水族施設の飼育水から絶滅危惧魚類の長いDNA配列の解析に成功(長浜バイオ大学・琵琶湖博物館の共同、同時提供)
長浜バイオ大学バイオサイエンス学部の掛橋竜祐 特任助教と倉林 敦 准教授、滋賀県立琵琶湖博物館の金尾滋史 主任学芸員らは、飼育水槽の水から、国の天然記念物および国内希少野生動植物に指定され、環境省レッドリスト2020において絶滅危惧IA類に位置付けられている、コイ科イタセンパラ(タナゴの仲間)の長いDNA(最大8600塩基対)の増幅に成功し、そのミトコンドリアDNAの全塩基配列を初めて決定しました。
本研究成果は、令和4年(2022年)3月3日(木)、科学雑誌「Journal of Ichthyology」においてオンライン公開されました(DOI:https://doi.org/10.1134/S0032945222020072)。
※環境DNAとは? 生物から放出され、水や土壌などの環境中に存在するDNA。最近、環境DNAの技術は発達が著しく、希少種の分布地の調査や生物の存在量の推定などに利用されています。ただし、DNAは生物から放出されると速やかに分解されるため、環境DNAから分析できるDNAの長さは通常数百塩基対までとされていました。
【倉林 敦 准教授のコメント】
希少生物の研究には、なるべくその生物に影響を与えない方法を選択することが重要です。たとえ動物園・水族館で継代維持されている動植物であったとしても、生きた個体を直接利用することは避けるのが望ましいでしょう。実際、希少生物の多くは法律によって守られており、標本や飼育個体であってもその利用には制限がかかっていることが多いです。今回、飼育水から長いDNAの解析が可能であることが示され、DNAレベルの研究の多くが生物に全く影響を与えずに実施可能となったと言えます。また、「飼育水」にこれまでにない用途があることを示した今回の研究結果は、研究者にとっても動物園・水族館・博物館にとっても大変有益だと考えられます。
絶滅の危機にある「イタセンパラ」 写真提供・金尾滋史(琵琶湖博物館)
本研究成果は、令和4年(2022年)3月3日(木)、科学雑誌「Journal of Ichthyology」においてオンライン公開されました(DOI:https://doi.org/10.1134/S0032945222020072)。
※環境DNAとは? 生物から放出され、水や土壌などの環境中に存在するDNA。最近、環境DNAの技術は発達が著しく、希少種の分布地の調査や生物の存在量の推定などに利用されています。ただし、DNAは生物から放出されると速やかに分解されるため、環境DNAから分析できるDNAの長さは通常数百塩基対までとされていました。
【倉林 敦 准教授のコメント】
希少生物の研究には、なるべくその生物に影響を与えない方法を選択することが重要です。たとえ動物園・水族館で継代維持されている動植物であったとしても、生きた個体を直接利用することは避けるのが望ましいでしょう。実際、希少生物の多くは法律によって守られており、標本や飼育個体であってもその利用には制限がかかっていることが多いです。今回、飼育水から長いDNAの解析が可能であることが示され、DNAレベルの研究の多くが生物に全く影響を与えずに実施可能となったと言えます。また、「飼育水」にこれまでにない用途があることを示した今回の研究結果は、研究者にとっても動物園・水族館・博物館にとっても大変有益だと考えられます。
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