銀ナノインク「Picosil®」を用いた低温プロセスでの超細線描画に成功
株式会社ダイセル(本社:大阪市北区、代表取締役社長:小河義美)は、当社の銀ナノインク「Picosil®」を用いた低温プロセス(摂氏120度)*1 での超細線描画に、2種類の描画方法で成功いたしました。銀ナノインクは数十ナノメートル(nm)の銀粒子を含有する、配線/電極を形成する導電インクです。粒子径の小ささから、線幅の細い配線形成の可能性がプリンテッドエレクトロニクスの分野で期待されておりました。
特に、銀ナノインクによる5マイクロメートル(μm)以下の超細線描画は、高温プロセスを必要とするインクを使用する方法によってのみ可能とされてきましたが、低温プロセスで使用できる「Picosil®」によって、樹脂フィルム等への描画が可能となりました。
特に、銀ナノインクによる5マイクロメートル(μm)以下の超細線描画は、高温プロセスを必要とするインクを使用する方法によってのみ可能とされてきましたが、低温プロセスで使用できる「Picosil®」によって、樹脂フィルム等への描画が可能となりました。
- 細線描画に適した、静電力を利用したインクジェット印刷装置である「Super Inkjet Printer」を用いた線幅1.5μmの描画
- 一般家庭のインクジェット印刷機でも使用される、体積変化する圧電素子(ピエゾタイプ)を利用したインクジェット装置を用いた線幅30μm以下の描画
OA機器や産業用途で広く用いられるピエゾタイプヘッドのインクジェット装置を用いて、線幅30μm以下の描画に成功いたしました。ピエゾタイプヘッドのインクジェット装置による銀ナノインクの描画は、これまで線幅60μm程度が限界とされてきました。*2
タッチパネルや有機ELの電極で用いられる透明導電層では、現在の性能より抵抗を低くすることが求められております。今回の超細線描画により、線幅1.5μmという人間が認識できないレベルの配線を付与することができることから、透明性を保ったまま、透明導電層のより低抵抗化を可能とします。また、透明ヒーターの熱線への活用など、「Picosil®」のさらなる用途拡大につなげてまいります。
なお(1)の装置を、2020年12月9日(水)から東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される展示会「ASTEC2021 第16回先端表面技術展・会議」に、SIJテクノロジ社が出展いたします。
- 銀ナノインクとは
銀ナノインクとは、ナノメートルのサイズに制御した銀粒子をインク化したもので、主にプリンテッドエレクトロニクス(電子デバイスの回路などを印刷で形成する工法)に使用されます。当社の銀ナノインク「Picosil®」は、低温かつ短時間での焼成が可能であるとともに、形成される銀導電膜の体積抵抗率が低く、通常は難しいプラスチック基板への描画ができることが特長です。インクジェット印刷向け(低粘度)からスクリーン印刷向け(高粘度)までの調整が可能で、各種印刷方法に対応しております。
当社は2018年に、新井工場(新潟県妙高市)に年間数トン規模の生産能力を有する銀ナノインク量産設備を設置しており、電子デバイス向けの配線用途等へ、少量の生産から対応を可能としております。
*1 摂氏120度の温度で30分間を基準とした焼成が可能です。
*2 ガラス基材への描画の場合。当社実績。
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