推し活はなぜ心を癒す?“推し広告”の心理的効果を九州大学名誉教授が解説

「推し活が、自分の人生を豊かにする」。そう語るのは、臨床心理士・公認心理師である増田健太郎九州大学名誉教授。近年、若年層を中心に広まる“推し活”や“推し広告”の心理的背景に迫ります。

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■ 推し活は、自己実現の代理体験

増田健太郎九州大学名誉教授

——増田先生、まず“推し活”の心理的意義について教えていただけますか?

増田名誉教授:
「人は誰しも“何者かになりたい”という欲求を持っています。心理学者マズローは、人間の欲求には5段階の階層があると提唱しましたが、“推し活”はそのうち高次の欲求(承認・自己実現)に深く関係しています。

昔はBeatles等の音楽グループや山口百恵や松田聖子、近藤真彦に代表されるアイドルのファンになり、レコードやCDを買ったり、ファンクラブに入ったりしていました。今も同じような形態は残っていますが、推し広告*は、令和の新しいファンの活動の在り方だと思います。


推しの活躍を応援し、成長を見守ることは、自分自身の夢や願いの“代理的な達成”にもなります。そして、その応援の形が“推し広告”です。広告を通じて多くの人から共感や称賛を得られると、『自分の存在も社会に認められている』という深い満足感が得られるのです。」

*推し広告とは、ファンが推しを応援するために行う広告のことです。

■ なぜ、推しを応援したくなるのか?

——そもそも、人はなぜ誰かを“推したくなる”のでしょうか?

増田名誉教授:
「これは“投影”という心の働きです。人は無意識のうちに、自分が理想とする姿や持っていない能力を、誰かの中に映し出します。推しは、そうした理想の結晶のような存在です。自分の中の“こうなりたい”を象徴しているので、自然と気持ちが高まっていくのです。


そしてその気持ちを、推し広告という具体的な形にすることで、より強く、深く、自分の感情を味わうことができます。」

■ 推し広告は、安心して“承認”を得られる場

——SNSでは心が傷つくことも多い現代ですが、推し広告は安全な自己表現の手段だと聞きました。

増田名誉教授:
「そうですね。推し広告は、公共の場——たとえば渋谷や銀座、さらには海外の街頭ビジョンなどに掲出されますが、それを見るのは“興味のある人”がほとんど。つまり、ネガティブな反応を受けにくいのが特徴です。


SNSのように傷つくリスクが少ない中で、“いいね”や称賛の声を受け取ることができる。これは、現代における非常に貴重な安心して承認欲求を満たされる体験です。」

■ 仲間意識と競争意識がもたらす成長

——推し広告を通じて、人とのつながりも生まれるのでしょうか?

増田名誉教授:
「まさにその通りです。同じ“推し”を応援する仲間との出会いは、共通の話題による一体感を生みます。これは従来の職場や学校では得られにくい“非日常の連帯感”です。アイドルだけでなく、同じ野球チームを応援する人たちは、同じ人や同じチームを応援しているという連帯感を持っています。


一方で、『もっと素敵な広告を作りたい』『自分も挑戦したい』という競争意識も芽生えます。これが想像力や創造性を刺激し、自分自身の表現力を高めるきっかけにもなるのです。」

■ 推し活は、現代人のストレスケアでもある

——日々の生活に追われる中で、推し活はどう作用するのでしょうか?

増田名誉教授:
「現代は多忙で、自分の夢をあきらめがちな時代とも言えます。そんな中、推しの存在が“希望”になり、その応援活動がストレスコーピング(ストレス対処法)になります。


推しが認められると、自分も社会に認められた気持ちになる。推し広告が成功すると、自分の努力が報われたように感じ、生きがいやモチベーションの向上につながるのです。」

■ 最後に——健全な推し活のために

——推し活が生活に悪影響を与えないために、注意点はありますか?

増田名誉教授:
「一番大切なのは、自分の経済力に見合った範囲で楽しむことです。つい夢中になってしまいがちですが、無理のない範囲で、長く楽しく続けられる推し活が理想です。」

■ センイルJAPAN編集後記|“推し”がいるから、私は頑張れる。

推し活は、単なる趣味ではなく、現代人の心を支える新しい“文化”です。
そして推し広告は、その文化を「社会に可視化」し、ファンの想いをより多くの人に届けるための手段。


センイルJAPANでは、今後も心理学の専門家と連携しながら、“推し活”がもたらす心の豊かさを広く社会に伝えていきます。

◾️九州大学名誉教授・増田健太郎先生について

増田健太郎九州大学名誉教授

増田健太郎九州大学名誉教授。
臨床心理士・公認心理師。専門は臨床心理学、教育経営学。博士(教育学)。

大学での教育・研究活動のほか、自治体や教育機関、企業のアドバイザーも務め、幅広い分野でメンタルヘルスの支援に携わる。

ストレスマネジメント モチベーションアップなどの研修会や講演会 不妊カウンセラー養成研修など 企業 教育機関などを対象に行っている。

【お問い合わせ先】
センイルJAPAN広報部
Email:biz@birthdayadjp.com
Web:https://birthdayadjp.shop/

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会社概要

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URL
http://iw-inc.jp/
業種
情報通信
本社所在地
福岡県福岡市博多区祇園町8-17 ヴォーヌンク祇園1001
電話番号
092-292-2350
代表者名
増田 雅人
上場
未上場
資本金
250万円
設立
2018年04月