日本政府とUNDP、バングラデシュ、ブータン、モルディブで医療廃棄物管理ニーズのかつてない増大に取り組む新規プロジェクトを立ち上げ
ニューヨーク発 – バングラデシュ、ブータン、モルディブの3か国では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)によって、感染性医療廃棄物の量がかつてなく増大し、処理施設の能力を越える事態が生じていますが、日本政府と国連開発計画(UNDP)はきょう、これに取り組む同3か国の保健機関とその他のステークホルダーを支援する新規プロジェクトを立ち上げました。
この2年間にわたる総額13.98億円の無償資金協力「南西アジアにおける感染性廃棄物管理改善計画」に関し、ニューヨークで大菅岳史 国際連合日本政府代表部 特命全権大使兼次席常駐代表と、カニ・ウィグナラジャ国連事務次長補兼UNDPアジア太平洋局長との間で交換公文の署名が行われました。
国際連合日本政府代表部は「日本政府はバングラデシュ、ブータンおよびモルディブで、医療従事者や患者、さらに幅広いコミュニティに裨益するとともに、医療廃棄物管理を通じ人間の安全保障を守ることに貢献し、持続可能な解決策の確立を支援できることを誇りにしている」という声明を発表しています。
医療廃棄物の不適切な処理は、重大な汚染源であるとの認識が広まっています。例えば、医療廃棄物を未処理のままで屋外投棄したり、埋立処分すると土壌や水質汚染が生じかねないほか、医療廃棄物の焼却処分が不適切な場合には、残留性有機汚染物質の放出につながるおそれもあります。
低中所得国の中には従来、持続可能な廃棄物処理システムへの投資が行き渡らず、廃棄物管理能力の限界を越える医療廃棄物の蓄積という由々しき事態に直面している国が多くあります。
カンニ・ウィグナラジャ局長は「COVID-19のパンデミックは依然として、各国の復興と持続可能な開発への道のりに、複合的な課題を突きつけています。不適切な医療廃棄物管理システムによる脅威は、人々の健康と環境の健全性を守るために、緊急の対応を要する重大課題の一つとなっています」と語っています。
このプロジェクトでは、3か国の主なステークホルダーが、人々の健康を守り、コロナ禍の環境と社会への影響を最小限に抑えられるよう、それぞれ現地に適した医療廃棄物管理の実践と技術を展開するための支援を提供します。
プロジェクトの支援対象となっているのは、バングラデシュの26郡、ブータン4都市の15地区、そしてモルディブの6環礁区にある医療施設です。
医療従事者は、感染性廃棄物の適正な処理と処分に関する訓練を受けることになりますが、そのためには、患者や病院職員、近隣コミュニティへの二次感染リスクをなくすための特殊な処理プロセスが必要となります。また、医療施設には、専用の医療廃棄物処分設備と、調整改善に向けたデジタル管理システムも備えつけられます。
UNDPの医療関連活動は、その戦略計画とHIV保健戦略のほか、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」も指針としています。 UNDPは国のシステムづくりとガバナンスに重点をおいたアプローチを通じ、その他の国連機関などとも連携しながら、各国が公平性、レジリエンス、持続可能性を核とし、さらに統合が進んだ医療と開発のソリューションの提供を続けられるよう、支援を行っています。
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