高効率の空間浄化を実現する「空気循環式紫外線清浄機の設置方法」に関する研究を開始
紫外線殺菌技術を利用したエアーリアは、紫外線(UV)の持つ除菌効果が感染症対策として高く評価され、病院や高齢者施設、商業施設、公共施設、教育現場、オフィスなど、さまざまな利用シーンにおいて導入が進んでおり、安全・安心な空間環境を提供することで衛生環境向上に貢献しております。
岩崎電気は自社開発製造の高出力紫外線光源を利用して紫外線殺菌技術をさらに進化発展させています。
従来通りのエアーリアの提供だけでなく、設置環境に応じたお客さまへの最適な除菌方法の提案と、室内空気環境に適した紫外線除菌装置や照明、換気などを組合せた空間環境ソリューション事業を展開し、「あかり」と「ひかり」による安全・安心で快適な環境を統合的システムとして提供することで社会への新たな価値創造を目指します。
以前より、空気浄化装置のウイルスに対する除去・抑制性能評価は、日本電機工業会 JEM 1467 家庭用空気清浄機 附属書D 「浮遊ウイルスに対する除去性能評価試験」に基づき、室内空気が循環かつ汚染物質が十分拡散した、理想環境に調整された約6畳相当25m³の閉鎖空間で評価しています。
しかし、実際の室内環境の除菌性能については、前述の室内体積から算出推定される理想環境下における性能評価では、人が滞在する空間でどのように除菌されるのかを考慮していないため、局所的な室内感染リスクの低減を示せていない課題があります。
また、エアーリアのような紫外線除菌装置は、実際の空間における除菌効果検証の報告事例が少なく、今後、空間環境ソリューション提案を行う際にはより具体的な効果の確認が必要となります。
今回の共同研究では、実験環境の試験室ではなく仙台医療センター内の施設で試験を実施し、室内空気の気流の可視化と室内の浮遊粒子濃度の動きを、微粒子可視化技術であるヘリウムソープバブル※1+シートレーザー※2や微粒子計測器パーティクルカウンター※3を用いて、一定の区分ごとに計測評価、解析します。
得られたデータを用いて室内空間の気流状態の把握をすることで、空気浄化装置の最適な配置方法について検証し、感染リスクを低減するエアーリア設置場所の指針の構築を目指します。
今後は実際の室内空間環境の感染リスク低減に向けて得られた知見と、確立したエアーリア設置場所の指針を用い、エアーリアを始めとするUVGI※4などの効果的な紫外線殺菌技術の利用方法と、外気換気奨励に伴う空調設備の負荷増大に対するエネルギー削減につながる関連技術により、感染リスク低減と省エネルギーを両立することのできる「環境配慮型紫外線除菌システム」を提案することで、カーボンニュートラルやSDGsの達成に向けて、より安全・安心で快適な室内空間環境、また室内空気質(IAQ)向上に向けた空間環境ソリューションを展開してまいります。
※1 ヘリウムソープバブル
気流の可視化、粒子画像流速計測法(PIV)で利用するトレーサー粒子。ヘリウムガスを使用した一般大気に対して浮力0のシャボン玉のこと。このシャボン玉を室内に拡散させることで、空気の動きそのものをとらえることが可能となる。
※2 シートレーザー
シート/平面状に照射するレーザー光で、シートレーザーによるトレーサー粒子拡散光を観測することで気流断面の可視化が可能。
※3 パーティクルカウンター
空気中や液体中にある塵埃(じんあい)や不純物などの0.3μm~5μm程度の微粒子を計数する計測器。
※4 UVGI
紫外線殺菌照射、Ultraviolet Germicidal Irradiationの略称。ウイルス、細菌、真菌など微生物に紫外線照射により除菌する技術。
独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター ウイルスセンター
ウイルスセンターは、1963年に開設された国内では数少ない臨床ウイルス学の研究施設です。
開設以来輝かしい研究成果を挙げており、1985年にはその実績からWHO(世界保健機関)呼吸器ウイルス調査協力センターに指定されました。
現在多くの医療機関から依頼される臨床検体から、さまざまなウイルスを分離・同定する仕事の他、研究・教育にも精力的に活動を行っており、その成果を国内外へ発信しています。
株式会社メディエアジャパン
仙台医療センター ウイルスセンターと長年にわたり感染症制御に関する共同研究をしており、空気環境のクリーン化技術に関するコンサルタント業務に取り組む。
関連情報
空気循環式紫外線清浄機 エアーリア シリーズ
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