【慶應義塾】スペイン風邪(1918-1920年)における非医薬品介入(NPI)の効果の推計:日本の地域経済における数量経済史研究

慶應義塾

慶應義塾大学経済学部の大久保敏弘教授はニュージーランド・ウェリントン大学のIlan Noy教授とスイス・ベルン大学のEric Strobl教授との共同研究により1918年~20年の流行性感冒、いわゆる「スペイン風邪」における、経済活動への影響と非医薬品介入(NPI)の効果を日本の府県別データを用いて数量的に明らかにしました。

結果、超過死亡で計測したスペイン風邪による死亡は経済活動にマイナスの影響を与えるが、各地で行われた予防対策の徹底の要請などの非医薬品介入(NPI)は経済へのマイナスの影響を20-30%ほど緩和してくれることが分かりました。経済活動か感染症対策かの一択ではなく、非医薬品介入はいのちを守りつつ、雇用の維持を通じ経済活動の落ち込みを緩和することが分かりました。本研究成果は、論文は国際的な査証付きジャーナル「Journal of Regional Science」に掲載されました。

<本研究のポイント>

  • 府県別に超過死亡を計測した結果、大きな違いがあった。都市部を中心に2回の高いピークが観測された。多くの府県では第1波のほうが第2波よりも顕著に高いが、いくつかの府県では逆のパターンも観測された。

  • 感染予防対策のパンフレットの配布や街頭でのポスターや看板、携帯カードの作成やスローガン、映画館での呼びかけ、学校や職場での啓発など、様々なキャンペーンが行われた。すべての府県が何らかの取り組みをしているものの、一律ではなく府県ごとに徹底度合いや方法、時期が異なる。多くの府県では、予防書を頒布したり啓発したりして周知徹底するよりも、スローガンや分かりやすさ、取り組みやすさに重きが置かれた。

  • 空間計量経済の手法を用いて、当時主力産業だった繊維業の成長への影響を推計した。超過死亡はマイナスの影響を与え雇用や生産額を大きく減少させる。しかし、非医薬品介入の度合いが強いほど、マイナスの影響を(超過死亡の平均値まわりで)20-30%ほど相殺する効果がある。

  • さらに高知県のケースを取り上げ、ケーススタディーを行った。高知新聞社の協力により当時の新聞記事を基に、非医薬品介入が具体的にどう人々の生活に影響し、当時の地方議会や地方行政がどのような施策を行い、どう県下の工場に要請し製造業生産に影響を与えたかを解明した。

▼全文は本学のプレスリリースをご参照ください。

https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2023/7/31/230731-1.pdf

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業種
教育・学習支援業
本社所在地
東京都港区三田2-15-45
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代表者名
伊藤 公平
上場
未上場
資本金
-
設立
1858年10月