IM Lab Open Dayを開催 産官学がISO 56000に基づくイノベーション教育の構築に向けて議論
一般社団法人Japan Innovation Network(JIN)と東京科学大学が共同運営する、エコシステム戦略の実践を推進する「IM Lab」*は、2026年7月1日(水)、東京で公開イベント「IM Lab Open Day」を開催しました(経済産業省後援)。当日は企業・大学・官公庁関係者ら約120名が参加。「ISO 56000シリーズに基づくイノベーション・マネジメントシステム(IMS)を活用した教育プログラムの普及」をテーマに、国内外の知見が共有され、パネルディスカッションが行われました。
「偶然」から「デザイン可能な経営システム」へ
IM Lab Open Dayは、イノベーションを個人の経験や偶発性に依存している現状から、組織的に価値実現できる経営システムに転換することを主題に開催されました。ISO 56001/56002の発行を契機にIMSの国際的な普及が進むなか、企業、大学、政策形成機関、研究機関、スタートアップがこれを共通言語として、イノベーションを再現可能にする組織の力量と個人の能力を高める重要性が議論されました。
スウェーデン王立工科大学 Mats Magnusson教授が基調講演
基調講演には、30年にわたるイノベーション・マネジメント教育・研究の経験を持つ、スウェーデン王立工科大学のMats Magnusson教授が登壇。欧州の大学におけるイノベーション・マネジメント教育を紹介し、「知識だけでなく実践能力の育成が重要」と指摘するとともに、スタートアップだけでなく、既存企業におけるイノベーション・マネジメントの重要性を強調しました。

経済産業省、文部科学省、海外の識者が視点を共有
続く政策セッションでは、経済産業省イノベーション・環境局長の菊川人吾氏が、高市内閣が掲げる「新技術立国」構想と国際標準化を通じた新市場創出の方針を説明しました。文部科学省研究開発局長(北陸先端科学技術大学院大学 産学官連携客員教授)の坂本修一氏は、分野横断的な「トランスバーサル・コンピテンシー(横断的知性)」教育の必要性を語りました。
さらに、スウェーデンのIMS専門家であるMagnus Karlsson氏がビデオメッセージで「日本のイノベーション・パフォーマンスを高めるには」と題した提言を寄せ、「日本には研究開発力や技術力はあるが、それらを社会的・経済的価値へ転換する仕組みの強化が必要」と述べ、ISO 56001とISO 56011(能力要件フレームワーク)を活用した人材育成の重要性を強調しました。
また、ベルギー・フランダース地域政府イノベーション・起業庁のAnnie Renders氏はオンラインで登壇し、企業・大学・政府などが連携する「イノベーション・エコシステム」の重要性を強調しました。また、フランダース地域ではクラスター政策とKPIによる成果管理を通じて競争力向上を図っていると説明しました。

国内大学教員によるパネルディスカッション
パネルディスカッションには、玉田俊平太氏(関西学院大学 専門職大学院 経営戦略研究科長・教授)、中野勉氏(青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科教授)、河野龍太氏(多摩大学大学院 経営情報学研究科長・教授)、尾崎弘之(JIN ディレクター)が登壇し、紺野登(JIN Chairperson 理事)の進行のもと、国内大学院におけるIMS教育の実装可能性について議論しました。あわせて、多摩大学大学院では2026年秋学期から「イノベーション・マネジメントシステムの理論と実践」を開講することも紹介されました。

ISO教育コンテンツのオープンソース化、今後の展開
JINの尾崎弘之は、ISO 56000シリーズの構造と独自の実践フレームワーク「IMSコンパス」を紹介するとともに、JINが開発したコンテンツの一部を教育向けにオープンソース化し、参加者に提供すると発表しました。参加者アンケートでは、本コンテンツを活用したいと回答した参加者が77%にのぼり、IMSの継続的な学びと実践への期待の高さがうかがえました。
「IMS Global Learning Initiative」の始動
本イベントは、JIN、東京科学大学、スウェーデン王立工科大学、Amplify社(スウェーデン)の4者が共同で推進する国際教育構想「IMS Global Learning Initiative」の始動を飾る機会でもありました。ISO 56000シリーズを共通言語として、講義だけでなく対話、共創、フィールドリサーチ、実践プロジェクトを通じた、経営・技術・社会を横断する学びを提供し、欧州と日本の共創による学習機会を創出していく予定です。
*IM Labについて:
一般社団法人Japan Innovation Network(JIN)と東京科学大学が2025年8月に設立した、IMSを共通言語として、産学官連携を推進し、エコシステム戦略の実践に取り組むコンソーシアム。2026年5月から10か月間のプログラム「IM Lab 2026-2027」を展開しており、本イベントはその一環の公開イベントとして開催されました。次回は、地域エコシステムをテーマとした公開イベントを渋谷で開催予定です。
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