第21回亀倉雄策賞受賞記念 色部義昭展「目印と矢印」4/4木-5/21火
第21回亀倉雄策賞は、色部義昭氏の、地下鉄のCI計画「Osaka Metro」に決定。
1997年に急逝したグラフィックデザイナー亀倉雄策の生前の業績をたたえ、グラフィックデザイン界の発展に寄与することを目的として、1999年、亀倉雄策賞が設立されました。この賞の運営と選考は公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)が行い、毎年、年鑑『Graphic Design in Japan』出品作品の中から、最も優れた作品とその制作者に対して贈られます。
第21回は、色部義昭氏の、地下鉄のCI計画「Osaka Metro」に決定しました。色部氏は、日本デザインセンター入社後、原デザイン研究所の勤務を経て、2011年より色部デザイン研究所を開設。DIC川村記念美術館や市原湖畔美術館、国立公園や須賀川市民交流センター tetteといった、美術館や公共施設のブランディング、サイン計画をはじめ、「naturaglacé」や「Liquitex」などのパッケージデザイン、「TAKEO PAPER SHOW 2011−本」や「富山県美術館の目印と矢印」の会場構成など、グラフィックデザインをベースに、平面、立体、空間を横断し、幅広くデザインを展開してきました。必要なものは何か、使用される条件や背景を的確に判断し、心地よく印象的なデザインで、社会とデザインの接点を考える数々のプロジェクトを手がけています。
今回の受賞作品は、公営から民営の地下鉄として開業した「Osaka Metro」のCI計画。Metroの「M」の中にOsakaの「O」を内包した、立体的で螺旋状に動きのあるシンボルを中心に、エネルギッシュな大阪の町や走り続ける活力を表現したこの計画は、「プライベートな作品、表現が多い中、公共性の高い仕事」、「堂々たるデザインであり、亀倉雄策賞に相応しい」と高く評価されました。
この受賞を記念して個展を開催いたします。
■展覧会概要
第21回亀倉雄策賞受賞記念
色部義昭展「目印と矢印」
会期: 2019年 4月4日(木)〜5月21日(火)
11:00a.m.-7:00p.m.
日曜・祝日、4月29日(月)〜5月6日(月)は休館
入場無料
会場:クリエイションギャラリーG8
〒104-8001 東京都中央区銀座8-4-17 リクルートGINZA8ビル1F
TEL 03-6835-2260 http://rcc.recruit.co.jp/
主催:クリエイションギャラリーG8
共催:公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会 亀倉雄策賞事務局
■展示概要
「目印と矢印」というタイトルは、一般の人に向けてグラフィックデザイナーの職能をわかりやすく説明する時によく用いている言葉です。本展覧会では受賞作 Osaka Metroや市原湖畔美術館、須賀川市民交流センター tetteなどの公共的なプロジェクトを中心に、「目印と矢印」という視点でそのデザインを分解して展示します。実際の空間から引き離された、原寸模型による等身大の「目印と矢印」と、実際の空間で記録し映像化された「目印と矢印」。二つの手法を介して展示して見せることで、その機能と効能についての解説を試みたいと思います。(色部義昭)
■ オープニングパーティー
日時:2019年4月4日(木) 7:00p.m.-8:30p.m.
会場:クリエイションギャラリーG8
*どなたでもご参加いただけます
■トークショー
第296回クリエイティブサロン 「矢印のデザイン」
日時:2019年4月15日(月)7:10p.m.-8:40p.m.
出演:木住野彰悟 原田祐馬 色部義昭
入場無料、要予約 http://ptix.at/Kju0db
第297回クリエイティブサロン 「目印のデザイン」
日時:2019年4月24日(水)7:10p.m.-8:40p.m.
