FIDOアライアンス、パスキーの国内普及の加速によりデジタルアイデンティティ領域における次なる展開の基盤を確立
(国際版の日本語訳)

2025年12月5日、東京 - FIDOアライアンスは、第12回FIDO東京セミナーに合わせて、新たなデジタルクレデンシャルに関するイニシアチブを発表しました。これは、私たちのデジタル生活の中心に「信頼」を据えるというFIDOアライアンスのミッションにおける次のステップです。このイニシアチブは、信頼性を確保し、相互運用可能なアイデンティティ・ウォレットのエコシステムを構築することを目的としており、フィッシング耐性のあるパスキーの急速な世界的普及によって確立された実績を基盤としています。
本日、このイニシアチブに関する発表に加え、第12回FIDO東京セミナーでは、より安全でユーザーフレンドリーなデジタル世界を推進する日本のパスキーに関するプロジェクトなどについても紹介します。セミナーのプログラムには、デジタル庁、警察庁サイバー警察局、金融庁といった日本の政府機関による講演に加え、楽天証券株式会社によるセッションも含まれます。
デジタルアイデンティティへの新たなアプローチ
デジタルクレデンシャルは、日常的なやり取りや取引において利便性、セキュリティ、プライバシーの向上をもたらす可能性を秘めています。しかし、グローバルな整合性の欠如とエンドツーエンドでの認定プログラムの不足に起因する「エコシステムの断片化」が、普及の障壁となっています。FIDOアライアンスは、パスキーでの実績を基盤とし、関係者の結束、仕様と認定プログラムの策定、他の標準化団体との連携、そしてパスキーのグローバル展開に関するイニシアチブの推進といった確かな能力を通じて、これらの課題に取り組んでまいります。
FIDOアライアンスは、パスキーが今日まで歩んできたように、デジタルクレデンシャルにおいても、これらの戦略をエコシステムに適用することで、普及し、信頼され、ユーザーフレンドリーな未来の構築を目指しています。
日本における急速なパスキー展開の1年
日本市場では、過去1年間においても、主要な業界において新たなパスキーの導入が急増し、著しい勢いを見せています。
金融サービス業界では特に導入が急拡大しており、多数の証券会社がパスキーの導入を開始しました。これには、大和証券株式会社、今村証券株式会社、岩井コスモ証券株式会社、みずほ証券株式会社、マネックス証券株式会社、野村證券株式会社、楽天証券株式会社、株式会社スマートプラス、株式会社SBI証券、ウェルスナビ株式会社などが含まれます。
証券会社以外にも、コインチェック株式会社、株式会社ユナイテッドアローズ(Capy株式会社により提供)、東日本旅客鉄道株式会社によるJRE ID、株式会社リクルートによるリクルートID、株式会社JPデジタル、GMOあおぞらネット銀行株式会社、株式会社NTTデータ、NTTテクノクロス株式会社、株式会社ジェーシービーによるMyJCB(マイジェーシービー)などパスキーの導入が広がっています。
既にパスキーを導入した企業に加え、導入計画を発表する企業も増えており、国内におけるパスキー導入は今年度中に昨年までと比較してほぼ倍増※ する見込みです。
※昨年、FIDOアライアンスは2024年12月12日時点で、FIDOおよびパスキーを導入済みは27社、導入予定発表済みを含む場合は28社であると発表しました。本年、FIDOおよびパスキーを導入済みの企業・サービス、および2025年度内に導入予定と発表済みの企業(10社)を合わせて55社になります。これらのサービス提供者・サービス以外にも導入事例があります。
国内の主要な業界がパスキーの普及を促進
このモメンタムの一端は、規制に関する大きな環境変化によってもたらされています。金融庁と日本証券業協会はそれぞれ、「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」、「インターネット取引における不正アクセス等防止に向けたガイドライン」の一部改正を発表しました(2025年10月15日)。 これらの改正により、「重要な操作時においてフィッシングに耐性のある多要素認証の実装及び必須化(デフォルトとして設定)」が求められ、パスキーによる認証がこの要件を満たす主要な例として挙げられました。サービス提供者がパスキー導入を優先し、加速させるよりどころにもなります。
また本日、FIDOアライアンスは、日本証券業協会(以下、日証協)とリエゾンパートナーシップを締結したことを発表します。FIDOアライアンスは、日証協を歓迎するとともに、同協会がFIDO Japan WG(日本作業部会)のメンバーとして参画することを喜ばしく思います。
日本のエコシステムを支援するための定量的な測定を含めた新たな取り組み
パスキーによる日本のエコシステムの成長を支援するため、FIDOアライアンスは日本でいくつかの重要な取り組みを開始しています。FIDOアライアンスのグローバルな取り組みであるPasskey Indexは、Amazon、Google、LINEヤフー、メルカリ、Microsoft、NTTドコモ、PayPal、Target、TikTokといった主要サービス提供者9社によるデータを総合的に示し、パスキーの登録状況、利用状況、ビジネスへの影響を把握できるようにしました。さらに、FIDO Japan WGは、補足的な調査としてPasskey Index Japanを開始し、年齢や性別などデモグラフィックデータを含む追加の知見をまとめました。この調査で、パスキーの利用状況が年齢や性別によってほぼ均一であることが判明しました。すべての年齢層において認証MAU* 全体のうち50.4%がパスキーによるものであり、40代では53.5%がパスキーによるものとなっています。また、性別では男性が51.5%、女性が49.2%となっていました。
(*) MAU: Monthly Active Users
FIDOアライアンスでは、「パスキー・セントラル」とよぶリソースハブを日本語に翻訳し、継続的に更新しています。これにより、国内の企業・団体がパスキーに関する業界をリードする情報源にアクセスできるようになっています。このハブは、訪問者に実践的でデータに基づいたコンテンツを提供し、パスキーを知り、実装し、保守することで、長期的に最大のメリットを得られるように支援します。
さらに、今年初めに開始された「パスキー宣言」プログラムでは、企業・団体に対し、特定のパスキー関連目標達成に向けた取り組みを自主的に宣言するよう呼びかけています。国内の企業においても、このプログラムに参加し、ウェブをより安全でアクセシビリティのあるものにする取り組みに協力する動きが活発化しています。
FIDOアライアンスについて
「高速なオンラインID認証」を意味するFIDO(Fast IDentity Online)アライアンスwww.fidoalliance.orgは、セキュリティと利便性の両立をめざすため、2012年7月に設立されたグローバルな非営利団体です。堅牢な認証技術に相互運用性が確保されていない状況を改善し、ユーザーが多くのIDとパスワードを覚えなければならないという煩わしさを解消することを目的としています。FIDOアライアンスは、認証におけるパスワード依存を軽減するために、オープンで拡張性と相互運用性のあるシンプルで堅牢な「FIDO認証」を標準化することで、オンラインサービスの本質に変革をもたらします。FIDO認証はオンラインサービスの利用時に、堅牢でプライバシーが確保された便利な認証を提供します。
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