【イベントレポート】劇場アニメ『ひゃくえむ。』監督・岩井澤健治スペシャルトークショーで語られたこと。<学校法人立志舎>

8月4日(火)に学校法人立志舎は「岩井澤健治監督 スペシャルトークショー」を開催。映画監督を目指したきっかけやロトスコープ技法について語られ、アニメ業界を目指す中高生へメッセージも贈られた。

学校法人立志舎

トークショーの様子

学校法人立志舎(所在地:東京都墨田区、以下本学)が運営する、専門学校日本鉄道&スポーツビジネスカレッジ21 (※1)のマンガ・アニメクリエイション学科は、株式会社ロックンロール・マウンテンの協力のもと、2026年8月4日(火)にアニメーション監督・岩井澤健治(いわいさわ けんじ)氏、そして「聞き手」としてavaren株式会社 代表取締役の桐原徹真(きりはら てっしん)氏をお迎えした「オープンキャンパス特別企画 岩井澤健治監督スペシャルトークショー」(以下、本イベント)を開催いたしました。

本イベントでは、映画監督を目指すことになったきっかけや、ロトスコープというアニメーションの制作技法について語られ、最後にアニメ業界を目指す中高生たちへのメッセージも贈られました。

◼︎開催概要

『オープンキャンパス特別企画 岩井澤健治監督スペシャルトークショー』

日時:2026年8月4日(火) 13:00~15:30

場所:学校人立志舎 錦糸町キャンパス アルカタワーズ校舎

対象:中学生・高校生、およびその保護者

主催:学校法人立志舎 専門学校日本鉄道&スポーツビジネスカレッジ21

協力:株式会社ロックンロール・マウンテン

◼︎映画の面白さに衝撃を受け、映像の世界へ―――

トークショーの冒頭、岩井澤監督はアニメーション監督になったきっかけを語ってくださいました。

「最初はアニメではなく、実写監督を目指していました。高校3年生の夏に野球部の試合で初戦敗退し、時間が余っていたので、VHSに録り貯めていた映画をたくさん見ました。その時に映画の面白さに衝撃を受け、映画監督を目指そうと思いました。」

高校卒業後はデザインの専門学校に進学し、そこで映画のスタッフ募集のポスターを見かけたことから、映画の世界に飛び込みます。スタッフの現場で知り合った仲間たちと自主制作映画などにも取り組みましたが、当時は今ほどデジタルメディアが充実しておらず、納得のいく作品を完成させることができなかったそうです。

「でも、周囲には同世代で実写の監督として面白い作品を完成させている人もいて、自分がこのまま実写の監督を続けるのは難しいと思いました。元から絵を描くのは好きだったので、実写をなぞる形で絵を描いてみたらアニメーションのようなものができると思い、挑戦したのが、アニメ監督になったきっかけです。22歳くらいでした。」

アニメーションの世界に飛び込んだ岩井澤監督ですが、初めは一人で作品を制作していたそうです。

「アルバイトをしながらコツコツ制作を続け、27歳の時に完成したのが『福来町トンネル路地の男』という作品です。あくまで実写の監督志望でしたが、アニメーション風の映像も作れるクリエイターとしての、名刺代わりの作品として制作しました。現代であれば動画サイトでバズって有名になるケースもありますが、当時はコンペに出してお客さんに見てもらうやり方がメインでした。そこで受賞することができ、このやり方なら自分も映像の世界で勝負できると思ったんです。」

岩井澤 健治 監督
avaren株式会社 代表取締役 桐原 徹真 氏

◼︎監督のアニメ制作方法「ロトスコープ」とは?

岩井澤監督は映像制作に「ロトスコープ」という手法を用いています。ロトスコープとは、実写映像を先に撮影し、その映像をベースに絵にしていくという方法。一般的な商業アニメでは、部分的に使われることもある手法だそうです。

「自分の場合は、元々実写の世界にいたからロトスコープの手法をとっただけで、最初からロトスコープをやりたかったわけではないんです。やり始めた当時は、自分のやっていることにロトスコープという名前がついていることも知りませんでした。」

◼︎「やってできないことはない!」――0から映画制作をスタート

続いては劇場アニメ『ひゃくえむ。』の制作過程についてお話しくださいました。

岩井澤監督はご自身のことを「考えるより先に手を動かしてみるタイプ」だと語り、トライアンドエラーを繰り返して少しずつ作業を進めていったと当時を振り返りました。特に、既存のアニメ制作スタジオではロトスコープという制作方法を受け入れてくれるところがなく、なかなか制作を進めることができなかったため、思い切って自分のスタジオを立ち上げたそうです。

「最初は自分一人でした。スタッフを募集しましたが、集まったのはほとんど業界未経験の方ばかり。それでも、100人いたら100人に無理だと言われるようなことを今までもやってきたのだから、今回もできないことはないと思っていました。絶対にできない、なんてことはないんです。」

