FromプラネットVol.100<平成の日用品に関する意識調査>

~豊富な香り、過剰なまでの清潔志向、男性もスキンケアがあたりまえ!?~

プラネット

 国内1,300社超が利用する日用品流通の情報基盤を運営する株式会社プラネット(所在地:東京都港区、代表取締役社長:田上正勝)は、消費財や暮らしにまつわるトピックスをお届けする『Fromプラネット』の第100号として、平成の日用品に関する意識調査の結果をご紹介します。
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  • 平成で使用頻度が増えた日用品の2位は除菌シート、では1位は?
 2018年12月、平成最後の年末を迎えます。そこで今回は、平成の日用品を振り返るアンケートを実施。平成になって使用頻度が増えた日用品や、日用品に対する意識の変化、見かけなくなった懐かしい日用品などをまとめました。
 まずは、平成の約30年間(平成生まれの人は自分が生まれてから)を振り返って、使う頻度が増えたと思う日用品を、40の選択肢から選んでもらいました(表1)。
 1位に輝いたのは「使い捨てマスク」。かつて主流だったガーゼマスクに比べ、使い捨てマスクは便利で、性能やつけ心地もアップ。花粉やPM2.5を防ぐという環境要因に加え、近年は、“伊達マスク”など、本来とは違う目的でマスクをする人も増えました。色付きや香り付きなど、付加価値のあるものも次々と登場。日用品における、平成最大のヒット商品と言えそうです。
 次次いで、2位に「ウェットティッシュ(除菌シート)」、3位に「デンタルフロス・歯間ブラシ」がランクインしました。ウェットティッシュそのものは昭和からありましたが、除菌効果をうたったものや持ち運びしやすい携帯タイプが普及したのは平成。今や毎日の暮らしに欠かせない人もいるはずです。口腔ケアや口臭への意識も平成には特に高まりました。「デンタルフロス・歯間ブラシ」のほか、「洗口剤・液体歯磨き」も9位に入っています。
 男女別順位を見ると、女性では「衣料用洗剤(液体、ジェル)」「柔軟剤(柔軟剤入り洗剤)」など、洗濯用品が男性に比べて上位に入っていました。粉から液体やジェルボールへ、また香りの種類や抗菌・消臭などの機能が増えた洗剤・柔軟剤は、平成に大きく進化したアイテムの一つと言えます。一方男性では、「洗顔料」が4位に、女性ではトップ10圏外の「制汗シート・汗ふきシート」が10位にランクインしているのも興味深い結果。スキンケアやニオイに気を遣う男性が増えたことの表れと言えそうです。

 
  • 平成世代の男性に高まるスキンケアへの意識
 はじめの調査の結果を、さらに性年代別に見てみました(表2)。特徴的なのが、女性の20代。「使い捨てマスク」「ウェットティッシュ」「洗顔料」「衣料用洗剤(液体、ジェル)」「柔軟剤」などが、他の年代の女性に比べ、かなり高くなっていました。平成生まれである20代女性の使用頻度が高いこれらのアイテムは、まさに平成を象徴する日用品と言えるかもしれません。
 また男性では、「洗顔料」が60代・70代以上では1ケタであるのに対し、20代・30代では30%超と、大きな差がありました。「化粧水・スキンケア用品」も、40代以上では1ケタですが、30代で1割を超え、20代では2割に近づいています。20代は平成生まれ、30代も物心ついた年頃には平成になっていたと考えると、男性のスキンケアへの意識が高まったことも平成の特徴と言えそうです。

