ART FAIR TOKYO20が閉幕。来場者は延べ56,938名、総取扱高は約36.5億円で前年から28.1%の伸びる

20回目のアートフェア東京が閉幕。次回は2027年3月11日(木)〜14日(日)に開催予定。

aTOKYO

エートーキョー株式会社は、2026年3月13日(金)から3月15日(日)までの会期で開催した「ART FAIR TOKYO 20」の実施報告をお知らせいたします。

2005年の初開催から20回目を迎えた本フェアには141の出展者が参加し、3月13日から15日までの会期中、延べ56,938名の方にご来場頂きました。会場内外におけるプログラムをこれまで以上に強化するとともに、コレクターをはじめとするステークホルダーとの関係を深め、アートフェア東京が育んできた文脈をあらためて照射する機会となりました。チケットによる来場者数は前年から約27%増となり過去最高を記録しました。フェアの総取扱高は約36.5億円(前年比 約28.1%増)に達し、日本の美術市場がその固有の特性に支えられながら堅調に推移していることを引き続き示しました。

堅調な姿勢を維持する国内市場

アートフェア東京の20回目のエディションにおいては、初日から活況な取引が目立ちましたが、特に角匠における葛飾北斎の名品、日動画廊の林武やベルナール・ビュフェらの作品が取引されるなど、会場では複数のブースにまたがって上位価格帯の動きが見られたことは、市場の慎重な局面が指摘される今日のなかでも日本のギャラリーが確かな視座を持っていること、また国内の美術市場の底堅さを示すものと読み解くことができるでしょう。

TARO NASUでは、初日にローレンス・ウィナーの作品が国内外で注目される若いコレクターのコレクションに収まったことが印象的でした。同ギャラリーも「Weinerの作品を知らない若い世代にもedition作品を通じて新たなアクセスポイントを提示したいという希望にも添うもの」と振り返っており、さらに「セールスのみならず交流の場としてのArt Fair Tokyoのポテンシャル」を改めて感じたと述べています。柳ヶ瀬画廊では熊谷守一に注目が集まり、この他宝満堂による近代日本を代表する七宝家・濤川惣助の作品、YUMEKOBOU GALLERYの加藤巍山も非常に高い熱量をもって受け止められ、コンテンポラリー以外の分野でも活況さが見られました。柳ヶ瀬画廊は「例年は日本人とアジア圏の顧客様の購入が主でしたが、今年はヨーロッパ圏の新規顧客様が複数ございました」とコメントし、グローバル市場において相対的な底堅さを示している近代美術への関心が、日本においても着実に広がっていることをうかがわせました。

コレクターに新たな発見や出会いをもたらしてきた若手アーティストの展示も引き続き目立ち、前田紗希ら若手ペインターの作品を展示したMISA SHIN GALLERYは「今回のフェアはVIP・一般会期を通して来場者が多く、全体として非常に良い雰囲気でした。前田紗希の新たな展開を示す作品は特に好評で、鴫原夕佳の作品も持参分が完売しました。加えて、フランシス真悟や伊庭靖子の作品も多く成約に至り、世代を超えて幅広い関心の高まりを実感しました」とコメントしています。

ギャラリーによる美術史への洞察は優れた展示として結実し、安田侃を紹介したシュウゴアーツは「安田侃作品は国内外の幅広い来場者より好評を得ており、国際フォーラム広場の「意心帰」とあわせてご覧になる方も多く、弊ブースの構成にも高い評価を頂きました」と述べ、またMEMのブースにおける大西茂、中里斉、ロバート・ウィルソンの展示は日本のマーケットに新しい相貌を与えるものでした。ギャラリー石榴は「20世紀美術として世界的に再評価が進むアンナ・ゼマンコヴァの出品に強い反応を頂いた。日本では認知度が高いとは言えない中、来場者の眼の成熟度と見識を実感するとともに、「新しい視点に触れたい」という貪欲さを感じた」とコメントし、これらは新しいコレクションの機会を提供するものであると同時に、日本の美術商の洞察力が一過的なものではないことを示しています。

海外からの出展がやや減少傾向にあることは事実であり、これはCOVID-19以降の金利環境や金融市場における流動性の変動を背景とした美術市場そのものの慎重さを反映していると考えられます。そうした今日の不確かな市場環境を踏まえると、アートフェアに求められるのは信頼性の高い売買環境の整備であり、したがって日本国内をはじめとするアジア諸地域の出展者およびコレクターにとって重要なフェアの機能を改めて整理し、その価値を維持・強化していくとともに、VIP層をはじめとする重要なステークホルダーとの関係を構造的にも安定したものへと高めていくことがアートフェア東京にとってより実効的な方向性であると判断しています。

