SS結合が減ると皮膚の復元力が弱くなる
加齢による角層SS結合の減少がシワに結び付いている可能性
① 皮膚のSS結合が減ると皮膚が変形後、元に戻りにくくなること
② 加齢によって角層のSS結合量が減少すること
③ バクモンドウエキスが皮膚のSS結合を形成する酵素を増やすこと
このことから、バクモンドウエキスの活用によって、加齢により減少した角層のSS結合量を増やし、変形後元に戻りやすい皮膚となることが期待されます。本知見は、第41回日本美容皮膚科学会総会・学術大会にて発表予定です。
●皮膚のSS結合と皮膚の変形後の戻りは関連
角層に存在するSS結合(補足資料1)は、角層の成熟に関係していることが明らかとなっています。一方で、角層の成熟以外の皮膚での役割や加齢との関連は明らかになっていません。毛髪などにもSS結合は存在し、変形後の戻りに影響を及ぼすことが知られています。そこで、SS結合は皮膚の変形後の戻りにも影響を及ぼすのではないかと仮説を立て、検証しました。皮膚組織に線状の凹みを人為的に作製したところ、SS結合の少ない皮膚では凹みが元の状態に戻りにくいことが明らかとなりました(図1、補足資料2)。
このことから、SS結合が皮膚の変形後の戻りにくさと関係している可能性が示唆されました。
●加齢により角層のSS結合量は減少
次に、角層のSS結合量と加齢との関連を調べるために、20~60代の女性の頬部角層を採取し、SS結合量を調査しました。その結果、角層のSS結合量は、加齢に伴い減少していることが明らかとなりました(図2)。
図1、図2の結果から、加齢に伴い角層のSS結合量が減少することで、変形した皮膚が元の状態に復元しにくくなると考えられます。変形から元に戻りにくい皮膚は、表情の動きで生じたシワが残りやすいと考えられるため、加齢に伴うSS結合量の減少は、シワ形成の一因である可能性があります。
●SS結合を形成する酵素を増やすエキスを発見
角層のSS結合量を増やし、変形から元に戻りやすい皮膚を叶えるために、SS結合を形成する酵素を増やすエキスの探索を行ったところ、バクモンドウエキスに効果を見出しました(補足資料3)。
【補足資料1】
角層細胞に存在するSS結合
角層細胞は、コーニファイドエンベロープ(CE)と呼ばれるタンパク質でできた膜に包まれています。CEのタンパク質を構成するアミノ酸には、チオール基(SH基)をもつシステインが存在しており、システインの2つのチオール基が化学反応して、SS結合(シスチン結合とも呼ばれる)が作られた状態で存在しています(※1)(図3)。
このSS結合は、角層細胞の強度に関わっている(※2)とされています。その理由としては、SS結合がCE内のタンパク質とタンパク質の間を『架け橋』のようにつないでタンパク質の立体構造の形成を助け、補強するためと考えられています。
※1 北島康雄ら:日皮会誌, 1993, 103(12), 1595-1604
※2 佐藤由紀ら:日本薬学会第140年会, 2020, 27P-am216
【補足資料2】
SS結合の少ない皮膚の変形後の戻りにくさについて
皮膚の変形後の戻りにくさを確かめるため、凹みの深さについて、画像解析を行いました。凹みが深いほど暗い影が入るため、凹み部位とその近傍の非凹み部位では明るさ(輝度値)に差が生まれます。この輝度値の差を凹みの深さの指標として、SS結合が皮膚の変形に与える影響を比べました。皮膚組織に線状の凹みを人為的に作成したところ、SS結合の少ない皮膚では凹みの深さが元の状態に戻りにくい(図4)ことが明らかとなりました。
【補足資料3】
SS結合を形成する酵素を増やすエキスを発見
SS結合を形成する酵素を増やすエキスの探索を行った結果、バクモンドウエキスによって、表皮細胞のSS結合を形成する酵素の遺伝子発現量が増えることが明らかとなりました(図5)。この遺伝子の発現量が増加することで、SS結合を形成する酵素の産生量も増加すると考えられます。
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