株式会社電力シェアリングは、ライフタイルの各局面でのカーボンフットプリントをデジタルで自動取得・積算するシステムの技術実証を実施
脱炭素社会実現を目指す新しい国民運動「デコ活」の下、個人と地域全体のカーボンフットプリント(CFP)データを遠隔・自動・リアルタイムで取得・算出されるアプリ・システムの技術実証を実施
株式会社電力シェアリング(本社:東京都品川区、代表取締役社長:酒井直樹)は、脱炭素社会実現を目指す新しい国民運動「デコ活」の一環として、国民が自発的にライフスタイル全般でのCO₂排出量ゼロ化の選択をできるよう、個人のカーボンフットプリント(CFP)データを遠隔・自動・リアルタイムで取得し、地域で合算するアプリ・システムの技術実証を、自治体の協力を得て、環境省委託事業の一環として実施致します。
デコ活とは
「デコ活」とは、「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」の愛称であり、二酸化炭素 (CO₂)を減らす(DE)脱炭素(Decarbonization)と、環境に良いエコ(Eco)を含む"デコ"と活動・生活を組み合わせた新しい言葉です。
環境省の「デコ活」紹介サイト: https://ondankataisaku.env.go.jp/decokatsu/
ナッジ実証事業
環境省では、こうした脱炭素への取り組みへの市民の自発的な参画を促すために、ナッジ(英語nudge:そっと後押しする)やブースト(英語boost:ぐっと後押しする)を始めとする行動科学の知見を活用してライフスタイルの自発的な変革を創出する新たな政策手法を検証するナッジ実証事業を進めています。
解決すべき課題
国民の生活全般において一人当たりのCO2排出量は年間約1.8tで、毎日約5kgを排出している計算になります。
2050年ネット排出ゼロの実現を目指し、政府は、生活の全領域で、国民・消費者の行動変容・ライフスタイル転換を促し、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを実現するための必要な方策・道筋として、くらしの10年ロードマップを示しています。
これを実現するには、国民が全ての生活シーンで、そのアクション毎にどのくらいのCO2を排出しているかを理解してもらい、目的的にその削減策を示して、日々実践していただく仕組みを作ることが求められています。
そのためには、電力・移動(バス・鉄道)も含め、衣食住の商品やサービスを提供する企業が、製品ごとの温室効果ガス排出量(カーボンフットプリント(CFP))の「見える化」することが大前提となり、第六次環境基本計画(令和6年5月)でも、ことさらにその重要性を謳い、カーボンフットプリント ガイドライン(経済産業省・環境省)(令和5年3月)を策定しています。
環境基本計画:製品ごとの温室効果ガス排出量の「見える化」
「CFP」は、温室効果ガス排出量の「見える化」により、消費者が、脱炭素・低炭素の実現に貢献する製品やサービスを選択する上で必要な情報を提供する有効な手法であり、製品種ごとの CFP 表示に向けた業界共通ルールづくりを後押しするとともに、一定の統一的な基準に基づく認証の枠組みを整備する。
また、ナッジ手法も活用した効果的な CFP 表示のあり方を実証するとともに、「デコ活」による消費者の行動変容を通じて、CFP の普及と、脱炭素の実現に貢献する製品・サービスの選択を推進する。
また、CO2 削減効果など環境負荷の低減効果を見える化し、付加価値に転換することが不可欠であるが、その際、マスバランス方式を活用したグリーン製品の提供も有効な取組と考えられる。ただし、この概念は、CFP と比べ社会的認知度が低く市場での統一的なルールが存在しない等の課題もあることから、今後、普及に向けた検討を行っていく。
当社のカーボンフットプリント・ナッジ実証
こうした課題認識に立ち、株式会社電力シェアリングでは、独自のナッジモデルを用いて、様々な手法を織り込んだスマートフォン・アプリを独自に開発し、生活全般のCO2排出量(カーボンフットプリント(CFP))の削減を自発的に選択していただけるような社会実証(コミュニティ・CFPナッジ)を実施しています。(詳しくはこちらのプレスリリースをご覧ください)