ほとんど業界未経験のスタッフの中で、ロトスコープを用いた制作手法はクオリティをアップするのに大変役立ったそうです。監督曰く、多くの方のイメージではあらかじめ実写映像を撮る手間があるため、通常のアニメ制作より大変だと思われていますが、実際には実写をベースに描くロトスコープは時間と予算を大幅に削減できる、メリットの大きい制作方法だそうです。

ロトスコープについて語る岩井澤監督

◼︎監督のこだわり――ワンカットの特別なシーン

お話は印象的な長回しのシーンの制作秘話へと移ります。

劇中、雨の中でレースの準備をする選手たちのシーン。3分40秒に渡る長尺で、試合直前の緊張感が伝わってきます。

「あのシーンは、まだシナリオもない段階で最初に思いついたシーンです。スポーツものとはいえ陸上の短距離、10秒で終わってしまうので、アニメーションとしての試合の見せ場を作るのが難しいんです。誰が1番速く走るかという究極にシンプルなスポーツで、どうすれば作品を面白くできるかという問題がありました。その10秒をスローにして時間を引き延ばしても、スピードが命のスポーツでその演出が魅力になるかといったらそんなことはなくて。」

岩井澤監督は実際に陸上の試合を見に行ったそうです。そこで選手たちの試合前のアップの様子やスタッフを含めた風景の一連を目にしました。

「普通だったらカットしてしまう試合前の緊張感をたっぷり魅せることで、特別なシーンになるのではないかと考えました。このシーンを入れられれば、『ひゃくえむ。』はアニメ業界の中でも注目される作品になるのではないかと思ったんです。」

◼︎若い世代へのメッセージ「インプットが何より大切」

トークショーの終盤には、参加した中高生に向けて、これからのクリエイターに求められることや、学生時代にすべきことのヒントを話してくださいました。

「若いころはインプットをすることが何よりも役に立ちます。映画やアニメに限らずマンガ、小説、美術館で展示を見るのもいいです。また、焦らないことが大切です。才能ある人は若い時から頭角を現す人もいますが、それは人それぞれ。クリエイティブなことをするなら、たくさんインプットしてエネルギーを蓄えましょう。」

さらに、今後デジタル化、AI化、グローバル化が進んでいく中で、アニメ業界を生き抜くためのアドバイスをいただきました。

「今のAIの状況は、CGが出始めた時に近いように思います。実写と全く見分けがつかないようなクオリティの映像がCGで作られるのではないかと危惧されていましたが、現在では共存できています。AIは今、毎月のように進化している段階ですが、今後上手く折り合いがついて共存するようになっていくのではないでしょうか。AIの時代にこそ、インプットが強みになっていくと思います。」

岩井澤監督からの若い世代へのメッセージ

◼︎参加者からの質問コーナー

イベント後半の質問コーナーでは、来場者からの質問に岩井澤監督が丁寧に答えました。

Q1.実写撮影の際に構図やカメラワークで意識していることは?

「感覚的に、気持ちいいと思う構図をとっています」

自分は構図やカメラワークの意図に関する勉強はしてこなかったので感覚的に決めていますが、本当は勉強した方がより良いと思います。基礎がしっかりしている方が、説得力が出てそれが武器になります。

Q2.監督が好きな映画監督と、その理由は?

「ピーター・ジャクソン監督に影響を受けました」

彼の有名な作品は『ロード・オブ・ザリング』ですが、初期のB級映画が好きです。人とは違ったことを真面目にやっていたようで、自分がモノづくりをする上で勇気を貰いました。どれだけくだらないことを壮大にできるか?という部分にシンパシーを感じます。

Q3.次はどんな作品を作りたい?

「劇場アニメ『ひゃくえむ。』とは全く違う作品を作りたいです」

一番は、見ているお客さんに楽しんでもらいたいです。どんなジャンルであっても、見て楽しめたり、驚いたりする作品を作っていこうと思っています。

来場者からの質問コーナー

■トークショーを終えて

約1時間のトークショーで、将来アニメーション業界を目指す中高生にとって大変貴重な時間となりました。

今後も本学では進路選択に役立つイベントを多数実施いたします。

中学生、高校生が「好き」なことに自信を持ち、その「好き」に関するプロを目指す学びを提供していきます。

専門学校日本鉄道&スポーツビジネスカレッジ21 (※1)

マンガ・アニメクリエイション学科:https://www.nihonschool21.ac.jp

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※1...専門学校日本鉄道&スポーツビジネスカレッジ21は2027年4月より『立志舎東京鉄道デジタルクリエイト・スポーツ&ダンス専門学校』へ校名変更予定

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◼︎お問い合わせ

学校法人立志舎 広報部

03-3624-5403 / kouhou@all-japan.ac.jp

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業種
教育・学習支援業
本社所在地
東京都墨田区錦糸1-2-1
電話番号
03-3624-5441
代表者名
田中 壮
上場
未上場
資本金
-
設立
1979年10月