ロールス・ロイス・ファントム100周年:一世紀にわたる輝きと威光の象徴
2025年5月2日、グッドウッド、ウエスト・サセックス

•ファントム(Phantom)の構想から100年、ロールス・ロイスはその世界的な威光を振り返る
•ファントムは究極のロールス・ロイスであり、世界最高峰のラグジュアリー製品
•文化的アイコンたちに愛されてきたファントムは、時代を映し出すと同時に、その在り方を形成
•歴史を決定づける瞬間において、偉業の舞台となりインスピレーションを与えてきたファントム
•精緻で極めて個性的なビスポークによるファントムの長い歴史
•現役のロールス・ロイスのデザイナーたちがファントム100周年を記念する8つのアートワークを制作
「ファントムは、単なる自動車ではありません。100年にわたり、ロールス・ロイスの頂点に立ち続け、世界を映し出し、影響を与えてきた文化的現象です。ブランド初期より、ロールス・ロイスの最高峰モデルとして位置づけられてきたファントムは、成功の証として広く渇望され、世界の舞台において権力と威厳の象徴であり続けてきました。そのステータスを超えて、ファントムは常にオーナーの個性を表現するキャンバスであり、ビスポークのクラフツマンシップによって、しばしば動く芸術作品へと昇華されてきました。音楽、政治、美術など、あらゆる文化領域において、ファントムは歴史の決定的な瞬間に立ち会ってきました。このモデルが紡いできた魅力あふれるストーリーの数々、それに着想を得てデザイナーたちがつくり出したアートワークのひとつひとつが、ファントムの並外れた威光と、偉業とのゆるぎないつながりを物語っています。」
ロールス・ロイス・モーター・カーズ 最高経営責任者 クリス・ブラウンリッジ
ファントムは、ラグジュアリーの世界において比類なき地位を確立しています。1925年の誕生以来、ファントムは成功の象徴として認識され、8世代にわたり、王侯貴族、指導者、芸術家、産業界の重鎮たちを乗せ、近代史に刻まれる数々の重要な場面に立ち会ってきました。時代を超えたエレガンスにより、ファントムは、影響力、洗練された美意識、そして個性を表現する究極の存在となってきました。
ファントムの100周年を記念して、ロールス・ロイスのデザイナーたちは、その文化的遺産を称える新たなアートワークを制作しました。その着想の元となったのは、1910年に「スピリット・オブ・エクスタシー」の生みの親であるアーティスト、チャールズ・サイクスに依頼された油彩画です。お客様たちのライフスタイルを反映した風景の中にファントムを描いた彼の作品に倣い、今回のアートワークもまた、この100年の間にファントムが歩んできた多彩な人生と世界を映し出しています。








ファントムが100年の節目を迎える今、ロールス・ロイスはその栄光の軌跡を振り返り、ファントムが登場する数々の魅力的な物語と、それを形づくった人々に想いを馳せます。
威厳の象徴としてのファントム
第二次世界大戦における偉大な指揮官の一人、バーナード・ロー・モントゴメリー元帥は、その質素な生活様式から「スパルタ将軍」の異名で知られていました。そんな彼が唯一快適さを求めたのが、自らの移動手段でした。モントゴメリー元帥(通称「モンティ」)は、イメージと象徴の力を深く理解しており、2台のファントムIIIを駆使して「不変」「堅牢」「信頼」を示すことで、最も苦しい局面においても、自らが部隊と共にあり続けるという明確なメッセージを表現しました。

1944年6月のノルマンディー上陸作戦(D-デイ)前夜、彼のファントムの1台が、ウィンストン・チャーチル首相、アイゼンハワー将軍、さらにはジョージ6世まで、英国ハンプシャーの連合国遠征軍最高司令部(SHAEF)での作戦会議へと送り届けました。戦後も、彼はもう1台のファントムを用いて、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの首相たちを送迎しました。
ロイヤル・スタンダード
モントゴメリー元帥のファントムが現代史を形作る数々の出来事に立ち会った一方で、王室の御用車として誇り高く仕えたファントムもあります。なかでも特筆すべきは、ロールス・ロイスの本拠地である英国王室との深い関わりです。
1948年、エディンバラ公爵は、エリザベス王女殿下との結婚直後、夫婦での使用を目的としてロールス・ロイスに一台のファントムの製作を依頼しました。「ナーバーのマハラジャ(Maharajah of Nabha)」というコードネームのもとに製作されたこの車が初のファントムIVとして誕生し、今日まで同じ名称で使用されています。この一台は、ロールス・ロイスと英国王室の長年にわたる関係の重要な節目のひとつを示すものです。

