マラリア、顧みられない熱帯病(NTDs)などの治療薬の開発に約13.7億円を投資
MMV、GSK、田辺ファーマ、エーザイ、DNDiなどへ助成

公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(以下、GHIT Fund)は、マラリア、顧みられない熱帯病(NTDs)の治療薬の製品開発5件に合計約13.7億円の投資(助成)を決定しました*1。
抗マラリア薬の前臨床研究に約7億円の新たな投資
マラリアは世界で年間約2億8千万人が罹患し、約61万人が命を落としている深刻な感染症です。アフリカ地域では全症例の95%以上が集中しており、そのうち約75%以上が5歳未満の子どもたちです*2。特に致死率の高い熱帯熱マラリアと東南アジアおよびアメリカ大陸で流行している三日熱マラリアへの対策は喫緊の課題です。マラリア根絶には、現在のマラリアの治療薬の耐性株に有効な新規の作用機序を持つ新薬が必要であり、急性期の治療や再発の防止に加え、感染を阻止し、予防薬にも使用できる化合物の開発が重要です。
この課題を解決するため、GHIT Fundは、Medicines for Malaria Venture(MMV)、田辺ファーマ株式会社、ジョージア大学が進める月1回の経口投与による治療薬および予防薬を標的とした新規作用機序を持つ抗マラリア薬の前臨床研究のプロジェクトに約7億円を投資することを決定しました。今回の投資は、GHIT Fundが2015年から2025年までに合計約6億円を投資したプロジェクト*3からの継続した投資となります。本プロジェクトを通じて、再発性三日熱マラリアに対する有効性も含め、3か月以上の予防効果を可能とする長時間持続型の注射剤の創製の可能性も期待されています。
ケニア、セネガル、インドでの真菌性マイセトーマの臨床試験、薬事承認に約3.3億円の投資
真菌性マイセトーマは、ゆっくりと進行しながら組織を破壊する深刻な感染症で、身体の障がいや手足の切断、さらには収入の喪失、社会的偏見につながる可能性のある「顧みられない熱帯病」の一つです。アフリカ、アジア、そしてラテンアメリカの医療資源が限られた地方の農村を中心に発生しており、特に南緯15度から北緯30度に広がる「マイセトーマベルト」で多く報告されています。正確な患者数は十分に把握されていないものの、世界では10万人以上がこの疾患とともに生活し、毎年数千人が新たに罹患していると推定されています。しかし、現在利用可能な治療選択肢は限られ、副作用から服薬の継続が難しいといった課題も抱えています。GHIT Fundは2017年からエーザイ株式会社とDNDiのマイセトーマの治療薬開発を支援しています。この支援は、スーダンで実施された第II相無作為化臨床試験から始まり、2023年以降は、スーダンにおける同試験結果に基づくホスラブコナゾールの承認取得、ならびに真菌性マイセトーマ患者を対象としたホスラブコナゾールの早期治療アクセスを提供するコホート試験へと拡大しています。私たちの知る限り、GHIT Fundの支援によりスーダンで実施された臨床試験が、マイセトーマ患者を対象に治療薬の有効性を無作為化比較試験で検証した初めての例でした。今回はこれまでに得られた臨床試験結果を基盤として、ケニア、セネガル、インドでの非盲検型臨床試験とWHOの推奨取得および薬事承認に向けたプロジェクトに約3.3億円の投資を決定しました。今回の臨床試験により、これまでの課題であった症例数の少なさ、単一国での実施、病原体の多様性不足が解消されます。
その他にも、以下の3つの研究開発プロジェクトに合計約3.4億円の投資を決定しました。
(1) Medicines for Malaria Venture (MMV) 、GlaxoSmithKline Investigacion y Desarrollo, S.L. (GSK)および東京大学によるProlyl tRNA 合成酵素を阻害する抗マラリア治療薬の開発プロジェクト
(2) Medicines for Malaria Venture(MMV)および第一三共株式会社によるPfPFN(プロフィリン)を阻害する抗マラリア治療薬のヒット・トゥ・リード研究プロジェクト
(3) エーザイ株式会社およびMedicines for Malaria Venture (MMV) によるセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(SHMT)を阻害する抗マラリア治療薬のスクリーニングプロジェクト
各プロジェクトの概要や開発段階など、詳しくは別紙1をご覧ください。
d120361-32-524c0366fc75a7f8736c0f059f43ec2b.pdf2026年3月31日時点で42件のプロジェクトが進行しており、その内訳は20件の標的・探索研究、13件の非臨床試験、9件の臨床試験*4となります。GHIT Fundのこれまでの累積投資金額は約439億円となります(別紙2)。
d120361-32-23a9a055db14770060b659f6c08b0e4f.pdf注記
1 これらの案件は、2022年10月〜2025年6月にかけて実施した公募RFP2023-001、 RFP2025-001およびRFP2025-002(標的研究プログラム、スクリーニング、ヒット・トゥ・リードプログラム、製品開発プログラム)の中から選定され、承認されたものです。
2 WHO(世界保健機関)https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/malaria 参照
3 プロジェクト詳細: G2023-104 https://www.ghitfund.org/investment/portfoliodetail/detail/211/jp
G2018-202: https://www.ghitfund.org/investment/portfoliodetail/detail/136/jp
H2016-101: https://www.ghitfund.org/investment/portfoliodetail/detail/93/jp
S2014-212: https://www.ghitfund.org/investment/portfoliodetail/detail/56/jp
4 薬事申請の段階にある案件を含みます。診断薬開発において、途上国における患者サンプルを使用した臨床的妥当性の評価を行う段階に入った案件については、表現の便宜上、臨床試験として扱っています。
【グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)について】
公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)は、日本政府(外務省、厚生労働省)、製薬企業などの民間企業、ゲイツ財団、ウェルカム、国連開発計画が参画する国際的な官民パートナーシップです。世界の最貧困層の健康を脅かすマラリア、結核、顧みられない熱帯病(NTDs)などの感染症と闘うための新薬開発への投資を行っています。治療薬、ワクチン、診断薬を開発するために、GHIT Fundは日本の製薬企業、大学、研究機関の製品開発への参画と、海外の機関との連携を促進しています。詳しくは、https://www.ghitfund.org/jpをご覧ください。
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