アークエッジ・スペース、宇宙戦略基金「商業衛星コンステレーション構築加速化」事業者として採択
~多目的衛星コンステレーション群の構築~
超小型衛星コンステレーションの企画・設計から量産化、運用まで総合的なソリューション提供を行う株式会社アークエッジ・スペース(本社:東京都江東区、代表取締役 CEO:福代孝良、以下「アークエッジ・スペース」)は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が実施する宇宙戦略基金の公募事業「技術開発テーマ:商業衛星コンステレーション構築加速化」に関して、「多目的衛星コンステレーション群の構築(多様な波長・周波数情報を拡張するセンサを搭載した衛星コンステレーションの構築)」の実施事業者として、2024年11月29日に採択されましたことをお知らせします。
本事業では、波長・周波数情報を拡張するセンサの社会実装に向けて、RF/AIS/IoT※1に関連する各種信号・データの受信、VDES※2送受信等の複数機能を有し、異種の衛星とも連携可能な多目的衛星コンステレーション群を構築することで、船舶動静や広域な海洋状況の把握による海上安全の向上や海洋DXの実現に寄与します。
あわせて、上記に必要となる小型衛星の量産開発・量産体制構築などを通じて、安全保障、民生利用の両面からの商業用衛星コンステレーション事業基盤の確立を目指します。
※1 RF :Radio Frequency、無線周波数
AIS :Automatic Identification System、船舶自動識別装置
IoT :Internet of Things、モノのインターネット
※2 VDES :VHF Data Exchange System、船舶・海洋向け双方向通信システム
■事業概要
名称 :宇宙戦略基金「商業衛星コンステレーション構築加速化」事業
技術開発課題:多目的衛星コンステレーション群の構築(多様な波長・周波数情報を拡張するセンサを搭載した衛星コンステレーションの構築)
参考URL :https://fund.jaxa.jp/techlist/theme2/
■事業背景
近年、海洋の安全保障環境が厳しさを増すなか、宇宙を活用した日本及びシーレーン周辺海域における海洋状況把握(MDA)を行う能力の強化が必要になっています。現状においても、船舶が自らの位置情報を発信する船舶自動識別装置(AIS)の信号から得られる船舶の位置情報を把握することは可能ですが、AISを搭載する義務がある船舶は大型の外航船舶などに限られ、自主的に搭載する内航船舶を除いて漁船や小型船はAISによる位置情報の把握ができておりません。
さらに、AISの信号を停波して位置情報を把握されないようにして違法な取引を行うことや信号を偽装して位置情報を捏造することなども顕著化しており、安全な航行の実現や海洋における脅威、リスクの早期察知のためには、MDAの情報として十分な信頼性を満たしていないことが世界的に議論されています。
こうした中、様々な周波数帯の電磁波やIoTセンサーから発信されたデータの取得を通じた、AIS信号には依存しない海洋状況把握の手段に対して世界的に関心が高まっています。
また、現行のAISには、通信速度の低さ・片方向のみの通信・送信できる情報の制限(船舶識別IDや航行速度等に限定)などから、自由なデータ送信・アプリ利用等による海上業務効率化に活用できないなどの課題がありました。
このような背景から、現行のAIS による情報交換を高度化・高速化し、衛星を用いた信号中継によって通信範囲を大幅に拡張することができる双方向デジタル通信システム(VDES)が構想されました。2019年11月のWRC(世界無線通信会議)では、海上におけるVDES信号の送受信に必要な周波数割当てが決定し※3、更に2022年2月にはITU-R(国際電気通信連合無線通信部門)勧告M.2092-1において、VDESの主要な技術規格が既に定められています※4。また、現行AISはSOLAS条約(海上における人命の安全のための国際条約)において大型商船等に搭載義務が課されていますが、2028年頃の改正によりAISまたはVDESの選択式義務制に移行することが見込まれています。VDESの通信機能を活用することで、より確実な船舶情報の収集に貢献することも期待されています。
※3 https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02kiban10_04000074.html
※4 https://www.itu.int/rec/R-REC-M.2092-1-202202-I/en
■【参考】関連するアークエッジ・スペースの取り組み
「経済安全保障重要技術育成プログラム/船舶向け通信衛星コンステレーションによる海洋状況把握技術の開発・実証」
2023年3月17日に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に採択され、現在、株式会社IHI、LocationMind株式会社、アークエッジ・スペースの3者共同で開発を進めています。船舶・海洋を対象とした双方向通信を実現するVDES、及び海洋状況把握に対応する超小型衛星や海事情報のデータプラットフォームなどの開発・実証を進めています。(事業総額 147億円)
今回採択された宇宙戦略基金の公募事業では、これらで開発・実証された成果を活用し、商業向けの衛星コンステレーションの構築を進めてまいります。
参考URL :https://arkedgespace.com/news/2023-03-28_vdes
■株式会社アークエッジ・スペースについて
アークエッジ・スペースは、超小型衛星コンステレーションの企画・設計から量産化、運用まで総合的なソリューション提供を行う宇宙スタートアップ企業です。
“衛星を通じて、人々により安全で豊かな未来を”実現することを目指し、今後は地球観測、船舶向け衛星通信(衛星VDES)、IoTデータ収集等に対応した超小型衛星コンステレーションの構築を実現するとともに、月面活動にむけた衛星インフラ構築や深宇宙探査など、多様なミッションニーズに対応し、誰でも手が届く宇宙の開発利用を推進します。
本社所在地 :東京都江東区有明一丁目3番33号ドーム有明ヘッドクォーター3階
代表取締役CEO :福代 孝良(ふくよ たかよし)
設立 :2018年7月
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