出演:佐藤 卓 色部義昭
入場無料、要予約 http://ptix.at/jG5tO6
■関連イベント
会期中、ギャラリーツアーを開催予定です。
日時、ゲスト等、詳細が決まり次第、ギャラリーWEBサイトにてご案内いたします。
入場無料、要予約、ご予約はPeatixにて
■ビジュアル資料
受賞作:地下鉄のCI計画「Osaka Metro」
■プロフィール
色部義昭 Yoshiaki Irobe
1974年千葉県生まれ。東京藝術大学大学院修士課程修了。日本デザインセンター取締役。同社内にて色部デザイン研究所を主宰。東京藝術大学非常勤講師。グラフィックデザインをベースに、平面から立体、空間、映像まで幅広くデザインを展開。近年の主な仕事に市原湖畔美術館や国立公園、須賀川市民交流センターtetteのブランディング、天理駅前広場Cofufunのサイン計画、Liquitexやnaturaglacéのパッケージデザインなどがある。グッドデザイン賞、SDA、JAGDA、東京ADC、D&AD、One Show Designなど国内外のデザイン賞を受賞。AGI(国際グラフィック連盟)、東京ADC、JAGDA会員。
http://irobe.ndc.co.jp/
■受賞のことば
「亀倉雄策」とは時折り一方的な接点がある。日本デザインセンター50周年史のデザインを担当したときに、創立当時を知るOBから創立メンバーであった亀倉のエピソードを聞く機会があった。数年前、雑誌『Pen』のグラフィックデザイン特集で亀倉について語る機会があり、以前に読んだ著書『離陸 着陸』を読み返しながら、数多くの名作を残したデザイナーとしての側面だけでなく、行動派としての側面を知ることになった。最近では、JAGDA広報委員会の活動の中で、亀倉がJAGDA創立当初に会員を募るために書いた、様々な熱い書面を目にして心動かされた。そうした中で、一貫してグラフィックデザイナーという職能を社会に開いていくために行動し続けた情熱的な姿が強く印象に残り、いつか自分も彼の意思を少しでも継承できるようなデザイナーになりたいと思うようになった。
今回の受賞作品となった「Osaka Metro」のCI計画は、対象が国際的な大都市を支えるインフラであることから、初めて訪れる人にも明快に機能する目印であることが求められた。一方で、一つの目印が街中に展開される量について想像し、都市の風景を形成する環境デザインの要件とも捉えることにした。角度を変えると大阪の頭文字 “O” になる立体的なロゴ “M” は、“Osaka” の “Metro” というテーマでしか実現し得ない、特殊な造形で応えたいという思いから生まれたアイデアである。列車内や駅構内のスクリーンに流すためのモーションロゴを作ったのは、公共的なデザインに対して多くの説明が求められる時代にあって、できるだけ言葉を介さずにビジュアルのみでデザインをわかりやすく説いていく試みでもあった。その成果かどうかはっきりはわからないが、知りうる情報の限りにおいて、概ね好意的に受け入れていただけたと思っている。
社会との接点を大きく感じ、手応えも感じられたプロジェクトであったが、それに対して嬉しい受賞の知らせがついてきた。この新しい「亀倉雄策」との接点に喜びを噛み締めながら、今後も自分なりにグラフィックデザイナーの職能を追求し続けていきたいと思う。
色部義昭
■亀倉雄策賞について
1997年に急逝した亀倉雄策の生前の業績をたたえ、グラフィックデザイン界の発展に寄与することを目的として、1999年に遺族の寄付により設立された亀倉雄策賞。亀倉が設立から長く会長を務めた公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)に運営を一任し、毎年、年鑑『Graphic Design in Japan』出品作品の中から、最も優れた作品とその制作者を表彰する。「いつになっても東京オリンピックの亀倉と呼ばれること」を嫌い、亡くなる直前まで「今」の仕事で若い世代と競い、グラフィックデザイン誌『クリエイション』の編集を通じて、グラフィックデザインの芸術性、本質を追求した亀倉の遺志を尊重し、普遍性と革新性をもったグラフィックデザインを顕彰していく。賞金は50万円。賞状は佐藤卓によるデザイン。
■これまでの亀倉雄策賞受賞者
第1回 田中一光/第2回 永井一正/第3回 原 研哉/第4回 佐藤可士和/第5回 仲條正義/第6回 服部一成
第7回 勝井三雄/第8回 受賞者なし/第9回 松永 真/第10回 佐藤 卓/第11回 植原亮輔/第12回 浅葉克己
第13回 受賞者なし/第14回 澁谷克彦/第15回 平野敬子/第16回 葛西 薫/第17回 佐野研二郎
