量子コンピュータ「黎明」をアップグレード、量子HPC連携プラットフォームを強化

スーパーコンピュータ「富岳」と「黎明」による量子HPC連携プラットフォームのさらなる強化により、創薬や材料化学分野における量子計算精度の向上と研究開発を促進

クオンティニュアム

量子コンピューティング業界のリーディング企業であるQuantinuum(本社:米国コロラド州、CEO:Rajeeb Hazra、以下「クオンティニュアム」)は、本日、国立研究開発法人理化学研究所(以下、理化学研究所)と、和光キャンパスにて運用中のクオンティニュアムの量子コンピュータ「黎明(れいめい)(*1)」を「System Model H2(以下H2)」にアップグレードすることに合意した旨を発表しました。クオンティニュアムは今月よりH2の導入を開始します。本アップグレードにより、前世代機と比較して量子コンピュータとしての性能をさらに引き出し、量子HPC連携プラットフォームをより大規模かつ高度な計算を行える環境へ進化させることで、複数分野における研究活動のさらなる活発化と新たな科学的成果および産業応用の実現につながることが期待されます。

2025年2月に稼働開始したイオントラップ型量子コンピュータ「黎明」は、量子コンピュータとして安定した運用を継続しています。さらに同年春より、理化学研究所が運用するスーパーコンピュータ「富岳」と連携した量子HPC連携プラットフォームの構築、運用も進められています。

今回のアップグレードは、本連携プラットフォームのさらなる性能強化により、業界をリードする量子HPC連携プラットフォームへと進化させるものです。

従来のスーパーコンピュータ単独では計算上の制約がある特定分野の課題に取り組むため、量子HPC連携プラットフォームの構築は現実的なアプローチとしてますます注目されています。両者の特性を活かした研究が進められ、シミュレーション研究やアルゴリズム検証などの成果が創出されています。

「黎明」と「富岳」それぞれの性能を最大限活用した研究成果の具体例として、生体分子内部における化学反応シミュレーションがあげられます。HPC単独での高精度計算が困難な活性部位における電子相関の処理を「黎明」が実行しました(*2)。これは創薬や酵素工学、光活性生物系といった分野への応用の基盤となるものであり、また、単なるハードウェアの接続ではなく、実用的なハイブリッドコンピューティングを実現する大きな一歩となるものです。量子化学の分野を中心に、「黎明」を使用した研究は複数進行中であり、今後も成果の発表が期待されます。

クオンティニュアムのH2システムは、56量子ビットのイオントラップ型量子コンピュータであり、クオンティニュアムの量子システムの特長である高忠実度ゲート、全結合性アーキテクチャを備えています。HPCとの統合環境において、より大規模かつ高精度な量子計算が可能となります。例えば上述のような化学計算領域では、一般に40~50量子ビット相当以上の系になるとHPC単独での厳密計算が困難になります。とりわけ化学反応はその代表的なものであり、対象分子系と手法をうまく選ぶことで量子優位性を狙うことができます。H2へのアップグレードにより、今後、実用的かつ高付加価値なアプリケーション開発の拡大、量子コンピュータが得意な計算を必要とする研究開発の加速につながると考えられます。

本アップグレードは、日本における量子HPC連携プラットフォームの推進に向け、クオンティニュアムと理化学研究所の連携が着実に進展していることを示すとともに、量子研究インフラの発展に貢献するためのクオンティニュアムの長期的な取り組みを明確に示すものです。クオンティニュアムは今後も、日本の研究機関や産業界との連携を通し、さらなる研究開発やユースケース開発を進め、量子コンピューティングエコシステムの醸成に取り組んでまいります。

理化学研究所 計算科学研究センター 量子HPC連携プラットフォーム部門 部門長 佐藤三久博士によるコメント

これまで「黎明」H1は、その高い充実性や柔軟な量子ビットの接続性により、多くのユーザーに利用され成果を上げてきました。56量子ビットのH2へのアップグレードはまさに我々が待ち望んでいたものであり、JHPC-quantumプロジェクトが目指している量子HPCハイブリッド計算による量子優位性の実証に貢献するものと期待しています。

クオンティニュアムPresident/ CEO Rajeeb Hazraによるコメント

理化学研究所が、その先進的な目標の達成に向けてQuantinuumのシステムを継続採用するというご判断は、当社の技術ロードマップの妥当性を示すとともに、両社のパートナーシップの成果を体現するものと考えています。
また、量子コンピューティングとHPCの各分野においてリーダーシップを有するクオンティニュアムと理研が連携することで、科学および産業界が直面する重要かつ複雑な課題の解決に向け、計算の可能性をさらに切り拓いていくことを期待しています。

注釈

(*1)量子コンピュータ「黎明」の設置は、経済産業省傘下のNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が委託したプロジェクトの一環で実施されました。

(*2)関連論文:https://arxiv.org/pdf/2601.15677 

弊社ブログ:https://www.quantinuum.com/blog/hybrid-quantum-hpc-computing-with-trapped-ions-is-here

■理化学研究所について

国立研究開発法人理化学研究所(理研)は、最先端の科学技術をリードする我が国の自然科学の総合研究所として、物理学、工学、化学、数理・情報科学、計算科学、生物学、医科学などに及ぶ広い分野で研究を進めています。1917年に財団法人として創設された理研は、その規模と研究領域を拡大し、現在では日本各地に世界トップクラスの研究センターや共同研究のネットワークを擁しています。

詳しくは理化学研究所のウェブページをご覧ください:https://www.riken.jp/

■クオンティニュアム(Quantinuum)について

クオンティニュアムは量子コンピューティング分野のリーディングカンパニーであり、量子コンピューティングを実社会へ導入できるよう設計されたフルスタックのプラットフォームを提供しています。定評のあるQCCDアーキテクチャを基盤とした量子システムを複数世代にわたり商用展開しており、独自の設計と機能を実装することで、2量子ビットゲート忠実度に基づく業界最高レベルの精度* を実現しています。また、製薬、材料科学、金融サービス、政府および産業界における各分野のリーダー企業と積極的に連携しています。

クオンティニュアムは、科学者や研究者を含む約700名の従業員を世界中に擁しており、技術チームの70%以上が博士号を取得しています。本社は米国コロラド州ブルームフィールドにあり、英国、ドイツ、日本、シンガポールにも拠点を展開しています。 

詳しくはクオンティニュアムのウェブページをご覧ください:https://www.quantinuum.com/

*2025年12月31日現在

■参考

2024年1月11日発表のプレスリリース

日本語:理化学研究所、量子コンピュータとスパコンを連携利用するための大規模なプラットフォーム研究開発プロジェクトに、クオンティニュアムの量子コンピュータ・システムモデルH1を採用

英語:RIKEN Selects Quantinuum System Model H1 for Large-Scale Hybrid Quantum–Supercomputing Platform in Japan

2025年2月11日発表のプレスリリース

日本語:量子コンピュータ「黎明」が理化学研究所で本格稼働、量子ハイブリッド高性能コンピューティング新時代を切り拓く

 英語:Quantinuum’s “Reimei” Quantum Computer Now Fully Operational at RIKEN, Ushering in a New Era of Hybrid Quantum High-Performance Computing

■お問い合わせ

クオンティニュアム株式会社 広報マーケティング担当 

 E-mail :japan.marketing@quantinuum.com

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会社概要

クオンティニュアム株式会社

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URL
https://quantinuum.co.jp/
業種
情報通信
本社所在地
東京都千代田区大手町1丁目9番2号 大手町フィナンシャルシティグランキューブ3階
電話番号
-
代表者名
結解 秀哉
上場
未上場
資本金
-
設立
2019年01月