会場外プログラムをパートナーと共に強化。「FILMS」を拡張して実施

20回目という節目を迎えるにあたり、アートフェアの機能と意義をあらためて捉え直すなかで、アートフェア東京は「アートフェアとは一つのメディアではないか」という仮説を立てました。ここでいうメディアとは、作品の売買にとどまらず、現代のアートシーンにおける関心や潮流、価値観の断面を可視化し、来場者へ伝えるとともに、それらを古美術、近代、現代、工芸といった複数の時間軸のなかで捉え直す機能を指しています。そうした考えのもと、アートフェアの本義と相反せず、むしろそれを補完し拡張するプログラムを、パートナー企業と共に展開しました。

三井不動産株式会社とのパートナーシップは、本年のアートフェア東京において、そうしたプログラムを会場外へと展開し、その機能を都市のなかで実装していくうえで重要な役割を果たしました。東京ミッドタウン日比谷では映像プログラム「Films」を、東京ミッドタウン八重洲では株式会社アートチューンズの企画・運営による公式トークプログラム「Dialogue: ASK ART, WHY?」を実施し、異なる都市拠点を通じて、鑑賞、対話、思考の回路を立ち上げました。八重洲の会場となったイノベーションフィールドは、企業・アカデミア・スタートアップが交わる共創拠点として構想されており、そこで芸術をめぐる問いを流通させたこと自体が、アートフェア東京のプラットフォーム機能を外部へ接続する試みでもありました。

東京ミッドタウン日比谷では、昨年に新しく立ち上げた映像セクション「Films」を展開しましたが、これは表現手法としてはきわめて今日的でありながら、美術市場をはじめ、アートフェアにおいては限定的な接続しか与えられてこなかった領域に対し、その将来的なエコノミクスの土壌を耕していくことを企図したものでした。台北と東京を拠点に活動するnon-syntaxをプログラムディレクターとして迎え、「Art and Film? 言葉で定義できない映像の未来」と題し、オンサイト会場の作品上映をはじめ、国立映画アーカイブ主任研究員らを交えてのトークセッション、ジュリアン・ロスをはじめ海外のキュレーター等へのウェブサイト上でのインタビュー掲載という三つの回路を通じて、映像表現をいかに経験し、記憶し、継承していくかを多面的にひらく試みとなりました。

また同プログラムに付帯するかたちで、株式会社アマナの協力のもとで同会場に写真作品の展示も行い、映像プログラムそのものを補完し、その周辺にある視覚表現の広がりを会場内で経験可能にすることで、写真と映像の双方の鑑賞体験を深める契機を提供すると同時に、表現をより身近に捉えるための回路を形成することを目的としました。

株式会社アートチューンズの企画・運営により、三井不動産株式会社の協力のもと東京ミッドタウン八重洲イノベーションフィールドにて、アートフェア東京公式トークプログラム「Dialogue: ASK ART, WHY?」を実施しました。2年ぶりとなったトークプログラムは、「芸術に問う」を主題に、AI、スポーツ、法律、身体表現、デザインなど多様な領域の登壇者が集う全7つのセッションを通じて、芸術をめぐる問いを美術の内部に閉じず、より広い社会との接点から流通させる場として構成されました。ひらかれたアートの条件、美的価値の判断主体、文化資本の継承、IPと創造の境界、身体表現の流通可能性、表現におけるヒエラルキー、AI時代におけるアーティストの役割など、現代社会に接続する複数の論点が提示されました。会場ホワイエでは神楽岡久美による展示も行われ、来場者が会場へ入る導入部から、美と審美眼をめぐる思考へと接続される構成がとられました。

メインビジュアルに宮島達男を起用し、会場内プログラムを協働

本年は、メインビジュアルに宮島達男を起用し、同氏が2007年に発表した Counter Skin in Hiroshima-3 gold をフェアの象徴として掲げました。時間や生命の連続性、他者との関係性を主題としてきた宮島の作品世界は、アートフェア東京が本年提示しようとした視点を象徴的に示すものとなりました。

会場内では同氏による展示をEncountersのセクションにて実施しました。Encountersは、主にギャラリーによる展示で構成されるアートフェア東京の会場内で1人のアーティストにフォーカスし、そのアーティストがどのように社会を捉え、どのように表現し、どのように評価されているかを感じ、考えるための場として位置づけられるセクションです。メインビジュアルと会場内展示を連動させることで、フェアの視覚的な導入と鑑賞体験とを接続し、来場者にとってより立体的な体験を形成しました。さらに特別仕様のフォントを用いることで、メインビジュアルの印象を会場体験の細部にまで浸透させたほか、パートナーとの協働の一環として、三井住友信託銀行によるパートナーブースでも同氏の作品を展示し、フェア本体の展示とパートナープログラムとのあいだに視覚的・思想的な連続性を生み出しました。

