紀文食品、「2023年 紀文・お正月百科」を発表。今年のテーマは「ご当地のおせち」。
<紀文とおせち料理>
1938年に創業した紀文は、1950年におせちの主役である「かまぼこ」や「伊達巻」の本格的製造を開始しました。その一方で、料理教室などのおせちの啓発活動や、1980年頃からは「おせちの消費者調査」を実施してきました。
この調査活動も、2010年からはインターネットによる調査に変更、規模を拡大し、『 紀文・お正月全国調査 』 として、伝統行事である「お正月」や「おせち料理」に対する意識や喫食状況などのトレンドを知ることを目的に実施してきました。
2022年は、上記の「全国調査」と共に、47 都道府県の既婚女性を対象に、「①ご当地の伝統的な料理を含んだ形でのおせち料理の用意率」、「②正月に食べる魚介類」、「③雑煮と入れる具材」、「④かまぼこの飾り切り」についての追加調査を行い、この「2023 年 紀文・お正月百科」において発表いたします。
これらの調査からは、各家庭においておせち料理に、その土地の名産品や伝統料理を取り入れている様子がよくわかります。
ここではその中から抜粋して、「特別調査 紀文・ご当地おせち料理アンケート」(2022年10月実施)の結果の一部を発表いたします。
<伝統料理を含めたおせち料理49品での調査>
2022年のお正月に自宅で用意したおせち料理の用意率ランキングは、1位:かまぼこ(83.2以下%)、2位:雑煮(73.5)、3位:黒豆(68.9)、4位:伊達巻(65.8)、5位:カズノコ(58.6)、6位:栗きんとん(52.2)、7位:昆布巻(51.3)、8位:エビ(46.4)、9位:紅白なます(43.9)、10位:煮しめ(43.5)となりました。
<おせち料理 上位3品の分布>
- ほぼ全国的に分布。かまぼこ・雑煮・黒豆の3強は変わらず
※4位~10位の分布は最下部掲載PDFよりご確認ください。
<地域分布が特徴的なおせち料理>
識者の意見を交え実施した、2007年「伝統料理とおせちの調査」並びに2011年「正月・祝い・普段の魚料理調査」の結果を踏まえ、近年のご当地の伝統おせちの出現率を計測するため、両調査で実施した選択肢をできる限り採用し、本調査を行いました。
用意率・上位10都道府県の分布による地域比較
ここからは、調査を実施した50種類のおせち料理の用意率について、それぞれ上位10都道府県を算出、地図化して、東西に分かれるなどの特徴を持つおせち料理を選んで比較してみました。
共に縁起物であるクリを使った甘い料理。「栗きんとん」はイモやクリなどの餡とクリを和えたもの、「栗甘露煮」は砂糖や蜜でクリを甘く煮たもの。
栗きんとんは全国平均が52.2%と用意率が高いおせち料理です。20位内には中国・九州の5県がランクインし、甘露煮より若干穏やかな東西分布となりました。一方、栗甘露煮は20位内をみても、西日本とフォッサマグナの西側に主に位置する中部で独占し、西高東低がみてとれます。
共に地中に根を張ることから縁起が良いとされるゴボウを使った料理。「きんぴらゴボウ」はゴボウを砂糖や醤油で炒め煮したもので、「たたきゴボウ」は江戸時代の書物にも記載されている歴史のあるおせち料理。
きんぴらゴボウは、3位に大分がランクインするも全体では穏やかな東高西低になりました。これに対し、たたきゴボウは20位内に秋田が18位にランクインするだけで、圧倒的な西高東低となりました。
<雑煮の餅と具材の分布>
正月の神様である歳神様は、大晦日の夜に降神されます。大晦日の夜に歳神棚に料理膳を供え、それと同じものを家族一同で共食するならわしを伝えています。これを「神人共食」といい、日本で顕著な伝統です。
時代がすすみ、神人共食の一種として歳神様に供えた餅(あるいは歳神様の神座の鏡餅)をさげて分配しました。これが全国的に元旦の雑煮祝いとなりました。
正月に自宅で食べる雑煮の餅の種類を聞いたところ、東日本は角餅、西日本の高知と鹿児島以外は丸餅という
結果となりました。
民俗学者の神崎先生に、なぜ、雑煮の餅が丸餅と角餅に分かれるかということを伺ったところ、「元々雑煮の
餅は、神さまに備えた丸い餅を神人共食で食したことがはじまりで、丸形であったと思われる。寒冷地では、水
泡や気泡を内にためないために延ばすことが合理的で、延ばしたら切ることになり、角餅と相なる」とお答えい
ただきました。
特徴的な雑煮の具の地域分布
共に蒸して作る練りもの。「かまぼこ」は弾力のある食感が特徴で、板にすり身を盛りつけた後、蒸し上げて作ります。「なると巻」は赤と白のすり身を巻いて作る、渦巻模様とフォルムが特徴的な練りものです。
なると巻は20位内をみても東日本の北海道、東北、関東地方で上位を占めた東高西低の結果となりました。かまぼこは上位を九州と中四国がほとんどを占める西高東低の結果となり、おでん種と同じ傾向が見られました。
共に赤色の魚介類で彩りも良く豪華な一品。雑煮としては「イクラ・スジコ」ではサケも一緒に入れる「親子雑煮」が、「エビ」では鹿児島の一部地域で食される「さつまえび雑煮」が有名。
