合成画像のみで世界1位──クーガーの白目認識AI、IEEE主催のAIコンペ「SSBC 2025」で最高精度を達成

クーガー株式会社(代表取締役 石井敦、東京都渋谷区)は、IEEE(米国電気電子学会)主催の国際会議「IJCB 2025」で開催されたSclera Segmentation Benchmarking Competition 2025の合成データ部門で世界1位を獲得しました。
本コンペティションは、プライバシー保護を重視したAI開発の促進を目的に、実在人物の画像を一切使用せずに、白目領域のセグメンテーション精度を競う国際競技です。
クーガーのシニアAIエンジニア Sabari Nathanは、独自に開発したセグメンテーションモデル「SwinDANet」を提出し、3つの評価データセットすべてで最高スコアを記録。合成データ部門での優勝を果たしました。
■ コンペの意義と背景
眼球による本人認証技術の分野では、認証精度を高めるために高品質な画像と正確なラベル情報が不可欠とされています。しかし、顔や目の画像は極めて機微な個人情報であるため、大規模に収集・共有することが困難という重大な課題を抱えています。
SSBC 2025は、このような背景のもと、「精度向上の必要性」と「プライバシー保護」の両立をめざし、以下の問いに挑む形で開催されました:
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実在人物の画像を一切使わずに、白目領域を高精度に分離できるか
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合成画像と自動生成された弱いラベルで、ラベリングコストとプライバシーリスクを抑えながら有効なモデルを学習できるか
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合成環境と現実環境のギャップを、アーキテクチャや学習戦略でいかに乗り越えるか
この課題に対して、クーガーが開発したSwinDANetは、外部情報に依存せず、モデル設計の工夫だけでドメインギャップを克服した唯一のアプローチとして高く評価され、合成データ部門での優勝につながりました。
■ SwinDANetの技術的特徴
SwinDANetは、精度・軽量性・汎用性を高次元で融合したハイブリッドAIモデルであり、以下の特徴を備えています:
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Swin Transformer V2ベースのエンコーダ
長距離依存関係を捉えるShifted Window Self-Attentionにより、白目のような微細な領域も高精度に認識。
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DenseNetベースのデコーダ
局所的な構造再現力に優れ、複雑な境界情報も高い再現性で復元。
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CSSE注意機構(Channel-Spatial Squeeze-and-Excitation)
空間的・チャネル的な重要度を動的に強調し、特徴マップの情報選別を最適化。
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適応型スキップ接続
空間解像度を保ったままエンコーダからデコーダへの情報伝達を実現し、輪郭のぼやけを抑制。

■ 合成画像のみの学習で世界1位
SwinDANetは、合成画像のみで学習されたにもかかわらず、すべての評価データセットで1位となる以下の高精度を記録しました:
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MOBIUS(実データ):F1スコア 0.824(1位)
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SynMOBIUS(合成データ):F1スコア 0.856(1位)
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SMD+SLD(実データ):F1スコア 0.725(1位)
この結果は、実データに一切頼ることなく、プライバシーを守りながら世界トップレベルの精度を実現可能であることを証明しています。
■ 今後の展望
クーガーは今回の成果を踏まえ、以下のような分野での応用を推進していきます:
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実画像を使わないプライバシー配慮型の生体認証AIの開発
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店舗業務、セキュリティ、公共分野への展開
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軽量かつ高精度な視覚AIモジュールのグローバル展開
また、今回の成果はIEEE IJCB 2025に提出される公式論文において、共著者として掲載される予定です。

IEEEについて
IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)は、アメリカ合衆国に本部を持つ、世界最大の学術研究団体です。対象となる範囲はコンピュータや持続可能なエネルギーシステム、航空宇宙、コミュニケーション、ロボット工学、ヘルスケア等多岐に渡り、世界160ヵ国以上に42万人を超える会員によって構成されています。
会社概要
クーガー株式会社
所在地:東京都渋谷区神宮前6-19-16 越一ビル201
代表者:代表取締役CEO 石井 敦
設立年月日:2006年12月
ウェブサイト:https://couger.co.jp/
クーガーは、人型AIプラットフォーム「LUDENS」を開発・展開しています。そこから生まれたAIキャラクター「レイチェル」は、現実世界をゲームのようにつなげるナビゲーター。現在、全国約7,000店舗のファミリーマートに導入され、店長の業務を支援しています。私たちは、あらゆる業界・職種で働く人々に寄り添い、一人ひとりの成長を加速させるAIを提供していきます。
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