第18回 三木 健/第19回 渡邉良重/第20回 中村至男 ※全て敬称略
授賞式:2019年6月28日(金)東京にて実施予定〈2019年度JAGDA通常総会会場〉
作品発表:年鑑『Graphic Design in Japan 2019』(2019年6月発行予定/六耀社刊/予価16,200円)
巡回展:2019年10月26日(土)〜11月4日(月) 新潟・新潟県立近代美術館 2Fギャラリー
■第21回亀倉雄策賞選考経緯
第1次選考 (2018年12月11日、12月19日)
・年鑑『Graphic Design in Japan 2019』掲載作品選考会において、全2,026作品を対象に、年鑑選考委員が候補作品を選出。
・年鑑選考会における各カテゴリーの得票上位であるJAGDA賞候補作品のうち、過去の受賞者10名(浅葉克己、植原亮輔、葛西 薫、佐藤 卓、永井一正、中村至男、服部一成、原 研哉、松永 真、渡邉良重)による33作品を除いた87作品を対象に、当日出席した選考委員29名がひとり5票の用紙記入方式で、亀倉雄策賞にふさわしいと思われる作品に投票(全票投票/出品会員名は非表示/自身の出品作品には投票不可)。その結果、2票以上を得た21名および1組の32作品を選出した。
最終選考(2018年12月21日)
・ひとり(1組)あたり1作品を候補とするというルールに従い、複数作品が候補に上がっている出品者については、亀倉雄策賞選考委員の多数決で各1作品、もしくは同テーマのシリーズ作品を選び、以下の22作品(シリーズ)を最終ノミネートとした。
・選考委員11名がひとり3票を持って投票を行った結果、7票以上を獲得した2作品(色部、菊地の作品)が最終候補となり、決選投票で7票を獲得した、色部の作品が選ばれた。
・選ばれた「Osaka Metro」のCIは、2018年4月、大阪市営地下鉄の民営化に伴い、新名称と共に使われるようになった。Metroの「M」の中にOsakaの「O」を内包する、立体的で動きのあるロゴタイプは、日本の地下鉄の中でもユニーク。走行中の車内スクリーンでは、地下鉄の動きに呼応するかのような挙動を見せるのが印象的だ。「プライベートな作品、表現が多い中、公共性の高い仕事」、「堂々たるデザインであり、亀倉雄策賞に相応しい」と評された。
最終選考委員会メンバー
・亀倉雄策賞運営委員=永井一正(選考委員長)、浅葉克己、葛西 薫、勝井三雄、佐藤 卓、仲條正義、原 研哉、松永 真
・ゲスト選考委員=前村文博、松本哲夫、山本容子 ※五十音順、敬称略
候補作品(出品者名五十音順、敬称略)
・ポスター「SHOES GIRLS」(赤沼夏希 cl:一乗ひかる)
・パッケージ/環境空間「mt」(居山浩二 cl:カモ井加工紙)
・CI・VI・ロゴ/環境空間「Osaka Metro」(色部義昭 cl:大阪市高速電気軌道)
・CI・VI・ロゴ「ハレノヒ」(岩永和也 cl:加和太建設)
・映像「LAFORET GRAND BAZAR ’18 SUMMER」(上西祐理 cl:ラフォーレ原宿)
・複合「イメージの観測所」(岡崎智弘 org:日本デザインコミッティー)
・新聞広告「伊藤忠商事 社員は家族だ」(岡本 学 cl:伊藤忠商事)
・新聞広告「SINCE 1995」(小野恵央/川腰和徳 cl:神戸新聞社)
・環境・空間「信毎メディアガーデン」(柿木原政広 cl:信濃毎日新聞社)
・パッケージ「RURU MARY’S」(川上恵莉子 cl:メリーチョコレートカムパニー)
・インタラクティブデザイン「History of The Internet」(川腰和徳 cl:ヤフー)
・ジェネラルグラフィック/ブックデザイン「ゆらぎ ブリジット・ライリーの絵画」(菊地敦己 cl:DIC川村記念美術館)
・複合「にんげんレストラン」(北田光志 cl:人間レストラン)
・ジェネラルグラフィック「HEARTLAND 365」(窪田 新 cl:キリンビール)
・ポスター「GOOD SUMMER」(小林一毅 org:東京武蔵野美術学院)
・ポスター「hama house」(城崎哲郎 cl:ハマハウス)
・ブックデザイン「東京造形大学 学校案内」(高田 唯 cl:東京造形大学)
・ポスター「光と図形」(田部井美奈 org:ユトレヒト)
・ポスター/ブックデザイン「NUDIST WORLD」(永井裕明 cl:キネェントス)
・複合「21 Colors Bar」(野間真吾 cl:イッセイ ミヤケ)
・環境・空間「9h nine hours 竹橋」(廣村正彰 cl:ナインアワーズ)
・ポスター「HANATSUBAKI」(丸橋 桂 cl:資生堂)
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