訪れた人をセンシングし、動きの軌跡に沿って花が咲くインスタレーション作品を中国最大規模の博覧会、CIIEの資生堂ブースにて発表。
「Beauty in Motion」をテーマに、日常の所作に着目し「あなたらしい健やかな美」を表現。2023年12月からはSHISEIDO CHINAオフィスエントランスにて設置
インスタレーション作品「Beauty in Motion」について
昨年150周年を迎えた資生堂のブースにて発表した今回のディスプレイでは、通りかかる人の動きを検知し、
動きの軌跡に沿って線が描かれ、そこに美しい花が咲いていくインスタレーション作品です。
コンセプト:Beauty in Motion
Beauty in Motionは、資生堂が定義する美しさである「Personal Beauty Wellness(あなたらしい健やかな美)」に基づいて制作されたインスタレーションです。
「あなたらしい健やかな美」が立ち現れる瞬間として、何気ない日常の所作に着目しました。
スクリーンの前を通る人の動きに反応して伸びていく色とりどりの植物は、
私たちの身体を動かす生命のエネルギーを表現しています。
ひとりひとりが持つ、目に見えない美しさを描き出すことを試みました。
体験の流れ
①人の動きを検知し、動きに沿って植物のような有機的な線が描画される。
②一定の時間が経過すると消えていく。
③人がいない待機状態のときは、過去に描かれアーカイブされた線が表示される。
活用した技術について
この展示では、RGBカメラと深度センサーを使用して、ディスプレイの前にいる人物の動きを三次元で解析します。この解析に基づき、人物の動きに連動して動く植物のアニメーションを描画することで、人の動きが持つ内在的な美しさを視覚化しています。また、人物の動きに同期してリアルタイムで音声を生成する音響システムも開発しました。ピアノと自然音を融合させた有機的なサウンドにより、自然と人との相互作用が生み出す美しさを、視覚的にも聴覚的にも捉えることができます。
中国国際輸入博覧会 (CIIE)での展示について
展示の様子
資生堂ブースでは、メイン展示に多彩な事業展開を紹介する「資彩館」を出展し、中長期経営戦略「WIN 2023 and Beyond」で注力領域として掲げる「スキンビューティー」と、その実現を支える技術力を中心に紹介し、中国市場での存在感をアピールしました。ブースには約10万名もの方が訪れ、Dentsu Lab Tokyoが担当したディスプレイも多くの方が体験しました。何気なく歩いていた人も、自分の動きに反応して植物が咲いていることに気づき、思わず立ち止まったり、自分の咲かせた花と一緒に記念撮影する様子が見られました。
参考:資生堂出展プレスリリース https://corp.shiseido.com/jp/newsimg/3512_q2c55_jp.pdf
中国国際輸入博覧会について
「中国国際輸入博覧会」は中国政府によって、世界各国との経済交流・協力の強化を通じて、同国の経済成長とともに開放型の世界経済発展を促進するという目的で、2018年から毎年開催されているイベントです。
概要・詳細:https://www.ciie.org/zbh/aoociiery/
展示概要
クライアント:SHISEIDO CHINA
制作物:CIIE輸入博覧会 インスタレーション制作
※システム開発をDentsu Lab Tokyoが担当、施工は電通テック(上海)が担当
展示期間:2023年11月5日~10日(5日間)
Partnership with Shiseido China Creative
担当者:田中直基、村上 晋太郎、九鬼 慧太、藤 大夢、厚木 麻耶、藪本 晶子、齋藤雄太
技術協力
テクニカルディレクション:ベースドラム株式会社
サウンドデザイン:株式会社invisi
SHISEIDO CHINAオフィスエントランスでの展示について
2023年12月20日(予定)より、SHISEIDO CHINAのオフィスエントランスにて今回のCIIEで発表したディスプレイを常設展示いたします。資生堂は2017年より、生産、マーケティング、研究開発を統合した組織体制を築き、また資生堂の各ブランドの運営を中国地域に根ざしたものするため、上海に資生堂中国地域本社を設立しました。オフィスエントランスは、従業員の方を中心に通りかかる方が、より美しく、自身に満ちた気持ちで過ごすことを目的に制作しています。
設置場所:上海市浦东新区世纪大道826号 陆家嘴金融广场3幢2F-8F 200120
開発者コメント
Dentsu Lab Tokyo 厚木 麻耶
人間の何気ない動きに内在する美しさを、植物の形で表現しています。歩き方で誰かを認識できるように、人の動きは時として、外見以上にその人らしさの象徴になりえます。センシングとシミュレーションにより、人の動きに合わせて成長する植物を描き出すことで、その人固有の所作の美しさを捉えることを目的としています。
チャレンジした点は、人の動きに寄り添いつつも植物らしい形状の追求です。手や足や体の動かし方は、人それぞれ、そしてその時々によって異なります。そのばらつきを、植物の有機性に結びつけることで、自然界には存在しない新しい植物をつくることを目指しました。カメラデータから人の動きを計算し、移動方向、速度の絶対値、回転量、服の色などの特徴を抽出。これらの特徴を植物の茎や葉の成長方向、成長速度、曲率、色などに対応させることで、個々人やその瞬間瞬間で異なる植物を咲かせることができる仕組みになっています。
Dentsu Lab Tokyoについて
Dentsu Lab Tokyo(デンツウラボトウキョー)は、研究・企画・開発が一体となったクリエイティブのR&D組織です。「PLAYFUL SOLUTION」「おもいもよらない」をフィロソフィーとしながら、デジタルテクノロジーとアイデアによって、人の心を動かす表現開発や、いま世の中が求める社会の課題解決を実践しています。
公式サイト:https://dentsulab.tokyo/
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