シワ誘導膜結合型エラスターゼ(ネプリライシン)の線維芽細胞でのIL-1α刺激発現増強に関与する細胞内シグナル伝達メカニズムに関する発表が、第24回 日本抗加齢医学会総会にて【優秀演題】を受賞
株式会社トゥヴェール(本社:大阪府箕面市、代表取締役社長:森山義彦)は、宇都宮⼤学特任教授 医学博⼠ 芋川⽞爾先⽣の指導のもとで共同研究を⾏い 、「シワ誘導膜結合型エラスターゼ(ネプリライシン)の線維芽細胞でのIL- 1α刺激発現増強に関与する細胞内シグナル伝達メカニズム」を確認し、第24回 日本抗加齢医学会総会にて【優秀演題】として受賞いたしました。
<発表学会情報>
第24回 日本抗加齢医学会総会
https://www.c-linkage.co.jp/jaam2024/
演題受付番号:jaam008-00021
セッション番号:優秀演題01
セッション名:優秀演題セッション1
演題番号:BP1-3
演題名:シワ誘導膜結合型エラスターゼ(ネプリライシン)の線維芽細胞でのIL-1α刺激発現増強に関与する細胞内シグナル伝達メカニズム
日時:2024年6月1日(土)12:30~14:00
会場:熊本城ホール 3F 第7会場
目的
シワの形成は病的変化ではないが典型的な老徴であり、若い肌を保ちたいと願う人にとって深刻な皮膚変化である。シワはエラスチン線維の3次元構造が変化して弾力性が低下することで形成される。
エラスチン線維は真皮線芽細胞(HDFs)の細胞膜に存在するエラスチン分解酵素ネプリライシン(NPL)によって切断され、NPLはUVB暴露表皮細胞から分泌されるインターロイキン1α(IL-1α)によって増強される。本研究ではIL-1αによる刺激がHDFsでどのような細胞内シグナル伝達経路を介してNPLを増強するか明らかにする。
方法
HDFsにIL-1αを添加して15分間培養し、ウエスタンブロッティング法でリン酸化されたタンパク質を検出した。
リン酸化が確認されたシグナル伝達分子の阻害剤をHDFsに添加して1時間培養した後、阻害剤とIL-1αを含む培地で24時間もしくは72時間培養し、NPLの発現量(m RNAおよびタンパク質)と活性を測定した。阻害剤の効果が確認されたシグナル伝達分子について、その下流にある因子のsiRNAをHDFsにトランスフェクションして4 8時間培養した後、IL-1αを添加して72時間培養し、NPLのタンパク質発現量および活性を測定した。
結果
IL-1α刺激によってJNK, p38, ERK, MSK1, NFκB、c-Jun, ATF2, STAT3およびCREBがリン酸化された。
そのうちERKおよびJNKの阻害剤を添加した場合においてのみ、IL-1αによるNPLの発現量(m RNAおよびタンパク質)と活性の上昇が抑制された。
さらにこれらの経路の下流に位置するc-FosのsiRNAをトランスフェクションしたところ、同様にIL-1αによるNPLのタンパク質発現量と活性の上昇が抑制された。
結論
IL-1αはHDFsに作用し、ERK/JNK/c-Jun/c-Fos/AP-1を経由してNPLの発現量と活性を増強することが明らかとなった。
ネプリライシンの産生機構の経路が明らかとなったことで、ネプリライシンの活性阻害のみならず、培養細胞レベルでネプリライシン産生を亢進する原因にアプローチする成分のスクリーニングが可能となった。
今後の展望
今後、シワ誘導膜結合型エラスターゼ(ネプリライシン)の産生促進過程に注目したシワ改善に効果的な化粧品の開発を行って参ります。
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