 
  • 女性は「好きな香り」を重視、男性は「無香」を重視
 平成には、日用品を使う側の意識も大きく変化したと思われます。ふだん使う日用品に対して、平成になって重視するようになったことを20の選択肢から選んでもらいました(表3)。すると、最も高かったのは「使い勝手のよさ、機能性」で53.9%。2位を2倍以上も引き離した1位でした。使う人が「使い勝手のよさ、機能性」を求めたと同時に、日用品の性能や使い勝手が格段によくなったことの表れでもあると思われます。次いで、2位は「詰替え用があること、ゴミが減らせること」25.1%。詰替えできる日用品が増えたのも平成になってから。大量生産・大量消費の時代から、エコや節約重視の時代になったことがうかがえます。平成になって進んだゴミの有料化や分別収集も影響しているかもしれません。3位は「除菌・抗菌効果」20.4%。もともときれい好きと言われる日本人の“清潔志向”は、平成以降、より高まってきました。ウェットティッシュや洗剤・柔軟剤、消臭スプレーなど、あらゆる製品に除菌や抗菌効果の付いたものが増えました。
 男女差に注目すると、ほとんどの項目で女性が男性を上回っていました。中でも最も差が大きかったのが「体・肌にやさしいこと(弱酸性や非刺激性、天然由来成分)」で、14.0ポイント(以下、pt)差。次いで、「保湿効果」の11.5pt差、「香りがよいこと、好きな香り」の11.2pt差でした。この男女差の傾向は、男女別順位にも表れていました。男性で7位の「体・肌にやさしいこと」は女性では3位に。また、女性では「香りがよいこと、好きな香り」が8位ですが、男性ではトップ10圏外。男性の8位には対照的に、「無香であること」が入っています。平成には、芳香剤や柔軟剤の香りの種類が劇的に増えた反面、「無香」アイテムが増えたことが思い当たります。

 
  • 平成の日用品は“プチプラで質もいい”“香りの種類が劇的に増えた”
 平成を振り返って、ふだん使う日用品がどのように変わったと思うかを、自由に答えてもらいました。「プチプラ(=安い、低価格。“プチプライス”の略)で質のいいものが増えた」とあるように、掃除用品や洗剤、化粧品に至るまで、機能性がよくなり、“安くていいもの”が増えたという声が目立ちました。清潔志向が高まり、使い捨て用品が増えたと同時に、いろいろな物が詰替えできるようになったなど、ここまでの調査結果を裏打ちするような回答が寄せられています。量的な節約だけでなく、“時間の節約=時短”を意識したものが増えたと感じている人も多いようです。

《 ここが変わった! 平成の日用品 》

● プチプラで質のいいものが増えた。100円ショップでも機能性もデザインも重視されている。(女性・20代)

● 詰め替えが増える一方で、使い捨ても増えた。(女性・40代)

● 洗剤や掃除用具など時間をかけずに効果が出るものがたくさん出たと思う。(女性・40代)

● 時短に役立つものが増えた。特に洗濯洗剤はすすぎの回数が減ったのがすごい。(女性・50代)

● 柔軟剤などの香りの種類が劇的に増えた。消臭、除菌、抗菌など、さまざまな効能が付いた。(女性・40代)

● オーガニックや無添加など素材を重視したものが目につきやすくなったと思います。(女性・20代)

● コンパクトな製品が多くなり、スペースを取らなくてもいいようになった。(女性・70代以上)

● 除菌に対する意識がこの30年間で飛躍的に高まり、少し過剰なレベルになったように思う。(男性・40代)

● インターネットで情報を得ることができるようになり、買い物ができるようになった。(男性・70代以上)
 
  • 今の暮らしになくてはならない、お気に入りの日用品は?
 さらに、平成の日用品の中で、特に気に入っているものや今の暮らしになくてはならないものを聞きました。マスク、除菌シート、柔軟剤、消臭スプレー…便利で機能的な日用品であふれる平成の生活シーンが見えてくるようです。男性用化粧品が「毎日のお手入れに欠かせない」などとあるように、男性の意識の変化もうかがえました。

《 これがなければ暮らせない??お気に入りの日用品 》

● 使い捨てマスクは常備しています。長時間つけても耳が痛くならないものには感動しました。(女性・20代)

● マスク。かぜ予防だけでなく、顔を隠せて便利。朝の通勤時は眠いので、マスクをしていると、豪快にあくびもできる。(女性・30代)

● 除菌シート。ノンアルコールタイプや高アルコールタイプなど目的に合わせて使い分ける生活が当たり前になっていて、もう除菌シートなしの生活は考えられない。(女性・40代)

● 除菌ウェットシートは欠かせない。特に冬のインフルエンザの流行時期は、外から帰ると必ずスマホをウェットシートでふいて、できるだけ菌やウィルスを持ち込まないようにしている。(男性・20代)

● 口腔ケアの大切さを知り、歯間ブラシやフロスを使うようになった。(男性・60代)

● お気に入りは液体洗剤。粉洗剤のように、溶けきれずに洗濯物に残ることがなくなった。(女性・40代)

