農産物の温室効果ガス排出量の算定・可視化クラウドサービス「Sustana-Agri(仮称)」に関する実証事業開始の件
1.背景
パリ協定の採択以降、世界的に気候変動問題への対策が加速しています。日本政府も2020年10月、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、脱炭素社会の実現を目指すことを公表しています。また、農林水産省が2021年に公表した「みどりの食料システム戦略」では、2050年までの農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現を掲げています。
こうした中SMBCグループでは、脱炭素社会実現に向けた様々な取組を推進して参りました。三井住友銀行では、2022年5月より企業の温室効果ガス(以下、GHG(*1))排出量の可視化クラウドサービス「Sustana(サスタナ)」のサービスを提供しています。
Sustanaの特定分野でのカーボンフットプリント算定支援機能の実装に向けた検討を進めており、その第一弾として日本総研とともに農産物のGHG排出量の算定・可視化を対象とした「Sustana-Agri(仮称)」の事業化検討を進めています。
2.「Sustana-Agri(仮称)」概要
近年、農業分野におけるGHG排出量削減の重要度が高まり、各地でさまざまな取り組みが実施されています。一方で、農業生産者のGHG排出量削減に関する取組がサプライチェーン上の企業・団体や消費者から十分に評価されているとは言い難く、必ずしも環境面での付加価値に見合った販売単価を確保できていない状況と認識しております。GHG排出量を客観的に算定・可視化し、農産物を調達する企業や消費者に伝達することは、農業分野のGHG排出量削減の後押しになると考えられます。
このような中、三井住友銀行は日本総研とともに、農業生産者の栽培履歴データ等を基に農産物ごとにGHG排出量の算定・可視化を行うことができる「Sustana-Agri(仮称)」の事業化検討を進めています。さらに、「Sustana-Agri(仮称)」は「Sustana」とのデータ連携により、当該農産物のGHG排出量をサプライチェーン上の企業・団体に共有することができます。これにより、農産物を調達する食品企業や小売企業等は、原材料調達におけるGHG排出量を標準的な排出原単位に基づく概算ではなく、実態に即して算定することが可能となります。
このような仕組みを構築することで、農産物を調達する企業や消費者が、農業生産者のGHG排出量削減に関する貢献を適切に評価することにつながり、サプライチェーン全体で環境負荷低減を推進することが可能になると考えています。
3.実証事業概要
本年9月より開始予定の実証事業では、複数産地の米を対象品目とします。本実証事業には、基幹事業である米穀事業に加えて、無菌包装米飯や炊飯米等の加工食品の製造販売、国内外での 外食事業の展開等を行う株式会社神明(代表取締役社長:藤尾益雄、以下「神明」)、および業界に先駆け開始した産地との協働事業をはじめ、産地と実需者双方の目線で持続的農業の実現に取組む株式会社ヤマタネ(代表取締役社長:山﨑元裕、以下「ヤマタネ」)が実証パートナーとして参画し、それぞれ三井住友銀行および日本総研とともに実証グループを組成します。神明およびヤマタネは「Sustana-Agri(仮称)」の実証用プロトタイプを試行的に利用し、両社が取り扱う米のGHG排出量の算定・可視化を行います。
三井住友銀行は日本総研の協力のもと、両社および関連する農業生産者からのフィードバックに基づき、機能改善ならびに追加機能の検討を行って参ります。
(*1)「温室効果ガス(GHG/Greenhouse Gas)」の略称
<実証の概要>
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