の脳機能イメージング技術を用いて、運転中の目の動きの特徴に関連した脳の働きを詳細に調べることを目指しました。
■実験内容
本研究では、MRIの中で実際の運転に近い体験ができる特殊な運転シミュレーターで実施しました。このシミュレーターは、実車同様のハンドルやペダル操作が可能で、さらに運転中の視線の動きも同時に計測が可能です。
MRI内で利用可能な実験用運転シミュレーター

実験では、参加者が運転している車に衝突するリスクがある他の車両に対する参加者の反応を観察しました。具体的には、右側のサイドミラーに映るリスク車両をどのように視覚的に認識し、それに対してどのようなブレーキ操作を行うのかを調べました。同時に、その時の脳の活動を詳細に記録し、安全運転に必要な脳の働きを分析しました。
■主な研究成果
1.「安全運転が出来ていた急ブレーキが少ない参加者ほど、リスク車両を見た時間を合計するとトータルで長い時間注目していた」という関連が明らかになり、これらの参加者では状況の言語的・空間的な理解に関わる脳の領域(上側頭溝前部・上前頭回)、と適切な運転行動の選択に関わる脳の領域(前部帯状回)の活動が高くなっていることが分かりました。
2. 同様に「安全運転が出来ていた参加者ほどリスク車両に最後まで視線を向けている」という関連が明らかになり、これらの参加者では他の車両のドライバーの視点に立って行動を予測することや運転行動の決定に関わる脳の領域(側頭頭頂接合部)の活動が高くなっていることが分かりました。
脳活動と視覚行動の関係

これらの発見は、認知機能の衰えを補助する運転支援システムの開発など、より安全な運転環境の実現に向けた重要な示唆を与えるものです。
■代表取締役CEO金井良太コメント
「今回の研究は、安全運転における脳の働きについて新たな知見を得ることができました。状況認識から行動決定までの一連の神経メカニズムを明らかにできたことは、今後の運転支援技術の発展に大きく貢献すると考えています。本田技術研究所とQSTとの共同研究により、人間理解に基づいた技術開発の新たな可能性が開けました。アラヤは今後も脳科学の知見を活かし、より安全で快適なモビリティ社会の実現に貢献してまいります。」
アラヤでは研究開発支援サービス「NeuroHatch」を提供しています。近年、ニューロテックソリューションや生体センシング機能を持つ製品開発、脳機能の解明や脳由来の疾患の治療法開発など、生体情報を活用した研究開発が加速しています。アラヤでは脳波やMRIなどの脳データ、心拍・呼吸・発汗などの生体データの解析から、最適な試験設計、データに基づくアルゴリズム開発まで、研究開発のあらゆる段階を包括的にサポートいたします。お客様の研究開発ニーズに応じた最適なソリューションをご提案いたしますので、お気軽にお問い合わせください。
https://www.araya.org/service/neurotech/
<株式会社アラヤ 会社概要>
会社名:株式会社アラヤ
代表取締役社長:金井 良太
所在地:〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町1-11 産報佐久間ビル6F
URL:https://www.araya.org/service/neurotech/
問い合わせURL: https://www.araya.org/contact/
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