男性プレコンセプションケアによる妊孕性支援モデル構築と効果検証の共同研究スタート

研究に参加いただける社会人男性を広く募集

特定非営利活動法人Fine

不妊治療患者をはじめ不妊・不育で悩む人をサポートするセルフサポートグループ「NPO 法人 Fine (ファイン)」は、2025年1月より大阪信愛学院大学しんあい教育研究ケアセンター 研究代表者の上澤悦子氏と共同で、男性の妊孕性(妊娠に係る必要な力)維持を支援するプログラムの効果を科学的に検証し、新たな支援モデルを構築することを目的とした共同研究をスタートしましたので、お知らせいたします。これに伴い、本研究にご参加いただける40歳未満の社会人男性を広く募集いたします。本研究は、科学研究基盤C(21K10928)補助金を受けて実施するものです。

日本では不妊に悩むカップルは4組に1組であり、不妊要因の約半分は男性側にあることがWHOの調査で明らかになっていますが、男性が自身の精子の状態(妊娠させる力としての妊孕性)を知る機会は大変少ない状況にあります。本研究は男性の性と生殖の健康増進(プレコンセプションケア:PCC(*1))を促進し、不妊に悩む夫婦の負担軽減とQOL(生活の質)向上に貢献するとともに、企業の従業員健康支援策や働きやすい環境づくりにも活用してまいります。

(*1)プレコンセプションケア(PCC)、将来の妊娠を考えながら、女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うことを指します。この観点から、妊娠を計画している女性だけではなく、男性にとっても健康維持のための重要なポイントで、男・女ともに自身の健康、日常の生活習慣に意識を向けることで、より善い人生をおくることにつながります。

  • 研究タイトル:「男性プレコンセプションケアプログラム効果検証による妊孕性支援モデルの構築

  • 研究対象:40歳未満の社会人男性

  • 募集人数:50名程度

  • 調査内容

    1. オンラインフォームでの生活習慣・妊孕性に関する調査(15分)

    2. 男性プレコンセプションケア(PCC)動画視聴(15分)

    3. スマートフォン用精子チェックキットでのセルフチェック

    4. 1か月後のフォローアップ調査(10分)

    5. 希望者には男性不妊専門の男性不妊症認定看護師のカウンセリング

  • お申し込み先はこちらまで(https://forms.gle/jBtoUVN6eRxoi9jZ7


<男性プレコンセプションケアプログラム効果検証による妊孕性支援モデルの構築 詳細>

(研究の背景)

 現在、ART施設は全国で635か所とされていますが(2022年ARTデータブック)、男性不妊を診療できる施設は、2022年の子ども家庭庁の調査では100か所登録されており、男性不妊専門医は70名程度と少ない状況です。男性は性機能障害(勃起不全や膣内射精障害)を自覚するか、パートナーとともに受診して精液検査を受けることでしか造精機能障害を知ることができません。また、男性の造精機能障害は、精神的ストレス、がん化学療法やSulfasalazine薬物(抗リウマチ薬)、神経ペプチド薬、向精神薬の服薬、放射線被爆やペンキ溶剤等を扱う塗装業、農薬を扱う農業、高熱下での勤務をする製造業、男性下着の課題、射精頻度の少なさ(禁欲期間の長期化)による死滅精子による酸化作用などの生活習慣が影響しているとも言われています。これらの慢性的なストレス、アルキル化剤(抗がん剤)投与や放射線被爆、精巣周囲温度が34℃以上になるような高熱下での業務や精巣を締め付ける下着、長期間の禁欲、喫煙が造精機能障害の原因となることに関する男性への知識普及の機会はほとんどありません。2018年に成育基本法が制定されたものの、高校や大学等での基礎教育でこれらの男性の生殖内分泌の知識を教育される機会もないのが現状です。


 その結果、79カ国で成人男女を対象に行なわれた妊孕性知識の国際的調査において、日本の知識レベルは先進国中、最低でした(Bunting et al.,2013)。2015年、国立成育医療研究センターにプレコンセプションケアセンターが開設され、日本でのプレコンセプションケア(PCC)を「前思春期から生殖可能年齢にあるすべての人々の身体的、心理的及び社会的な健康の保持および増進」と定義することが提案されました。アメリカDCD(Center for Disease Controland Prevention) (2018)も、妊娠前の男女に提供すべき情報として、加齢による妊孕性の低下、喫煙や飲酒、肥満・痩せ等の生活習慣と妊孕性の関係、性感染症予防などに推奨される行動を挙げ、医療者による情報提供が必要なことを提唱しています。


