認知93.8%でも、昼食時の想起は8.5%。丸亀製麺と探った“まだ選ばれていない生活者” からの成長機会
「MarkeZine Day 2026 Autumn」にノウンズと丸亀製麺が登壇。生活者データとAIから、ブランドの次の成長仮説を探る
ノウンズ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役:田中 啓志朗、以下「ノウンズ」)は、2026年9月8日に開催された「MarkeZine Day 2026 Autumn」にて、株式会社丸亀製麺 執行役員 兼 マーケティング本部長 江田壮寿氏をゲストに迎え、トークセッションを実施しました。

セッションテーマは、「“顧客の外側”に、次の成長のヒントがある。丸亀製麺と探る、“まだ選ばれていない生活者”から読み解く感動創造と成長仮説」。
当日は169名が参加し、約30名が立ち見となるなど、多くのマーケターの方にご聴講いただきました。
今回着目したのは、既存顧客やロイヤルユーザーだけではありません。
ブランドを知っているものの、現在は利用していない。好意はあるものの、食事の瞬間には候補に入らない。そうした「まだ選ばれていない生活者=顧客の外側」に視点を広げ、丸亀製麺が実践する「感動(KANDO)」起点のマーケティングと、全国1,271名を対象にした生活者調査を掛け合わせながら、ブランドの新たな成長機会を探りました。調査では、「食機会」「好意」「候補入り」「想起」「店舗・接点」をそれぞれ分けて捉え、どの段階に選ばれにくさが存在するのかを分析しています。
丸亀製麺が実践する“感動(KANDO)”起点の統合マーケティング
セッション前半では、江田氏より丸亀製麺の経営・マーケティング戦略をご紹介いただきました。
丸亀製麺では、「食の感動で、この星を満たせ。」というスローガンのもと、“感動(KANDO)”起点の統合マーケティングを展開しています。
その特徴のひとつが、ストラテジー(Why/Who)、クリエイティブ(What)、メディア(How)、データサイエンス(Improve)を個別に捉えるのではなく、一体として設計する「統合マーケティング」です。
「なぜ選ばれるのか」を定義し、その価値を「どう魅力的に見せるか」「どこで、どう出会うか」まで一貫して設計し、データサイエンスによって顧客理解と最適化につなげています。
また、丸亀製麺では「本格」「できたて」といった本質的な体験価値を磨きながら、フェア商品などによる「ワクワク」「楽しさ」という新たな体験価値も両立。商品、コミュニケーション、店舗体験を通じて「食の感動体験」を生み出しています。
そのうえで、セッション後半では、次の問いを設定しました。
「“顧客の外側”に、次の成長のヒントはあるのか?」
「なぜ来ないのか」と不満を探すのではなく、生活者がブランドを選ぶ前の構造を分解し、どこに新たな成長余地があるのかを探りました。
発見1|認知93.8%。一方、昼食時の自発想起は8.5%
まず見えてきたのは、「知っていること」と「食事の瞬間に思い浮かぶこと」は別であるという点です。

丸亀製麺の認知率は93.8%。
一方、認知者に「普段の昼食で思い浮かぶ店・チェーン」を尋ねたところ、丸亀製麺が3つ以内に挙がった自発想起率は8.5%、第一想起率は3.6%でした。
さらに、利用時期が遠ざかるほど自発想起率は低下し、直近3か月利用では22.2%だったのに対し、1年以上利用していない層では3.2%、認知しているものの利用経験がない層では1.0%となりました。
認知そのものはブランド資産として残っていても、日常の食事選択の中で「思い浮かぶブランド」であり続けるとは限らないことが分かります。
ブランド成長を考える際には、認知を獲得できているかだけでなく、生活者の意思決定の瞬間に、ブランドが選択肢として立ち上がっているかを見ることが重要です。
発見2|ブランドを思い出してもらう前に、「今日はうどん」が立ち上がるか
次に注目したのが、ブランド想起のさらに手前にあるカテゴリーそのものの食機会です。
普段の昼食候補に「うどん・そば」が入っている人では、丸亀製麺の自発想起率は25.0%。
一方、「うどん・そば」が昼食候補に入っていない人では3.3%で、その差は約7.6倍となりました。
ここから見えてくるのは、「丸亀製麺というブランドをどう思い出してもらうか」だけではありません。
「今日はうどん・そばを食べたい」という食機会そのものが、生活者の中で立ち上がっているか。
ブランドのMental Availabilityだけではなく、その手前にあるカテゴリーの利用機会まで捉えることで、成長機会の見え方は変わります。
発見3|「好き」「近い」だけでは、食事の候補になるとは限らない
店舗が近くにあり、ブランドへの好意も高ければ、自然と食事の候補に入るのでしょうか。