宮島達男氏も今回の展示について、次のように述べています。

 「Art Fair Tokyo の4日間、『時の海 - 東北』プロジェクトの前に立ち続けることで、絶え間なく変化する『生』の響を肌で感じました。マーケットのダイナミズムの中、普遍的な生命の尊厳を分かち合う対話が現出したことは、私にとって大きな学びでした」

このように、本年の宮島達男の起用は、単に優れたアーティストをメインビジュアルに配したという以上に、フェア全体の導線や空間構成のなかでその作品世界を繰り返し受け取るための仕組みとして寄与しました。メインビジュアル、Encountersでの展示、パートナーブースでの展開を相互に接続することで、アートフェア東京は、来場者が作品を異なる文脈のなかで反復的に経験する場を立ち上げたと言えるでしょう。

VIPセクションとホスピタリティの強化の必要

本年のアートフェア東京における一般来場者は約27%増、VIP属性の来場者は約25%増となり、直近3年間はいずれも毎年20%前後の伸び率を示してきたなかで、本年は微増ながら最も高い結果となりました。これらは各分野の施策の成果であると同時に、アートフェア東京の会期中のホスピタリティを含めた体験価値の練度をさらに高めていく必要性を示唆するものとも捉えられます。

そうした会場体験の質を向上させることを目的に、株式会社ポーラの最高峰ブランド「B.A」をパートナーに迎え、「AFT Premium Lounge produced by POLA B.A」を実施しました。これは、B.Aが探求してきた研究と感性の蓄積を背景に、会場内に美しさを問い直すための体験の場を立ち上げる試みであり、VIPラウンジにとどまらず、一般アクセスエリアにおいてもB.Aによる特別な空間演出を展開することで、フェア全体の体験価値を拡張しました。とりわけ、「時間は、存在しない」というメッセージを表現した特別展示は、一般アクセスエリアにおいてもB.Aの思想を視覚的・空間的に受け取る契機となり、来場者がフェアの体験を美の感覚から再び組み立て直すための導入として機能しました。会場では、B.A第7世代のアートワーク「Timeless possibilities」を基軸とした空間構成を通じて、「自然現象」「植物の生命美」「人の営み」が重なり合うかたちで、B.Aが向き合ってきた生命美の感覚が提示されました。加えて、アルコールやソフトドリンク等の提供を含む歓談・商談のための環境も整備し、来場者にとって上質な休息と交流の場を形成しました。

今回のパートナーシップは、古美術から現代アートまでを横断して美の時間の流れや文脈を世界へ発信するアートフェア東京と、長年にわたり文化芸術支援にも取り組み、「Science. Art. Love.」の理念のもと、芸術が美のあり方を教えてくれるという考えを育んできたポーラとの、思想的な共鳴のもとに成立したものと言えます。B.Aが掲げる「時間や年齢にとらわれず、人の可能性を広げたい」という価値観は、複数の時代や領域をまたいで美の文脈を提示してきたアートフェア東京の姿勢とも響き合い、ラウンジ空間を単なるサービス提供の場ではなく、フェアの思想を体験として受け取るための装置へと変換しました。

会期後のVIPアンケートからも「AFT Premium Lounge produced by POLA B.A」は上質な休息と交流のための場として好意的に受け止められていたことがうかがえました。B.Aの世界観に触れる体験とともに、会場内にもう一つの時間と感覚をひらくこの取り組みは、フェアにおけるホスピタリティの充実にとどまらず、アートフェア東京が目指す対話と接続のあり方に、体験の面から深度を加えるものとなったと言えるでしょう。

コレクターフォーカス - コレクターのための新セクションブースを創設

本年のアートフェア東京が取り組んだ新しい領域の一つに、コレクター活動の顕彰があります。「コレクターフォーカス」を一つの軸として掲げ、アートマーケットを支え、ひいてはアートの文脈そのものにも関わる重要なステークホルダーであるコレクターの活動をアートフェアの回路の中で可視化し、顕彰することを目的に、コレクターのためのブースを創設しました。

初回となる本年は、コレクター・大石氏による17年間にわたるコレクションを基盤に2021年に設立された「G foundation」が所蔵する榎倉康二《Figure No.45》を展示しました。日本の現代美術を中心に1,000点を超える作品を所蔵する同財団による本展示は、コレクターの営みが私的な蒐集にとどまらず、アートマーケットとアートシーンの双方に歴史的な視座をもたらしうることを示すものであり、アートフェア東京が市場の現在だけでなく、その背後にある時間の厚みへ関わっていくうえでも重要な試みとなりました。

作品について

榎倉康二 | Koji Enokura

Figure No.45

1981

Acrylic on cotton

Work : 259.5 x 260.0 cm (102⅛ x 102⅜ in.)