(調査項目)

基本情報(前調査)

年齢、職業、既往歴(特に小児がんや精神疾患、流行性耳下腺炎の既往)、常備薬(Sulfasalazine薬、神経ペプチド薬、向精神薬服薬)、生活習慣(喫煙、禁欲期間・射精頻度、下着の種類)、性機能に関する悩み。日本語版 Japanese version of Cardiff Fertility Knowledge Scale(以下CFKS-J)をもとにした27項目、男性PCCに対する行動調査21項目

セルフ精液チェック

男性プレコンセプションケア(PCC)健康教育に参加した男性に対して、精液チェックをする意味を十分説明した後に、チェックを希望しチェック情報の提供に同意した男性に対して、スマートフォン使用のセルフ精液チェックキットを渡し、自分自身で自宅で確認することを説明します。精液チェックはむらがあり、1か月以内に2回のチェックが必要とされていますが、複数回のチェックができるキットを使用します。その精子チェックデータと今後の生活習慣留意点について、オンラインアンケート入力を参加者に依頼します。精子濃度が下限値未満の男性や性機能に関する悩み(例えばEDや膣内射精障害等の性機能障害や男性生殖器形態等)を記述した男性には、程度に応じて男性の不妊症認定看護師との相談の上、医療施設への受診を勧めることとします。

プレコンセプションケア(PCC)健康教育評価 1カ月後調査

男性生殖機能・障害に関する知識調査を実施、精子チェックデータと今後の生活習慣留意点から調査、生殖機能自己管理能力取得状況を判断します。

2025年度:データ分析と学会等の発表および論文作成

 男性生殖機能障害予防知識について、プレコンセプションケア(PCC)プログラム実施前後での比較を行ない、男性の意識や行動に変化があったかを検討し、教育モデルの評価と課題を明確にします。

倫理的配慮について

本研究では、参加者の皆様のプライバシーと個人情報の保護を最優先事項としています。調査結果は統計的に処理され、個人が特定されることはありません。また、収集された個人情報は倫理委員会のルールに則って厳重に保護され、本研究以外の目的では一切使用いたしません。さらに、参加状況や結果について所属企業には一切公開いたしません。なお、本研究は大阪信愛学院大学研究倫理委員会の審査(信研倫24‐7)をうけて実施されます。


(調査協力)

・男性用プレコンセプションケア(PCC)動画製作

生殖医療に直接関わるFineと上澤氏にて科学的知見を基に作成した資料、シナリオに基づき、全国の就労継続支援事業所や在宅で活躍する障がいのある方々が仕事を通じて能力を発揮できる場を提供されているVALT JAPAN株式会社様(https://www.valt-japan.com)のご協力のもと、就労継続支援A型事業所 レーヴ様(https://reve.kizuna-g.com)に製作を依頼。VALT JAPAN様の「障がいや疾病を抱えた人が仕事を通じて輝ける社会の実現」の取り組みは、Fineが目指す「仕事と不妊治療が両立でき、誰もが柔軟に働ける社会、個々の能力が発揮できる社会の実現」にもつながります。

・精子チェックキット(TENGA MEN'S LOUPE テンガ メンズ ルーペ)

株式会社TENGAヘルスケア様(https://tengahealthcare.com)の「性の悩みや不安を抱え込んでしまう前に今できることを」という思いは、Fineが願う「不妊治療患者が正しい情報に基づき、自分で納得して選択した治療を安心して受けられる環境を整えること」につながります。未だ男性の生殖に関する心理的ハードルは高く、不妊や不妊治療、妊娠・出産に深く関わる「性」の問題について、「カップルで行なうもの」として実際に行動を促す第一歩に繋げたいと考えています。

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会社概要

特定非営利活動法人Fine

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URL
https://j-fine.jp
業種
サービス業
本社所在地
東京都江東区木場6-11-5 サニーコーポK・201
電話番号
03-5665-1605
代表者名
野曽原誉枝
上場
未上場
資本金
-
設立
2005年01月