今回、“顧客の外側”677名をさらに分析すると、最寄り店舗まで15分未満の人は177名、その中で丸亀製麺への好意が高い人は61名いました。
しかし、その61名のうち、昼食時に丸亀製麺を自発想起した人は3名にとどまりました。
さらに、この層の選択障壁を見ると、「うどんを食べたい機会が少ない」が24.6%、「不満はないが1位化しにくい」が24.6%、「価格・コストパフォーマンス」が23.0%。一方、「味・食感が合わない」は6.6%でした。
「選ばれない理由」を、商品そのものへの不満だけで説明することはできません。
好きになってもらうこと、利用しやすい場所に店舗があることに加え、その好意を“今日の食事の候補”へどうつなげるか。
そこにも、新たな成長余地があると考えられます。
“顧客の外側”は一枚岩ではない。見えてきた3つの成長レバー
今回の分析を通じて、“まだ選ばれていない生活者”に向けた成長仮説は、大きく3つに整理されました。
「食機会をつくる」、「想起・候補化につなげる」、「店舗接点を設計する」という3つです。
丸亀製麺が持つ「本格×できたて」やKANDOというブランド資産を、生活者の“今日の選択”へどう接続するか。
それが今回、次の成長仮説として浮かび上がった問いです。登壇資料でも、食機会・想起/候補化・店舗接点の3つを成長レバーとして整理しています。
AIに生活者データを加えると、仮説の「優先順位」が変わる
今回のセッションでは、もう一つの検証も行いました。
AIに、「丸亀製麺が、“まだ選ばれていない生活者”から選ばれるための成長機会はどこにあるか?」という同じ問いを与え、生活者調査を与えないBeforeと、今回の調査結果を与えたAfterを比較しました。
公開情報のみでもAIは、非ランチ機会、新たな商品カテゴリー、店舗フォーマット、来店外接点など、幅広い成長仮説を提示できます。
一方、生活者データを加えると、「認知不足が主因」「商品や味への不満が主因」といった仮説は相対的に弱まり、「今日はうどん」が立ち上がる食機会、好意を候補入り・想起へ接続する設計、地域・店舗形態別の接点設計といった論点の優先順位が上がりました。
さらに、「近い×好意が高い×それでも想起されない」という、クロス分析によって初めて見えてくる具体的な生活者像も浮かび上がりました。
AIによって多くの仮説を短時間で生み出せるようになったからこそ、重要になるのが、「どんな問いを立て、どんなデータを与えるか」です。
生活者データを掛け合わせることで、AIから得られる仮説を、「ありそうな論点」の列挙から、誰の・どの段階に着目するのかという、より具体的な成長仮説へと深めることができます。
参加者の95.3%が「良かった」と回答。“顧客の外側”へ高い関心
当日の参加者アンケートには86名から回答をいただきました。

多くの参加者から、セッションそのものへの評価に加え、実際のマーケティング活動にも活用できそうとの回答をいただきました。

丸亀製麺が実践するKANDO起点の経営・マーケティングへの関心に加え、“顧客の外側”という視点や、「好きでも選ばれない」生活者を捉える分析にも多くの回答が集まりました。既存顧客の理解だけではなく、ブランドが選ばれる前の意思決定を捉えることへの関心の高さがうかがえます。
“まだ選ばれていない生活者”から、次の成長機会を考える
ブランドの成長を考えるうえで、既存顧客を深く理解することは欠かせません。
一方で、知っているのに思い浮かばない、 好きなのに候補に入らない、利用できる場所にあるのに選ばれない。そんな“顧客の外側”を丁寧に見ていくことで、既存顧客の分析だけでは捉えにくかった成長機会が見えてくることがあります。
ノウンズでは、生活者意識データや個別調査、AIを活用しながら、ブランドと生活者の間にある構造を読み解き、マーケティングの仮説づくりを支援しています。
「認知や好意はあるものの、その先の利用につながる構造をもう少し深く理解したい」
「既存顧客だけでなく、まだ選ばれていない生活者についても見てみたい」
「生活者データを、次の施策や仮説づくりに活用したい」
といったテーマがございましたら、お気軽にご相談ください。
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■ノウンズ株式会社について
「すべてのひらめきに、データで確信を。」をミッションに、国内最大級の独自の消費者意識データとAI、アカウントプランナーによる伴走支援を組み合わせ、企業のマーケティング活動を支援しています。
生活者理解や市場・ブランド分析から、仮説設計、施策立案まで一気通貫で伴走し、データを意思決定と次のアクションにつなげる、AI時代のデータパートナーです。

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