【岐阜県高山市】飛騨地方で初めてのワイン造りに挑戦~飛騨産ワイン醸造中~
北海道出身の元鉄道会社研究員の夫と飛騨高山出身の薬剤師の妻の夫婦2人が二人三脚で営むワイナリー
自然豊かな岐阜県高山市久々野町の丘の上にある「飛騨高山ワインアポセカリー」は、令和5年7月に誕生した新しいワイナリーです。アポセカリー(APOTHECARY)とは古風な英語で薬局や薬剤師を意味し、元は貯蔵庫の意から転じたものです。経営母体が調剤薬局であり、奥様が薬剤師でもあることから、薬局のワイン、ワインの貯蔵庫という意味を掛け合わせて命名されたそうです。
12月1日、地元の報道機関にワイナリーの内部が公開されました。飛騨地方で初のワイナリーで、原材料のワイン用ブドウ栽培から醸造までを行うワイナリーは岐阜県内でも初となります。ブドウ畑は、久々野町北部の小坊(こぼう)地区の標高800メートルの冷涼な場所にあり、主に白ワイン用品種を栽培しています。ワイナリーは久々野町大西地区の乗鞍岳を望む約3ヘクタールの牧草地内にあり、圧搾と発酵を行なう工場と、樽を熟成するための貯蔵庫を整備しました。将来的には周りの牧草地もワイン用ブドウ畑に改植していく予定です。
飛騨高山での初の試み
「飛騨高山ワイン工房」の石上寛(いしがみひろし)さんと佳菜(かな)さんご夫妻は、3年前からワインぶどうの植栽を開始しました。
北海道出身の寛さんは大学卒業後、サラリーマンを経て、奥様の佳菜さんの出身地である高山市に10年前に移住しました。「地域で誰もやったことがないことに挑戦し、高山市で新しい産業を生み出したい」との思いから、ワイン作りに挑戦することに決めました。
酒処としても有名な飛騨高山には、酒蔵は市内に7軒もありますが、ワイナリーは1軒もありませんでした。ワイナリー設立には地元で収穫された原料で醸造することが必須であることから、ワイン用ブドウの栽培実績のない飛騨地方では誰も挑戦したことがありませんでした。しかし、温暖化による気候の変化で、飛騨地方でもワイン用ブドウの栽培が可能であると判断した石上夫妻は、耕作放棄地を再生してワイン用ブドウの栽培を始めました。県内初の試みのため、農作業と並行しながら、長野県や富山県のワイナリーでブドウ栽培やワイン醸造の勉強や、情報を収集しました。
そして、今年、初めて収穫したブドウを富山県の業者に委託して醸造し、この度、ワイナリーの建設が完成したことで、本格的な「飛騨産ワイン」の製造が始まりました。
地域住民と一緒に収穫したワイン用ブドウ約4トンと、シードル用に久々野産のリンゴ約2トンを仕込んで、醸造しています。ワイン、シードルともに来年の7月頃に、市内や県内の酒屋を中心に販売される予定です。また、食文化の豊かな飛騨高山にワインという新しい選択肢を加えてみたいという強い思いから、観光客に人気のある飛騨牛の料理に合う赤ワインをつくる計画もあるようです。
飛騨高山にワインツーリズムの新しい目的地が誕生しました。
久々野地域について
久々野地域は、高山市の南側、分水嶺の太平洋側に位置し、位山・船山の麓に広がる飛騨川、無数河川、八尺川の3つの河川沿いに集落が点在している地域です。堂之上遺跡、小屋名しょうけ、有道しゃくしなどの歴史遺産が継承されており、寒暖差のある気候からりんごや桃などの果樹栽培が盛んで、春先に樹園地に花が一斉に咲きそろう様から、別名「ひだ桃源郷」とも呼ばれる豊かな自然に恵まれた地域です。
【本件に関するお問い合わせ】
高山市役所久々野支所地域振興課
住所:〒509-3292
岐阜県高山市久々野町無数河580-1
電話:0577-52-3901
FAX:0577-52-2620
メール:kuguno.chiikishinkou@city.takayama.lg.jp
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