Installation : 258.0 x 295.5 x 31.8 cm (101⅝ x 116⅜ x 12½ in.)

財団について

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土地に固有の文脈を掘り下げてきたフェアの20年を捉え直す

会場内プログラムにおいても、アートフェア東京が20年にわたり育んできた、日本に固有の表現と市場の関係をあらためて捉え直す試みを展開しました。アートフェア東京はこれまで、現代美術にとどまらず、工芸や古美術を含む多様な領域を横断しながら、地域に固有の素材や技法に基づく表現を市場と接続して捉え、そうした結びつきが日本独自の市場性を形づくっていることを提示してきました。

我々が工芸を扱ってきたことの意義は、単にジャンルの幅を広げることにとどまらず、地域に固有の素材や技法に基づく表現を、市場との関係のなかで捉えてきた点にあります。アートフェア東京は、古美術、工芸、日本画、近代美術、現代美術までを含む幅広い構成を特徴としており、そのなかで工芸は、現代美術の外部に置かれるものではなく、日本の市場と表現の多層性をかたちづくる重要な領域として扱われてきました。

本年、石川県立輪島漆芸技術研修所香川県漆芸研究所のような技術継承機関が参加したことは、そのことをいっそう明瞭に示しています。両機関はいずれも、地域に根差した漆芸技法の保存や後継者育成を担う制度的基盤であり、その参加は工芸が単なる作品カテゴリーではなく、継承、教育等の回路を含んだ文化的基盤として市場と接続されうることを示すものでした。

本年はそれらをさらに推進し、会場内プログラムとして日本陶磁協会による呈茶席および特別展示『EMBODIED - Soil, Fire, Body』を実施し、同協会が表彰してきた歴代の作家による作品の展示に加え、作家の手がけた茶碗で抹茶を味わうことのできる呈茶席を通じて、陶芸を視覚的に鑑賞するだけでなく、素材・技法・身体感覚・鑑賞体験が分かちがたく結びついている日本の陶芸文化を、単なる展示にとどまらないかたちで経験可能にする試みでもありました。会期中には国立工芸館館長・唐澤昌宏氏によるトークイベントも行われ、陶芸を制度と歴史の両面から捉え直す機会が加わることで、展示、身体的経験、言説が相互に補完しあう構成となりました。

同時に、「Maji Art Project」を手がける間地悠輔による「カルチャー・イノベーション」の一環として、盆栽や陶芸などの地域固有の物質文化を、人類の創意と文化的展開のなかで捉え直す試みも展開されました。盆栽作家・平尾成志による大型インスタレーション作品を展示し、土地に根ざした文化が同時に現代的な発明や更新の契機ともなりうることを示しました。

開催概要|ART FAIR TOKYO 20

会期:2026年3月13日(金) - 3月15日(日)

会場: 東京国際フォーラム 展示ホールE/ロビーギャラリー

後援:外務省、文化庁、アメリカ大使館、ベルギー王国大使館、ブリティッシュ・カウンシル、チェコ共和国大使館、マレーシア大使館、スペイン大使館、シンガポール共和国大使館、イタリア大使館、アンスティチュ・フランセ、ブラジル大使館、北海道、群馬県、三重県、京都府、兵庫県、香川県、福岡県、石川県、富山市、金沢市、京都市、東京観光財団ほか

協賛:株式会社ポーラ、三井住友信託銀行

協力:東京建物株式会社、三井不動産株式会社、公益社団法人日本陶磁協会、G foundation、CoaLab株式会社、久世酒造店、Sato Wines Ltd.

リードメディアパートナー:日本経済新聞社、GQ Japan

メディアパートナー:J-WAVE、アートコレクターズ、目の眼、ARTnews JAPAN

プレスキットについて

本リリースに使用される写真素材等については下記のリンクからご取得ください。

プレスコンタクト

エートーキョー株式会社

ART FAIR TOKYO20 広報担当

E-MAIL:press@atokyo.jp

主催 / 運営会社について

会社名  エートーキョー株式会社
所在地  東京都千代田区神田錦町2-2-1 KANDA SQUARE 11F
設立   2006年3月
代表者名 北島輝一
事業内容 美術品の売買を伴うアートイベント企画運営並びにコンサルティング業務 
Web: https://atokyo.jp/

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会社概要

エートーキョー株式会社

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URL
http://atokyo.jp
業種
サービス業
本社所在地
東京都千代田区神田錦町2-2-1 KANDA SQUARE 11F
電話番号
03-5797-7911
代表者名
北島 輝一
上場
未上場
資本金
2000万円
設立
2006年03月