当社では、スマフォアプリのUIのアップデートにより、できるだけ簡単に日記を付けられるよう努めておりますが、利用者にとっては、日々のアクション毎に実施項目を選択し、写真のアップロード等で記録していくタスクは、どうしても手間がかかってしまうため、いかにして利用者のペインを減じて、楽しさ・わくわくを高めていけるかが、社会実装に向けた課題だと考えています。
そこで、電力消費・移動・商品やサービスの購買の各局面で、それぞれ当社が進めている各種のナッジ手法を盛り込んだDXシステムを連結・統合することで、個人のカーボンフットプリント(CFP)データを可能な限り遠隔・自動・リアルタイムで取得・算出するシステムの技術実証を、自治体や地域の民間企業・市民団体の協力を得て今年度より実施致します。いわばコミュニティ・CFP日記ナッジのDX化への取り組みです。
具体的には、製品・サービスの購入・利用・消費履歴をデジタルで取得してCO2排出量やCO2削減効果を精緻に算定するシステムを構築していくものです。
各領域での環境配慮行動の成果に応じて取得したポイントを、関係する製品・サービスと交換できる仕組みで、利用者に金銭的インセンティブを付与するとともに、その商品購買行動等により裨益する企業等から、広告出稿やAIによるレコメンデーションの対価としてその原資を現物等で供出いただくなどして、事業の採算性を確保するビジネスモデルを構築し、その事業計画を立てて、適宜公開して参ります。
また、各人の排出量データをリアルタイム・遠隔・自動でアグリゲートして、自治体全体の排出量を積算し、ダッシュボード等で可視化・管理することが可能になります。ただし、その際、個人情報保護やプライバシーの確保策を十全に講じる必要があり、その点も技術実証にあたって取組むべき課題となります。
自治体にとってみれば、ビッグデータをAI分析することで、地域間の相互比較や、領域別の標準値との比較(自治体間データ連携を通じて)によりホットスポット(排出量が多いセグメント)を発見でき、目的的な削減策を講じて、PDCAを廻していくことが可能になると考えます。
電力のGXコミュニティナッジ
交通や商品・サービスの購入シーンに加えて、各家庭での電力の発電量や消費量を電力会社のスマートメータから、遠隔・自動・リアルタイムで取り込み、一般家庭やプロシューマ(オンサイトで再エネ発電や蓄電池・EVの充放電を行う家庭)のCO2排出量や排出回避量を精緻に算定し、これを他の生活シーンと一気通貫で算定する仕組みは有望であると考えており、その技術実証も進めてまいります。
上記の第六次環境基本計画(令和6年5月)は、「地域共生型の再生可能エネルギーの積極的な導入を目指す必要がある。」としており、当社独自のナッジ・モデル(フレームワーク)を用いて、「みんなで、一緒に、地域再エネの同時同量を目指す」といった社会性に訴求するナッジ手法を構築し、需給一体型再エネの大量導入を図っていければと考えています。
今後の取り組み
電力シェアリングでは、独自のナッジモデル(DSナッジモデル)を構築し、令和6年度から7年度にかけてエネルギー・交通・商品購入等、様々な領域での同モデルの有効性を分析するため、脱炭素を促す社会実証を実施する予定です。
(参考)同モデルの社会実装に向けた当社の考え(環境省の見解ではないことにご留意ください)
このモデルの社会実装に向けた当社の考え(環境省の見解ではありません)を申し上げますと、社会実装策の一つとして、目的的な補助金の支給が考えられます。
従来の行政の補助施策といえば、エコ商品の購買時に価格を割り引く仕組みや、販売企業側に補助金を支給してエコ商品の販売を促すのが一般的ですが、こうしたインプットベースではなく、成果(アウトプット・アウトカム)ベースで環境配慮活動を励行する市民に、例えば今流行の地域ポイントを付与したり、ポイント購買時の換算率を優遇するなどの費用効率が高い施策の導入も可能になると当社は考えます。
一方で、どの企業が、どれだけエコな商品・サービスを実際に販売したかも可視化されますので、その表彰やランキング開示で「割高で、売れ筋でない商品を販売する」インセンティブを企業に付与することができ、企業と市民と自治体が脱炭素に向けて共に進む(共進化)という環境基本計画の思想を実装する仕組みとして検討の余地があるのではないかと当社では考えています。
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