イクラ・スジコは、岩手、宮城、新潟、青森、北海道とサケの漁獲量が高い県が上位を占め、東高西低の結果となりました。エビは東日本の富山と山梨を除き、西日本が上位を占め、10位内に九州の鹿児島、沖縄、大分、熊本、福岡、佐賀、宮崎と7県もランクインし、西高東低の結果となりました。
局地的に出現する野菜
雑煮に入れる具材のベスト20には、野菜では根菜類としてニンジン・ダイコン・ゴボウ・サトイモ(八ツ頭)、葉茎菜類としてミツバ・ネギ・ホウレン草・ハクサイ・コマツ菜、キノコ類としてシイタケがランクインします。
これ以外にご当地ならではの葉茎菜類として、26位に東海エリアを中心に食される「正月菜・(餅菜)」、33位に北九州を中心に食される「カツオ菜」、41位に南九州を中心に食される「モヤシ・オヤシ(長いモヤシ)」などがあり、なかでも熊本の水前寺モヤシなどが有名です。
<年とり膳のごちそう「年とり魚」 東のサケ・西のブリの喫食の2011年と2022年の比較>
四方を海に囲まれ豊かな漁場が点在する日本では、古くから水産物が様ざまな方法で運搬され、食材として供されてきました。そのもっとも古い形が、古代から行われてきた神饌です。
神饌から時代を経て正月三が日のごちそうとなった、すなわち「おせち料理」は、本来は年とり膳として大晦日にいただくもので、年とり膳のごちそうといえば、サケやブリを代表とする「年とり魚」と称される魚が挙げられました。
今回の調査から、年とり魚の変化が見受けられました。2022年はサケが5位から10位へブリが1位から2位へと変化しました。サケは普段では1位、正月では10位と「特別な日の魚」から「日々食べる身近な魚」へと位置づけが変化してきているといえます。
2011年の調査で魚の調理法から実態を見た際は、ブリの場合は照り焼きもしくは塩焼きであり、他は刺身、煮付けなどでさほどのバリエーションは感じられませんでした。それに対してサケは、スモークサーモンのサラダ、カルパッチョなど洋食への展開が顕著に表れていました。約10年経った2022年もその傾向は加速していると考えられます。
<地域分布が特徴的な正月に食べる魚>
識者の意見を交え実施した、2007 年「伝統料理とおせちの調査」並びに 2011 年「正月・祝い・普段の魚料理調査」の結果を踏まえ、近年のおせち料理における、魚介類の出現率を計測するため、両調査で実施した選択肢をできる限り採用し、本調査を行いました。
喫食率・上位10都道府県の分布による地域比較
共に東西を代表する年とり魚。大晦日にはごちそうを用意して正月の歳神様を迎える準備をする風習があります。「年とり魚」と呼ばれるサケやブリを、塩漬けにするなど工夫して遠くまで運んでいました。
サケのベスト10は、20位内をみても九州の4県と中四国の3県が入る以外は東日本がほとんどを占め、穏やかな東高西低の傾向となりました。ブリはベスト10内の富山を除き、西日本がほとんどを占め、圧倒的な西高東低の結果となりました。
共に縁起物。「タコ」は“多幸”という当て字の通り幸せでいられますようにとの願いが込められています。「タイ」も「めでたい」という言葉が示す通り、正月の他、祝いの引き出物にも欠かせない存在でした。
タコは14位まで東日本が独占し15位以降に鹿児島、滋賀、熊本の3県がランクインする圧倒的な東高西低の結果となりました。タイは瀬戸内海に沿った地域が高く、20位内に秋田が入るのみでこちらも圧倒的な西高東低の結果となりました。
<ちょっとした手間で、おせちをより華やかに>
- 作ってみたい飾り切り 1位はうさぎ
おせち料理の中でかまぼこは日の出を象徴するとされ、紅色は慶び、白は神聖を意味するとされています。今回の調査で、かまぼこを使った7種の飾り切りについて「作ってみたいもの」を聞いたところ、2023年の干支でもある「うさぎ」が1位になりました。
紀文のWebサイトでは、この他にもたくさんの飾り切りを紹介しています。2023年のお正月は、かまぼこの飾り切りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
詳しくは紀文Webサイトで公開しています。
『家族で楽しむ飾り切り&デコ』 https://www.kibun.co.jp/magazine/kazarigiri/
≪「特別調査紀文・ご当地おせち料理アンケート」調査概要≫ ■調査日程:2022年10月29日(土)~11月4日(金) ■調査手法:インターネットによるアンケート記入式 ■調査対象:20代~60代以上の既婚女性5,875人 各都道府県125人 (各20代25人、30代25人、40代25人、50代25人、60代以上25人) ■調査機関:株式会社マーケティングアプリケーションズおよび株式会社紀文食品 ※雑煮の設問は3,595人(用意者ベース) ※おせちの設問は4,891人(用意者ベース) |
全ページは下記URLよりダウンロードいただけます。
https://prtimes.jp/a/?f=d11335-20221117-82ee257f216c81c21297f2b8f65b1b7d.pdf
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