● 泡のせっけん。ボディソープ、洗顔、ハンドソープと、すべてわが家は泡で出ます。子どもがいると泡のほうが便利で、今では泡じゃないと困ります。(女性・40代)

● いい香りで癒やされる柔軟剤は欠かせない日用品です。(女性・20代)

● 男性用化粧品の数が増え、保湿や香りのいい品が多く発売されるようになったと思います。今では毎日のお手入れに欠かせない存在となりました。(男性・40代)

● 布用消臭剤。こまめに洗えないファブリックに非常にいいし、なかったのが不思議なくらい。(女性・40代)

● 布用消臭・除菌スプレーは子どもの制服や夫のスーツ、ぬいぐるみなどに愛用しています。(女性・50代)

● 流せるトイレシート。トイレを掃除したぞうきんは洗っても菌などが気になっていましたが、使って流せるので衛生的でよいと思います。
(女性・50代)

● お掃除シートは本当に便利だと思います。ぞうきんの出番がほとんどなくなりました。(女性・40代)

● 週に5回卓球をするのですが、出かける前に制汗剤とマウスウォッシュが必需品です。(男性・70代以上)
 
  • 日用品の購入時、20代が「テレビ」の次に重視する情報源は?
  今度は、日用品を購入するとき重視する情報は何かを聞きました(表4)。すると、従来の「テレビ番組、テレビCM」52.1%、「実際の店頭のPOP(商品説明)」42.3%に続いて、「ネット通販サイトのユーザー評価、星の数」24.1%、「知人・友人のクチコミ、ブログ、SNS」20.1%が挙がりました。
 インターネットの普及が進み、誰でも手軽にネットで商品を買えるようになったことは、平成に生じた大きな変化です。リアル店舗で購入する場合でも、ほしい商品についてネットで情報収集する人も多くなったと思います。
 20代の順位では、男女ともに「ネット通販サイトのユーザー評価、星の数」と「知人・友人のクチコミ、ブログ、SNS」が2位・3位に入っていました。平成生まれの世代がネット上の評価やSNSの情報を重視していることがわかります。
 一方で、「実際の店頭のPOP(商品説明)」が全体の2位に挙がっていることも見逃せません。ネットの情報があふれる時代にあっても、店頭で実物を手に取りながら商品の情報を確めることは、納得して買い物をする上で大切なことなのかもしれません。

 
  • “トイレはキンモクセイの香り” “ハエ取り紙で人が捕まる”…懐かしい日用品
《 平成に消えた??懐かしい昭和の日用品 》

● トイレの芳香剤のキンモクセイの香り。(女性・50代)

● 男子トイレの丸い芳香剤の玉は見かけなくなった。(男性・50代)

● 顔に塗って、乾いたらぺりぺりとはがすタイプの美容パック。(女性・50代)

● ナフタレン。季節の変わりめには、このニオイをさせた洋服を着ている人が多かった。(女性・50代)

● ベンジンだかを燃料とする懐炉。燃料を入れ替えるときに少し気化したにおいが懐かしい。(男性・60代)

● ハエ取り紙。知らずに勢いよく入って髪の毛にくっつき、人間が捕えられて笑われた。(男性・70代以上)

● コンセントタイプの蚊取りマット。部屋中に広がる独特の香りが、夏っていう感じがする。(女性・40代)

● 夏の夜の蚊帳。庭に飛んでいた蛍を入れ、何とも言えない気持ちになった思い出がある。(男性・70代以上)

● 学校の手洗い場にある網に入ったレモンのせっけんはいい香りで懐かしい。(女性・50代)

 平成に生まれた日用品がある一方で、あまり使われなくなった日用品もあります。最後に、平成の間に見かけなくなった、懐かしい日用品の思い出を聞きました。不思議なことに、昭和の日用品の思い出も、やはり“香り”に彩られたものが多いようでした。かつては必需品だったのに、技術や素材の進化、あるいは家電の性能が向上したために必要がなくなり、しだいに姿を消したものもあると思われます。平成は、多様なニーズに、よりきめ細やかに応えてきた時代だと言えそうです。2019年に始まる新しい元号の時代には、どんな日用品が生まれるのでしょうか。

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4億3610万円
設立
1985年08月