金属3Dプリンタで、納期短縮と長寿命化を実現!
~老朽化ポンプの整備に、最新AM技術の活用を拡大中~
株式会社酉島製作所(以下、トリシマ)は、最新の金属AM (Additive Manufacturing:積層造形)技術を活用し、老朽化した社会インフラ用ポンプの納期短縮と長寿命化を両立する「一体型プロペラ(羽根車)」の活用を拡大しています。
本技術は、兵庫県下の河川排水ポンプ場の整備工事において実際に適用され、従来の鋳造プロセスで約6カ月要していた納期を3分の1(1.5〜2カ月)に短縮。非出水期(渇水期)の限られた工期内での確実な復旧に貢献いたしました。

■ 開発の背景:インフラ老朽化と「想定外の部品腐食」による工期逼迫
現在、日本全国で納入後20〜30年を経過した社会インフラ用ポンプ(排水機場や雨水ポンプ場など)の整備工事が増加しています。これらのポンプは通常、雨の少ない非出水期(冬場など)に工場へ持ち込まれ分解点検されますが、分解して初めて「プロペラボス(羽根を取り付ける中心部)」等の激しい経年劣化や想定外の腐食が判明するケースが多発しています。
【従来の鋳造による新製プロセス 】
①木型の製作→②鋳型の作成 →③金属の鋳込み→ ④型ばらし・仕上げ→⑤ 精密機械加工
上記のように多くの分業工程を要することから、4〜6カ月の長い納期を余儀なくされていました。さらに、1点ものの手配ごとに高額な木型費用が発生する点も、インフラ維持における深刻な課題でした。
■ トリシマの「金属AM(積層・切削複合)技術」がもたらすイノベーション
この課題に対し、トリシマでは金属積層と5軸削り出しを1台で実現するハイブリッドAM機(DMG MORI精機製 Lasertec 65 3D)を導入。以下の3つのイノベーションを実現しました。
1. 劇的な納期短縮(リードタイムを1/3以下に)
3Dデジタルデータから直接金属粉末を溶融・積層して形づくる「木型レス造形」のため、前準備工程を大幅にカット。従来技術で約6カ月要していた納期を、最短2週間で製作可能で、圧倒的なリードタイム短縮が可能となります。
2. 部品の一体造形による「弱点」の排除
従来は「銅合金(CAC402)」製の羽根と「鋳鉄(FC250)」製のボスをボルト等で組み立てていたプロペラを、強靭な「高耐食ステンレス鋼(SUS316L相当)」により、完全一体で造形(総重量43kg)。 ボルト穴や接合部の隙間がなくなることで、長期間使用時の「ガタつき」や、異種金属の接触によって起こる「電食(腐食)」のリスクを根本から排除しました。
3. 「現物合わせ」の超精密再現(3Dスキャン&デジタル設計)
腐食した旧品プロペラを3Dスキャナーで精密にデジタル測定。過去の運転・性能記録と照合し、プロペラの取付角度を高精度に調整した上でデジタルモデルを作成し、忠実に造形しました。
■ 信頼性を裏付ける、数々の厳しい品質試験をクリア
AM製インペラをインフラ設備に導入するにあたり、トリシマでは学術機関等と連携し、徹底した品質検証を行いました。
1. 疲労評価試験(耐久性の証明)
AMで製作したプロペラ(SUS316L製)を用い、連続運転試験を実施。試験後に精密な非破壊検査(浸透探傷試験:PT)を行い、羽根の付け根部分などに応力集中による亀裂(クラック)が一切発生していないことを確認し、十分な長期耐久性を証明しました。
2. 耐食性試験(従来鋳造品を凌駕する結果)
塩水環境下における長時間の浸漬試験を実施した結果、AM(積層)材は、従来のステンレス鋳造材と比較して圧倒的に低い腐食質量減少率(数分の一)を記録し、優れた防錆・耐食性が実証されました。
■ ニアネットシェイプによるサステナビリティ(環境負荷低減)
従来の鋳造技術では、製品重量の約1.5〜3倍の溶けた金属を消費(湯口や押し湯などの廃材が発生)し、材料・エネルギー双方のロスが多いことが課題でした。 これに対しAM技術では、最終形状に近い状態まで直接金属パウダーを積層する「ニアネットシェイプ」で造形するため、材料の廃材が非常に少なく、極めて省資源かつクリーンな「エコ製造」を実現しています。
■ 代表仕様の比較サマリー(プロペラ製作の場合)

■ 今後の展望:インフラ管理における「DX」と「持続可能社会」への貢献
「モノづくりにおけるDX技術の活用」を推進するため、トリシマはこの金属AM技術を全国の地方自治体、プラント管理者、さらには電力・化学といった各種民間プラントの重要ポンプ整備へと展開していきます。 「壊れたから丸ごと買い替える」のではなく、「先進技術で、より強く、より早く、よりエコに蘇らせる」。トリシマはこれからも、革新的な製造技術を通じて持続可能な社会インフラの維持発展に貢献してまいります。
【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社酉島製作所 072-695-0551
-
報道関係に関するお問い合わせ:総務部 コーポレートブランディング課
-
製品に関するお問い合わせ:生産本部 製造技術革新部
お問い合わせフォーム:
すべての画像
