「夏は受験の天王山」と言われても──起立性調節障害の子の進路、保護者の4割超が通信制・単位制も検討
夏の学習は「体調優先・短時間」が最多。全日制にこだわらない新しい進路選択のリアル
起立性調節障害(OD)の子どもを持つ家庭にとって、進路選択は大きな壁となります。一般社団法人 起立性調節障害改善協会は、ODと診断された小学校高学年〜高校生の子どもを持つ保護者143名を対象に「起立性調節障害の子の進路」に関する調査を実施しました。世間では「夏は受験の天王山」と言われますが、朝の不調や体力の制約がある子どもたちは、一般的な受験スケジュールに乗ること自体が困難です。本調査からは、全日制を前提とした進路指導の中で保護者が抱えるリアルな悩みと、通信制・単位制を含めた多様な選択肢を模索する実態が見えてきました。
調査背景
夏休みは受験や進路に向けた重要な時期とされていますが、起立性調節障害(OD)の子どもは、朝起きられない、めまいや倦怠感が強いといった症状から、思うように学習や学校見学を進められないケースが少なくありません。一方で、時期が来れば進路の選択は必ず迫ってきます。現在の学校教育や進路指導は全日制を前提とすることが多い中、保護者は何に不安を感じ、どのような進路を検討しているのでしょうか。多様化する現代の進路選択において、ODの子どもたちが無理なく歩める道を可視化すべく、本調査を実施しました。
調査サマリー
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進路の検討状況は「情報収集を始めている」が42.0%で最多
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検討している進路は「全日制高校」34.3%に次いで「通信制高校」が24.4%
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「通信制・単位制高校」を選択肢に入れている保護者は4割超(43.4%)に上る
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進路への不安は「体調の波に対応できるか」「朝の登校時間に間に合うか」が上位
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夏の学習は「体調に合わせて短時間だけ取り組んだ」が24.2%でトップ
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学校や進路指導の場での理解度は「ある程度は理解を得られている」が51.0%
詳細データ
Q1:お子さんの進路について、現在どの程度検討していますか?

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情報収集を始めている:42.0%
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気にはなっているが動けていない:21.0%
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具体的に学校を絞り込んでいる:12.6%
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本人に任せている:11.2%
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まだ考える時期ではない:8.4%
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体調が優先で考えられる状況ではない:4.9%
→ 4割以上の家庭が情報収集を進めている一方で、「気にはなっているが動けていない」「体調が優先」など、思うように進路検討に着手できていない家庭も一定数存在します。子どもの体調が日によって変動するため、見通しを立てづらい状況がうかがえます。
Q2:検討している(検討したことがある)進路を教えてください

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全日制高校(一般的な通学):34.3%
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通信制高校:24.4%
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まだ何も検討していない:9.9%
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定時制高校:9.4%
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単位制高校:8.0%
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その他:14.0%
→ 依然として「全日制高校」が最多ではあるものの、「通信制高校」や「単位制高校」を検討する声も多く集まりました(回答者単位で見ると43.4%が通信制・単位制を選択)。毎日の通学が必須ではない、あるいは自分のペースで学びやすい環境が、ODの子どもを持つ保護者から現実的な選択肢として強く意識されています。
Q3:進路を考えるうえで、不安に感じることを教えてください

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体調の波に対応できるか:18.6%
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朝の登校時間に間に合うか:18.2%
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本人の希望を叶えられるか:15.0%
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出席日数が足りるか:15.0%
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学習の遅れを取り戻せるか:11.1%
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その他:22.1%
→ ODの代表的な症状である「朝の不調」や「体調の波」が、進学後の学校生活に直結する不安として表れています。「学力」以前に、「通い続けられるか(登校時間・出席日数)」という生活基盤の維持が、進路選択における最大の懸念事項となっていることがわかります。
Q4:この夏の、お子さんの学習について教えてください

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体調に合わせて短時間だけ取り組んだ:24.2%
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オンライン教材や動画を活用した:15.0%
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学習より体調の回復を優先した:14.0%
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午後や夜の時間帯に学習した:9.7%
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特に問題なく進められた:9.7%
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その他:27.4%
→ 長時間机に向かう「夏期講習」や「猛勉強」といった一般的な受験生のスタイルとは異なり、短時間学習やオンライン活用、午後・夜間の学習など、子どものコンディションに合わせた工夫が凝らされています。また、学習よりも体調回復を最優先にする家庭も多く、無理をさせない姿勢が際立っています。
Q5:学校や進路指導の場で、お子さんの状態について理解を得られていると感じますか?

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ある程度は理解を得られている:51.0%
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どちらともいえない:23.1%
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十分に理解を得られている:11.9%
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あまり理解を得られていない:6.3%
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相談したことがない:6.3%
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まったく理解を得られていない:1.4%
→ 半数以上の保護者が「ある程度は理解を得られている」と感じており、教育現場におけるODへの認知は少しずつ広がっている様子が見られます。しかし、「どちらともいえない」「理解を得られていない」とする声も依然として3割近くあり、学校側の対応や配慮に個人差・地域差がある現状も推察されます。
調査結果のまとめ
今回の調査から、起立性調節障害の子どもを持つ家庭では、一般的な「受験生」のペースとは異なり、子どもの体調を最優先にしながら慎重に進路を模索している姿が浮き彫りになりました。特に進学先として、全日制だけでなく通信制・単位制高校を視野に入れる保護者が4割を超えている点は注目すべき変化です。「朝、登校できるか」「体調の波に対応できるか」という切実な不安を抱える中、学習面でも無理をさせず、短時間や自分のペースで進められる方法が取り入れられています。多様な学び方が広がる今、全日制という枠にとらわれず、子どもの状態にフィットした進路選択を周囲がサポートしていくことが求められています。
一般社団法人 起立性調節障害改善協会のコメント

起立性調節障害(OD)の子どもたちにとって、一般的な受験の枠組みに合わせて動くことは非常にハードルが高く、親子ともに焦りやプレッシャーを感じやすいものです。しかし今回の調査結果からもわかる通り、多くのご家庭が「通信制」や「単位制」など、子どもの体調やペースに合わせた柔軟な進路を検討し始めています。大切なのは、周りと同じペースで進むことではなく、子ども自身が無理なく通える環境を見つけることです。現在は学校の選択肢も多様化しています。学校や専門家のサポートも活用しながら、子どもが自分らしく学べる道を、焦らずに見つけていってほしいと願っています。
調査概要
調査主体:一般社団法人 起立性調節障害改善協会
調査期間:2026年8月13日〜2026年8月30日
調査対象:起立性調節障害と診断された小学校高学年〜高校生の子どもを持つ全国の保護者
調査方法:インターネットによるアンケート調査
有効回答数:143名
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