英国王室は、その後さらに国王陛下の移動手段として、ファントムIV、2台のファントムV、そして2台のファントムVIをロールス・ロイスに依頼しました。なかでも、1977年にエリザベス2世陛下の即位25周年(シルバー・ジュビリー)を祝して、英国の自動車業界から贈られた「シルバー・ジュビリー ・ファントムVI (Silver Jubilee Phantom VI)」は、最も長く仕えた車両のひとつとして知られています。この車は、2011年、ケンブリッジ公爵夫妻の結婚式において、花嫁がウェストミンスター寺院へ到着する際に使用されました。

大陸を超えた地で、もう一台のファントムVは、ある国家の誕生に重要な役割を果たしました。1966年、アラブ首長国連邦の建国の父と称されるザーイド・ビン・スルターン・アール・ナヒヤーン閣下に納車されたこのファントムVは、彼のアブダビ首長への就任式に参列しました。そして1971年には、アラブ首長国連邦の公式設立式にて、初代駐アラブ首長国連邦英国大使であるジェームズ・トレッドウェル大使を式典会場へと送り届けました。
ファントムはまた、世界各国で活躍する英国外交官たちにとっても、ソフトパワーを象徴する外交ツールとして積極的に採用され、東京、ワシントン、ニューデリーといった英国から遠く離れた地でも、信頼の象徴としてその役割を果たしました。元パリ駐在英国大使を務めたジョン・フレットウェル卿は、かつてタイムズ紙に次のように語っています。「エリゼ宮訪問の際、私のロールス・ロイスは大いに役立ちました。門に立つ警備員にも英国大使であることに気が付いてもらえるはずですから」
世界の舞台を渡り歩くときも、母国で静かにオーナーに仕えているときも、ファントムは常に堂々たる存在であり続けています。1959年に登場したファントムVは、全長5.8メートル(約19フィート)にも及びますが、正式な記録は残っていないものの、一部の歴史学者によると「英国の駐車メーターの間隔は、この車の寸法に合わせて見直された」ともされています。
ジョン・レノン登場 ― ビートルズのファントム
すべてのファントムVが王室や外交儀式のためにつくられたわけではありません。1964年12月、ジョン・レノンは、ビートルズのアルバム『ア・ハード・デイズ・ナイト(A Hard Day’s Night)』の成功を祝して、自身のファントムVを依頼しました。内外装をすべてブラックに、という注文で(ただし、パンテオン・グリルとスピリット・オブ・エクスタシーだけはロールス・ロイスの強いこだわりにより、従来のブライト仕上げが維持されました)、レノンのファントムは、英国で初めてブラックのスモーク仕様のガラス・ウィンドウが採用された車のひとつです。1965年にローリング・ストーン誌でレノンはこう語っています。「日中に家に帰る時でも、車内はまだ真っ暗だ。窓を全て閉めれば、まだクラブの中にいる感じさ」
しかし、これがこのファントムの最も有名な姿ではありません。1967年、『サージェント・ペッパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band)』のリリースを前に、レノンのファントムは鮮やかな黄色に塗り替えられ、渦を巻く花のモチーフや星座のシンボルで彩られ、同年に起こったムーブメント「サマー・オブ・ラブ」の芸術的なマニフェストとなったのです。レノンは後年、激怒したイギリス人女性から「ロールス・ロイスにこんな事をするなんて!」と傘で攻撃されたと語っていますが、この出来事はこのファントムの伝説をさらに高めることになりました。

ハリウッドを超えて ― ファントム、主役の座へ
ハリウッドもまた、ファントムを熱狂的に受け入れました。映画の先駆者のひとりであるワーナー・ブラザースの共同創設者、ジャック・ワーナーは、自分へのご褒美としてファントムを手に入れました。さらに、フレッド・アステア、グレタ・ガルボ、メアリー・ピックフォードといった伝説的な銀幕スターたちも、ファントムの初期オーナーとして名を連ねています。1964年には、ファントムは映画『ゴールドフィンガー(Goldfinger)』に登場し、スクリーン上でもその存在感を示しました。劇中、敵役がファントムIIIを使って金塊を密輸するシーンが描かれ、長年続く『ジェームズ・ボンド(James Bond)』シリーズにおける通算12回のロールス・ロイスの登場のひとつとなりました。ロールス・ロイスは2024年、この映画の60周年を記念して、ワンオフのビスポーク・ファントムVIIIを「ファントム・ゴールドフィンガー(Phantom Goldfinger)」として発表しました。オリジナルのブラック&イエローのコーチワークを忠実に再現し、映画に着想を得た革新的なディテールを盛り込んだ特別な一台です。

