全国3,000名の意識調査を発表。持続可能性に貢献する組織は?市民に選ばれるための信頼性の要素が明らかに。NPOの信頼性に関する意識調査
~日本初の全国規模、分野共通の非営利専門の第三者審査機関が政府・企業・メディアとの比較を実施~
日本初の全国規模で非営利組織の組織評価を行う第三者審査機関、公益財団法⼈ 日本⾮営利組織評価センター(所在地:東京都港区、理事長:佐藤大吾、以下JCNE)は、全国3,000名を対象とした「NPOの信頼性についての意識調査」を2024年3月29日(金)に発表しました。調査サマリー及び第1弾の詳細を公開いたします。
■多様化する社会課題解決のアクターと高まる組織の信頼性獲得
NPO法施行から25年を迎え、社会課題解決の担い手はNPOに限らず幅広い領域へ拡大し、NPO法人自体も他セクターとの連携が活発化しています。一方で、あらゆる組織において情報の透明性が求められる昨今において、支援者が適切かつ信用できるNPOを判断する必要性も年々高まっています。このような状況を受け、日本で初めて全国規模・分野共通の非営利組織の評価機関であるJCNEは、NPOに対する市民からの信頼性の実態、信頼を獲得する方法、信頼意識と寄付意向の関係性等を明らかにすることを目的にインターネット調査を実施いたしました。
【調査サマリー】
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「持続可能性」「コンプラ遵守」「総合的な信頼度」1位は民間企業。
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「信頼していない」最多得票の組織は政府。企業と約4倍の差。
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「倫理観」や災害・紛争などの緊急課題において、最も評価が高いのはNPO
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87.9%が「信頼できるNPOなし」。セクター全体の信頼度が高い一方、認知や財政的な透明性で課題。
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「団体規模・実績」よりも「情報公開・情報アクセス」信頼できる要素
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寄付先の分野ワースト3は「人権・平和」「教育・研究」「地域安全」
国内外における様々な社会課題だけではなく、近年は企業や政治を取り巻く社会問題への注目度も高まっています。そこで「NPO」「民間企業」「政府」「マスメディア」の4つのセクターに関して「総合的な信頼度」「コンプライアンスの遵守」「社会の持続可能性への貢献度」など、市民からの信頼性の実態を調査しました。加えて、NPOがより信頼される組織になるために重要な課題も示唆されました。
1. 信頼できる組織1位は民間企業。「信頼していない」では、政府と約4倍の差に
各組織を信頼しているかという問いに対し、24.5%が信頼できる組織として「民間企業」と回答し、最も信頼できる組織として選ばれました。「NPO」は20.2%と民間企業に次いで信頼度が高く、さらに「政府」は13.2%、「マスメディア」は12.4%となり、NPOは政府やマスメディアよりも信頼度は高い結果となりました。「信頼していない」の選択肢では、民間企業は7.2%、政府は28.2%であり企業と政府間で約4倍の差に。続く「コンプライアンス(法令や社会的ルールを守ること)の遵守」に関する設問と同様に、政府が最も低い数値(11.7%)となった背景には、近年の政治資金パーティー収入の裏金問題などが要因として推測されます。
2. 持続可能性への貢献は、民間企業が1位。非営利分野の課題は
SDGsの目標とされている2030年まで残すところ5年弱となり各セクターのSDGsの取り組みも活発化する中、社会の持続可能性へ貢献している組織として「民間企業」と回答した人が30%で最多の結果となりました。次いで「NPO」は22.9%、「政府」は18.6%、「マスメディア」は15.5%という結果に。民間企業とNPOの差は7.1%で、総合的な信頼度・コンプライアンス遵守に関する信頼度それぞれと比較しても差が最も大きい結果となり、NPOの持続可能性が課題視されていることが分かりました。
3. NPOなど非営利分野が評価された分野
一方で、2023年には自然災害やガザ紛争など国内外では対応すべきさまざまな問題がありました。こうした問題について各組織の対応が効果的だったかどうかの評価に関しては、21%の人が「NPOを評価している」と回答。最も評価されていることが明らかになりました。次いで民間企業は17.8%、政府16%、マスメディア14.2%でした。
組織に対する総合的な信頼度やコンプライアンスの遵守、持続可能性への貢献については民間企業が最も信頼されているのに対して、国内外の深刻な危機や問題、喫緊の課題に関してはNPOの活動が見直されているといえます。
4. 倫理観に関して最も信頼される一方で、財政面の透明性が課題のNPO