同じく1964年には、映画『イエロー・ロールス・ロイス(The Yellow Rolls-Royce)』も公開され、レックス・ハリソン、イングリッド・バーグマン、シャーリー・マクレーン、オマー・シャリフ、ジョージ・C・スコット、アラン・ドロン、ジャンヌ・モローといった豪華キャストとともに、1931年製のファントムIIがスクリーンに登場しました。主題歌『明日を忘れて(Forget Domani)』はゴールデングローブ賞を受賞し、後にペリー・コモやフランク・シナトラによってカバーされました。シナトラ自身もまた、後にロールス・ロイスのオーナーの一人となっています。
キング・オブ・ロックンロールの愛車 ─ エルヴィスのファントム
世界的な名声を誇る他の文化的アイコンたちもまた、ファントムに魅了されてきました。その筆頭ともいえる存在が、「キング・オブ・ロックンロール」ことエルヴィス・プレスリーです。彼は1963年にファントムVを購入しました。この特別な一台には、ビスポーク仕様のマイクや、後部座席のアームレストに組み込まれた執筆スペースが備えられていました。購入当初は「ミッドナイト・ブルー」の鏡面仕上げが施されていましたが、母親が飼っていたニワトリたちが鏡面に映る自分の姿をつついたことで塗装が傷んでしまい、後に傷の目立たないシルバー・ブルーへと塗り替えられています。1968年、エルヴィスはこの愛車をチャリティのために寄贈しました。これを受けて、レナード・コーエンおよびWas (Not Was)による楽曲『エルヴィスのロールス・ロイス(Elvis’s Rollls-Royce)』が生み出されました。
新たなる成功の時代へ
2000年代初頭に登場したファントムVIIは、自らの手で成功を掴む起業家の台頭、グローバルなセレブリティ文化、そしてソーシャルメディアの幕開けと時を同じくして誕生しました。彼らは、これまでのラグジュアリーの概念にとらわれず、単なる成功ではなく、自らの個性を表現したいと望んでおり、ファントムは、まさにその理想的なキャンバスを提供したのです。

やがて、こうした新しい分野で成功を収めた多くの人々がファントムに投資し、自らのオーナー体験をテレビやFacebook、Instagram、YouTubeといったプラットフォームを通じて、世界に共有するようになりました。

ファントムの存在感が高まるにつれ、授賞式やガライベントといった場にも欠かせない存在となっていきました。オーナーたちはエフォートレスで優雅に、そして堂々とファントムからレッドカーペットへ降り立つようになりました。2012年、ロンドンオリンピックの閉会式では、3台のファントム・ドロップヘッド・クーペがサプライズ登場を果たし、この記念すべき場面を華やかに彩りました。こうしたすべての瞬間は、数百万もの視聴者にリアルタイムで配信され、ファントム自身がソーシャルメディア上のスターとなったのです。
今日のファントム
現在、第8世代を迎えたファントムは、依然として存在感と目的意識の究極の表現であり続けています。サーチ・ギャラリーやサーペンタイン・ギャラリーといった文化的な施設で展示、エルメスやイリス・ヴァン・ヘルペンといったブランドとのコラボレーションのキャンバスとしても機能し、ファントムは今日もなお、世界を映し出し、そして形づくり続けています。新たに登場する、より精緻を極めたビスポーク・コミッションは、この比類なき物語にさらなる一章を加えていきます。それは、力強さ、文化、影響力、そして個性の表現に満ちた物語なのです。

以上
ロールス・ロイス・モーター・カーズ
ロールス・ロイス・モーター・カーズは、真のラグジュアリー自動車のメーカーであり、 世界で最も高い評価と敬愛を受ける、手作業による魅力的なビスポーク製品を世界中のお客様のために製造しています。
英国ウエスト・サセックス州グッドウッドにあるホーム・オブ・ロールス・ロイスには、2,500名以上の従業員が勤務しています。ホーム・オブ・ロールス・ロイスには、グローバル本社のほか、センター・オブ・ラグジュアリー・マニュファクチャリング・エクセレンスが設置され、世界で唯一、ロールス・ロイスの自動車のデザイン、開発、手作業による緻密な製作が行われています。London School of Economics & Political Scienceの独自調査によると、2003年にグッドウッドでの生産を開始して以来、ロールス・ロイスは英国経済に40億ポンド以上を貢献し、毎年5億ポンド以上の経済価値を生み出していることが確認されています。
ロールス・ロイス・モーター・カーズはBMWグループの完全子会社であり、航空機用エンジンや推進システムを製造するROLLS-ROYCE PLC(ロールス・ロイス・ピーエルシー)とは完全に別会社で、関連はありません。
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