さらに「各組織が倫理観(守るべき是非善悪の判断や判断基準についての考え方)があると思うか」という問いに対しては、NPOと回答した人は最多の24.3%でした。NPOの倫理観についての信頼度が高い一方で、「財政面に透明性があると思うか」という問いについては信頼度が14%と、倫理観と比較して10.3ポイントマイナス。民間企業はNPOよりも高く(17.1%)、3割以上が政府を「そう思わない」と回答している中、今後NPOがより市民から信頼を獲得していくためにも財政面の透明性は重要なポイントといえます。
5. 約9割が「信頼できるNPOなし」。認知に課題
組織としてのNPO全体の信頼度をみてきましたが実際に信頼できる具体的なNPOがあるかどうかを調査したところ、「信頼できるNPOがある」と回答した人は12.1%と、87.9%は信頼できるNPOがないと考えていることがわかりました。
20.2%がNPOを信頼できると回答していたにも関わらず、具体的に信頼できるNPOがある人は約1割であり「全体的な組織へのイメージ」と「具体的に信頼できる団体の認知」にはギャップがあると考えられます。
NPOには公益法人(社団・財団)や一般法人(非営利型の社団・財団)など様々な団体形式がありますが、これらも含めて組織としてNPOを信頼できると回答した人は32.2%であったことからも認知ギャップは大きいと考えられます。
6. 寄付をしていない人のうち 10人に1人は「信頼できるNPOがない」
全体のうち77.7%は寄付(ふるさと納税を除く)をしていないと回答しましたが、寄付をしていない理由として10.6%は「信頼できるNPOがない、不信感があるから」と答えました。11.1%は「寄付を行いたいが、十分な情報がないから」と回答し、情報不足と感じている人とNPOに不信感がある人の割合は同程度でした。16.6%は「寄付をした後の効果が見えにくいから」を理由に挙げており、情報の透明性と関連があると考えられます。
【NPOが市民から信頼を獲得するためのヒント】
前半ではNPO業界の信頼度の重要性や課題が浮き彫りになりました。次に、NPOが今後市民からの信頼を獲得していくためにはどういった要素が必要になるのかを明らかにしていきます。
7. 知名度・団体規模よりも情報公開が信頼される要素であることが判明。
信頼できるNPOに必要な要素と考えられている項目を調査。56.1%が「情報(活動内容や成果、決算報告)が公開されていること」、55.4%が「問合せ窓口があること」と回答。「実績(助成財団からの助成実績や受賞経験等)があること」を重視する人は43.3%であり、実績よりも情報公開やアクセスしやすい団体かどうかが重要であることがわかりました。
さらに、「団体の知名度」は39.2%、「団体の規模(財政規模・所属人数)が大きいこと」は28.3%であり、どちらも低い結果に。「ミッションやビジョンに共感できること」47.8%、「行政機関の認証を受けていること」43.1%であったことから、団体の知名度や規模よりもその団体への共感度や第三者からの認証を受けていることのほうが重視されることも明らかとなりました。
8. NPOが公開している情報 市民の参考度合いの実態
「関わっているNPO・応援したいNPOについて、団体のホームページや活動報告書等を見たことがあるか」について、「ホームページ」は14.2%が見たことがあり最多でした。次いで10.2%が「活動報告書」、6.5%が「決算書」、6.0%が「役員名簿」、4.8%が「定款」と回答。すべて約6割が「見たことがない」と回答しており、情報公開が信頼を得るための重要な要素であることから、情報の透明性と同時にホームページ等へのアクセスが広がることで信頼度向上に繋がると考えられます。
後日配信する、調査リリースの第2弾では「NPOに関する情報源」「NPOを選ぶ際の重視ポイント」「市民による寄付の最新動向」などを発表予定です。
調査報告書の詳細については、下記URLよりご覧ください。
【調査概要】
調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
対象者条件:男女18~79歳
サンプルサイズ:3000
質問数:29問
世界28カ国、約3万2000人を対象に実施した信頼に関する調査を参照し、「政府」「民間企業」「NPO」「マスメディア」の4つのセクターについて質問した。
調査協力:株式会社インテージリサーチ
助成:(公財)日本財団
◇◆◇◆◇◆◇公益財団法人 日本非営利組織評価センター(JCNE)について◇◆◇◆◇◆◇
団体名:公益財団法人 日本非営利組織評価センター
理事長:佐藤 大吾
所在地:〒105₋0001 東京都港区虎ノ門1丁目11-2 日本財団第二ビル3階
設立:2016年4月1日
電話番号:03₋6457₋9721(平日9時30分~17時30分)
事業内容:評価・認証事業の実施・公開、評価・認証制度に携わる人材育成ほか
〈JCNEの評価制度及び本件調査に関するお問い合わせ〉
公益財団法人 日本非営利組織評価センター 瀬上・猪俣
E₋mail:office@jcne.or.jp
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